表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ソロ探索者、ダンジョンに潜る  作者: 西校


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

31/61

31話


 一週間後


 槍投げの実験をしにダンジョンに潜ってから1週間経った。


 あれから、放課後はほぼ毎日ダンジョンに行っているがレベルが全く上がらない。やっぱり、新しいエリアに挑戦した方がいいだろうか。まあ、覗いてみてダメそうだったら逃げればいいし、行ってみるか。


 そういえば、藤原とはあれから一言も話していない。まあ、面倒なことがなくていいことだ。


 ♪〜〜〜


 軽快な音楽と共に駅のアナウンスが電車が来ることを知らせる。


「一番乗り場に・・・・・・・」


 考えごとをしていたら、もう電車が来たようだ。


 シューという音をさせながら開いた扉をくぐり、電車に乗り込む。


 一駅移動して降り、ギルドまで徒歩で向かい数分すればギルドについた。


 まずは、三階層の地図を買うために購買部に向かう。

 

 地図が売っているエリアに行き、見つけた。その地図を取りレジに向かい会計を済まし、カバンの中に入れる。


 後は探索申請をすればダンジョンに入れる。


 窓口に向かい、探索申請を済ませてダンジョンの門を使い二階層に入る。


 見慣れた二階層の広場に出る。


 ここに居ても仕方がないし洞窟エリアに入る。


 敵を避けて洞窟エリアを抜け、夜街エリアに出る。


 よし、夜街エリアに出ることができた。あとは地図を見て階段を探すだけだ。


 地図によればこっちに階段があるはずだ。


 地図を頼りに階段がある場所に続く道を敵を避けながら進む。新しいエリアに行く時に無駄に疲れたくないな。



 数十分後

 

 

 あ、あった。

 

 目的の階段が見えてきた。あれで間違いない、一階層で見た階段同じ見た目をしている。


 早く入ろう。


 一応何か起こってもいけないので、慎重に一段ずつ降りて行く。


 数十段降りた頃、出口に到着した。


 和街エリアに出るとさっきまでいた夜街エリアの月のやさしい光とは反対に力強い太陽の光が全身を照らしてくる。


 地面は砂利で舗装され、周りには昔の日本にあったような家屋が並んでいる。空には太陽が輝き、優しく風が吹きそこらの草達を揺らす。


 太陽が真上にある。今は五時ごろの筈だ。現実と太陽の動きが同じなのは一階層だけだったのか?


 まあ、これからどんどんダンジョンに潜って行けば分かることだろう。


 とりあえず、隠れながらここのモンスターを探してみよう。


発動:『気配隠蔽』


 スキルを発動させ、和街エリアを進んでいく。


 三階層の広場から、少し離れた頃。


 大きな人型のモンスターを発見した。ここからだと後ろ姿しか見えないが間違いない鬼だ。赤い肌に頭には立派な角が生えている。桃太郎に出てきそうな鬼が歩いていた。


 まずは鑑定だ。


発動『鑑定』


《赤鬼。常に口に笑みを浮かべ泣きながら行動する。どの個体も金棒を持っており、それから放たれる攻撃は人体など容易く破壊できる。優れた腕力と高い生命力に硬い皮膚を持っているが、移動する速度自体は遅い》


 なるほど、逃げるのは簡単そうだな。


 後ろから攻撃を仕掛けて、素早く仕留めたいな。


 まずは、槍を投げて様子を見てみるか?


 下手に近づいて、攻撃が当たればタダじゃ済まなそうだ。


発動:『影操作』


 プラスチックの棒を取り出して、影を纏わせ槍を作る。


 よし、できた。


 こちらに気付いてない鬼に後ろから槍を投げて当たる所まで近づく。


発動:『投擲』


 俺がスキルを使い投げた槍は鬼の背中に刺さった。


 刺さったが傷は浅そうだ。ここまで硬いのか。いや、影で作った槍の完成度がまだ低く鋭くないのが原因か。


「ガアァァァァァ!!」


 後ろから、攻撃されれば流石に鬼もこっちに気付き振り返り、雄叫びを上げながら近づいてくる。攻撃されたことにすごく怒っている様子だ。顔には泣き笑いの表情が張り付いているが、軽くホラーだな。


 ドシン、ドシン、と力強い音を出しながら地面を揺らし走ってくる。

 

 さて、どうするか。逃げるか?しかし、まだ『プロテクション』も『影操作』も夜灯の槍も試していない。これぐらいの速さだったら完全に近づいても逃げることができるし、逃げてもどうせ戦わないといけないモンスターだ。遅いか早いかの違いでしかない。


 そんなことを考えている途中も鬼との距離は関係なく縮まっていく。


発動:『影操作』


 『影操作』を使い鬼の足下の影を操作して、鬼の足を引っかけるようにして小さな壁を作る。


 バキン


 そんな音と共に鬼の足下にあった壁が鬼の足にぶつかった瞬間、飴細工のように砕け、ただの影に戻った。


 まじかよ。全く気にした様子がない。影で作った壁がまるで障害物になっていない。


 いけない。呆けている余裕はない。鬼はすぐ近くにまで来ている。


 鬼が俺目掛けて金棒を振り下ろしてくる。


 攻撃速度が思ったより速い、俺は『プロテクション』を発動すると同時に後ろに跳躍する。万が一、プロテクションの壁が破られた時、当たらないようにするためだ。


発動:『プロテクション』


 目の前に半透明の壁が出現する。


 ガキン


 プロテクションの壁に鬼が振り下ろした金棒が当たり、勢いが完全に止まる。しかし、すこしプロテクションの壁にヒビが入っている。さすがに攻撃が強かったか。


 鬼は突然現れた壁に困惑している様子だ。もう一度金棒を振り上げ壁に攻撃しようとしている。避けてこちらにくればいいと思うが、そこまで頭が良くないのか?


 まあ、いい。もう一度攻撃しようとするなら考えがある。


 鬼が金棒を振り下ろした瞬間『プロテクション』を解除し、目の前にある壁を瞬時に消す。


 ドシン


 目標を失った金棒はその勢いのまま、地面を叩きつけ砂煙を上げる。


発動:『プロテクション』

 

 すかさず『プロテクション』を発動させ、壁を振り下ろした鬼の腕の場所になるように生成する。


 すぐに壊れるかもしれないが今は隙ができるのには充分な時間だ。


 必死に腕を外そうとしている鬼の背後に回り込み心臓があるであろう場所目掛けて槍を突き刺す。


 すると、槍は少しの抵抗は感じたものの深く突き刺さる。


「うわ!」


 鬼が最後の抵抗なのか、プロテクションに囚われてないほうの腕を振り回すが間一髪の所で避けることができた。


 槍を抜きバックステップで後ろに下がり、鬼の様子を観察する。


 槍を抜いた場所から血が噴き出している。放っておけば動かなくなるだろう。


 予想通り、少ししたら暴れていた鬼の勢いが衰え、ついには地面に倒れ動かなくなる。


 少しすれば、死体や血が光の粒子に変わりドロップアイテムが現れる。


 鬼の死体があった場所には鬼の頭に生えていた角が落ちていた。


 鑑定してみるか。


発動:『鑑定』


《赤鬼の角。頑丈な事以外何も効果のない角、節分に装備すれば本物の気分を味わえるかも》


 なんだこれ、役に立たないな。まあ、鬼がこれだけ強いんだから売ればいい価格になるだろう。


 流石に、今日のうちにもう一体と戦うのは無理だな。帰ろう。


 それから、きた道を慎重に戻りギルドに帰った。


 

 数十分後



 無事にギルドに帰ってくることができた。


 早速、換金をして行こう。


 買取をしている窓口に向かい、ドロップアイテムを出す


 職員が受け取り換金してくれる。


「赤鬼の角が一つで30,000円になります」


 三万円!?まじか。思ったより高かったな。

 

 お金を受け取り、ギルドから出て家に帰る。鬼は一体倒すだけでも大変だったが、経験値も良さそうだし売値も良い、明日からも頑張って狩っていこう。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
頑丈なら槍の穂先にでも使えるんじゃね?主人公には要らんかもだが他人には有益かも
角ですか… 象牙の代わりにハンコの材料にでもするんですかね。
こんばんは。 角か~…頭に付いてる以上そこまで長くはなさそうですかね? 頑丈だから防具に鋲代わりに付けて補強したり、釘バットの釘みたく打撃武器の突起代わりに使えたりしたら面白そうですね。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ