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51話


「あ〜、疲れた〜」


 リビングのソファに座り、思わず独り言が漏れる。


 もうこのまま眠ってしまいたいが、ドロップアイテムとステータスの確認をしておかないと。ないとは思うが、ドロップアイテムが変な物だったら目も当てられない。


「ステータス」


【名前】冬野 礼司 Lv28

【称号】『禁断の果実』『人魚の真実』『闇裂く狩人』『愛する貴方へ』

【スキル】『影操作』『鑑定』『回復』『投擲』『危機感知』『気配隠蔽』『プロテクション』



 この前見た時は、レベル25だったから・・・・・・・・・・・レベルが3も上がってる!!


 ユニークモンスターと侍のモンスターの分か。


 よし、よし、よし。案外レベル30まで、すぐかもしれないな。


 今回手に入れたユニークモンスターの称号は『愛する貴方へ』か。なんか、不穏な称号だな。今までの称号に比べてメッセージみたいな感じだ。


 気になった俺は、この前と同じように光っている称号の部分に指を触れる。



《『愛する貴方へ』。ユニークモンスター、椿の華を魅了状態で倒した者に贈られる称号》



 魅了状態で倒した者に贈られる称号? 魅了攻撃を受けずに倒していれば、称号が変わったりしたのだろうか? まあ、確かめる術なんてないが。


 よし、次はドロップアイテムの確認だ。


 三つ出た指輪の中から椿の花の意匠が入った指輪を手に取る。


 まずは、これからだな。


発動:『鑑定』


《愛の椿。特定の称号を持っている者が装備した時、全ての精神異常を無効。指定の部位以外、装備不可(条件:称号『愛する貴方へ』。指定部位:左手の薬指)》



 ・・・・・・・・・・・・・・・何だこれ。いや、全ての精神異常を無効化できるのは破格の性能だけど、左手の薬指以外は装備できないって。


 いや、効果が良いから使うけど。なんか、これを装備するの怖いな。


 まあ、今までドロップアイテムが害を及ばしたことはないし、とりあえず装備してみるか。


 恐る恐る、左手の薬指に愛の椿を嵌める。


 指輪は薬指にすんなりと入る、手を振っても落ちる様子はない。害する様子はなさそうだな。


 次に薬指から指輪を外して違う指に嵌めようと試みる。


 

 しかし、どの指に嵌めようとしても指輪に指が入らない。どういう、仕組みだ? 


 

 チェーンを使ってネックレスにでもしようかと思ったが、効果が発動しなさそうだからやめておこう。


 次は、効果を確かめてみたいが精神異常か・・・・・・・明日、学校に持って行って藤原の前で装備してみるか。


 愛の椿の検証も終わったし、次は残り二つの同じデザインの指輪の一つを鑑定する。


発動:『鑑定』


《結婚指輪。装備している者が結婚していることを示す指輪。文化により、左手または右手の薬指に装備される》


 ん? 普通の結婚指輪? もう一つも同じか?


 もう一つの指輪に向けてスキルを発動する。


発動:『鑑定』


《結婚指輪。装備している者が結婚していることを示す指輪。文化により、左手または右手の薬指に装備される》


 本当に二つとも普通の結婚指輪なのか。


 ・・・・・・・・・・もしかして、二つとも遺品か? だとすれば、椿の華を囲んでいた侍のモンスターが少なかったわけが説明がつく。


 なるほど、俺が椿の華と戦う前に戦闘をして敗れた探索者たちがいたのか。おそらく、夫婦だっただろう。


 いや、じゃあ何で遺品を椿の華が持ってたんだ? ますます、愛の椿から遺品が出てきた理由がわからない。欲しかったんだろうか?


 まあ、分からないことを考えても仕方がないか。


 確か、遺品の扱いは見つけた者がギルドに提出することになっていたな。ギルドが遺品を遺族に返却するらしい。


 まあ、この規則を守ってない奴が一定数いることを問題視されているらしいが。


 なら、遺品をギルドに提出するのは明日だな。


 もし、侍のモンスターが減っていなければ俺が殺されていた可能性もあるし感謝しておこう。


 遺品を何かちょうど良いケースに入れて保管しておく。


 一通りの確認はできた。今日はもう疲れたし早く夜ご飯を食べて寝よう。



 ◇



「おはよう!!」


 登校中、廊下を歩いていると周りの生徒たちの挨拶の声が耳に入ってくる。そんな声を聞きながら廊下を歩き、目的の教室まで到着する。


 扉をガラガラと音を立てながら開け、教室に入り自分の席に座る。


 さて、早いとこ愛の椿の検証を済ませてしまおう。さっそく、俺は左手の薬指に愛の椿を装備する。


 藤原は、いつものようにクラスの連中に囲まれている。


 そんな藤原を視界に入れると、


 痛っ!


 愛の椿を装備している左手の甲に痛みが走る。痛みといっても、そこまで大きな痛みではなく例えるなら手の甲をつねられる程度の痛みだ。


 これは、効果が発動した合図のようなものか?


 再び藤原を見れば、いつもの自然と視線を向けてしまうオーラのようなものが無くなっているように感じた。


 本当に無効化できるんだな。これは、良いものを手に入れたぞ。


 というか、藤原は本当に魅了のような力を持っていたんだな。まあ、本人は無自覚なように見えるが。


 愛の椿の性能もしっかり確認できたし、これから活用していこう。


椿の華の魅了攻撃を受けずに討伐していた場合の称号とドロップアイテム


称号

《『枯れた椿』ユニークモンスター、椿の華を倒した者に贈られる称号》



ドロップアイテム

《『愛いらずの指輪』。特定の称号を持つ者が装備した時、魅了を無効化。(条件:称号『枯れた椿』)》





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― 新着の感想 ―
結婚指輪を持って行ったのは魅了などを必要とせず真の意味で結ばれたという存在が羨ましかったからですかね モンスターにそんな情緒があるのかはわかりませんが
全ての精神異常を無効って凄い効果だな。 もし精神異常を付与する代わりに一時的に全能力強化とかあったらデメリットなしで使えたりするのかな?もし出来たら恩恵が大きすぎるw
凄い性能だな… 椿が嫉妬してつねってる感じがするし 死に際も称号もドロップ品と効果も全てが終始後味の悪い敵だったな…
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