60話
ピピピピ
目覚まし時計のアラームが喧しく部屋に鳴り響き、俺の意識は強制的に覚醒させられる。
二度寝の誘惑に抗いながら俺はベッドから体を起こす。
「ふぁ」
思わず出たあくびを噛み殺し部屋のカーテンを開けて朝日を浴びる。
今日は朝からダンジョンに行く予定だ。政との依頼でユニークモンスターと戦う前にできるだけレベルを上げておきたい。後一つ上がればスキルが手に入るし。
クソが。危険な目に遭った時に生き残るためにダンジョンに潜ってるのに、なんで危険な目に遭うとわかっていながら自ら、その場所に向かわなくちゃならないんだ。
クソ、今嘆いても仕方がないか。
早く準備をして、ダンジョンに向かおう。生き残るために、もっと力をつけておかないと。
リビングに向かい、朝ごはんを食べダンジョンに探索するための準備をする。
顔を洗ったり、歯を磨いたりをして準備完了だ。玄関で靴を履き替えて外に出る。
数十分後
ギルドに到着した。
さっさと探索申請を済ませてダンジョンの門を使い4階層に移動する。
ダンジョンの門を潜ると鉄柵に囲まれた広場に出る。此処にいつまで居ても仕方がない早くモンスターを探しに行こう。
発動:『気配隠蔽』
鉄柵の外に出る前にスキルを発動して探索を開始する。
モンスターに見つからないように隠れながらダンジョンを歩く。
いた。
少し先に歩いているモンスターを発見する。
よし、こっちに気づいてないな。前に戦った時には俺の投げた槍が効かなかったからな、気づかれないように近づいて急所に一撃を入れよう。
ある程度まで、物陰に隠れながらモンスターに近付いていく。まだ『気配隠蔽』の効果は続いているから姿を見られない限りバレないだろう。
これ以上物陰に隠れながら近付くのは無理だな。そう考えた俺は隠れていた物陰からモンスターに向かって走り出す。
2メートル、1メートルとドンドン距離が縮んでいく。
今だ。
発動:『強打』
スキルを発動させてモンスターへの突きを強化する。スキルで強化され、走ったスピードを乗せた攻撃はモンスターの急所をあっさりと貫いた。
突然、攻撃されたエキインは混乱した様子のまま前のめりに倒れる。エキインが倒れる前に槍を抜き、一応少し離れておく。
少しすればエキインの体は光の粒子に変わりドロップアイテムが出現した。
よし、これで一匹目だな。この調子でドンドンいこう。俺は地面に落ちているドロップアイテムをカバンに入れて歩き出した。
◇
少し歩いているともう一匹モンスターを発見した。さっきと同じように倒してしまおう。
俺はモンスターに向かって走り出す。さっき『気配隠蔽』を使ったばかりだから効果が切れることはないだろう。
ドンドンと距離が縮んでいく。もう少しで攻撃が届く位置まで近づいた時。
発動:『危機感知』
突如、スキルが発動した感覚と共に全身に悪寒が走り回る。
マズい!!!
そう思った俺は、その感覚に従いその場で方向転換をして全力でその場から離れるために走る。
「…………はっ…………は、ぁ……」
ここら辺まで来れば大丈夫だろう。さっきの場所から離れた物陰で荒んだ息を整えながら考え始める。
さっきの『危機感知』の原因はなんだ? 俺が倒そうとしたモンスターか? それとも何かトラップの類か? 此処まで離れれたからユニークモンスターではないはずだ。
原因を探るべきだろうか? ……………………原因を探るべきだな。これからも此処に潜るなら、なるべく危険な要素は知っておきたい。遠くから観察するか。もし『危機感知』が反応してたら即座に逃げよう。
そうと決まれば行動開始だ。最大限周りを注意しながら『危機感知』が反応した場所を細かく観察できるに向かう。電車の上とか良さそうだ。
あそこら辺でいいか。さっきの場所が見渡せる電車の上に窓枠などを踏み台によじ登る。思ったより簡単に登ることができた。
さて、原因の解明を始めよう。
まだ、俺が倒そうとしていたモンスターはさっきの場所からあまり動いていない。まずはあのモンスターから調べよう。
発動:『鑑定』
《エキイン。どの個体も道路標識を持ち、それを用いて獲物に襲いかかる。目や耳などはないが視覚や聴覚は有している。急所は頭や胸と人間と変わらないが外皮が少し硬い。なお、駅員とは別種》
鑑定結果は前見た時と変わらない。あのモンスターが原因では無さそうだな。
なら、一体何か『危機感知』を発動させたんだ? 次に俺は周りに不審なものが無いかを探していく。
……………………………あった。絶対にアレだ。
俺の目線の先には、明らかに周りの電車より新しくコケや植物がまとわりついてない電車があった。周りの電車と違いすぎるだろ。
アレが擬態型のモンスターだとしたら擬態できて無さすぎだし、トラップの類か? けど、このエリアにトラップがあるなんて情報あったか?
注意深く観察したくても扉は閉まっているし窓のガラスが曇っていて、中は視認することができない。一度、鑑定してみるか。
発動:『鑑定』
《電車蟲。四階層で稀に出現する擬態型のモンスター。外皮は固く、生半可な攻撃では傷一つ付かない。近づいた生物をその巨体をもって押し潰す》
擬態型のモンスターか。それにしては周囲に擬態できてないような気がするが。
突如、観察していた電車が横に転がる。
ガウン!! ギギギギ……といった今まで聞いたことのないような異音を辺り一面に響かせながら子供が駄々を捏ねる時のように一回転、二回転と何度も転がり回る。もちろん近くを歩いていたエキインは何も抵抗できないまま、あっさりと押しつぶされた。
少しすると電車蟲は疲れたのか動きを止める。そして、
「ポォーーーーーン!」
電車の警笛のようで、何処か決定的に違う鳴き声を辺りに響かせ移動していく。
その後ろ姿を見ながら俺は思った。………………………なんだアレ? 怖。
怖すぎるあの巨体で暴れ回られたら脅威すぎる。近くでやられたら抵抗できずに死んでしまうだろう。幸い、見分けることは簡単だから近付かなければ良いが。
しかし、擬態が下手なのはあの個体だけかもしれない。警戒するに越したことはないだろう。まあ、どっちにしろ『危機感知』が反応するか。
このエリアに探索する時は電車にも少し警戒を向けておいた方が良さそうだな。
『危機感知』が反応した原因も分かったし、切り替えてモンスターを狩っていこう。
◇
発動:『強打』
スキルを発動して倒れたモンスターにトドメを刺し、ドロップアイテムを回収する。
よし、これで10体目だ。このエリアのモンスターを狩るのもだいぶ慣れてきたな。油断せずにこの調子で頑張っていこう。
というか、流石にレベルは上がったか? 見てみるか。
「ステータス」
【名前】冬野 礼司 Lv30
【称号】『禁断の果実』『人魚の真実』『闇裂く狩人』『愛する貴方へ』
【スキル】『影操作』『鑑定』『回復』『投擲』『危機感知』『気配隠蔽』『プロテクション』『強打』
よし!! レベルが上がってる!!
レベルが上がった嬉しさに思わず小さくガッツポーズをしてしまう。
今日は此処で終わろう。時間を確認すれば丁度今はお昼頃だ。今から帰って新しいスキルの検証に時間を使おう。
そう考えた俺はギルドに向かって歩みを進めた。
時間が空いてしまい、申し訳ありません。ゆっくりでも投稿は続けていこうと思っていますので、読んでいただけたら嬉しいです。




