23話
彷徨う街灯と戦った後、疲れた体を引きずりながら家に帰ってきた。
帰る途中に夜灯の槍の性能を確かめてみたが、前まで使っていた半魚人の槍より性能が良い、今後はこれを使って半魚人の槍はスペアにしよう。
さて、あれだけ手強いモンスターを倒したんだ。レベルアップはしているだろう。
「ステータス」
いつものように、半透明なウィンドウが目の前に現れる。
【名前】冬野 礼司 Lv20
【称号】『禁断の果実』『人魚の真実』
【スキル】『影操作』『鑑定』『回復』『投擲』『危機感知』『気配隠蔽』
おお!! やはりレベルが上がって20になっている。
これで新しいスキルを得ることができる。何がくるだろうか。今までもなんだかんだで欲しいスキルが出ていたからな。もしかしたら、必要なスキルが来るかもしれない。できれば、防御系のスキルが欲しいな。
覚悟を決めて点滅しているレベルの部分に触れる。
【スキル選択】
・『プロテクション』
・『強奪』
・『アースウォール』
やった!! 『プロテクション』があるぞ!! 『プロテクション』はスキルについて調べていた時に知った、欲しいと思っていたスキルの中の一つだ。目の前に半透明のガラスのような大きな盾を出現させるスキルだ。半透明だから視界も確保できて、次の攻撃に繋げやすい良いスキルだ。
今回取るスキルは決まった様なものだが一応他のスキルも見てみるか。
次は『強奪』か、このスキルはよく創作で出てくる様なスキルを奪えたりする所謂チートスキルの様に見えるが、効果は全く違う、『強奪』の効果は何かを力尽くで奪う際に補正してくれるというものらしい。まあ、役にたつ場面はあるだろうが積極的に取るスキルではないな。
最後は『アースウォール』か、これは読んで字の如く土の壁を出現させるスキルだ。目眩しに使えそうだが、『プロテクション』の方が普通に便利だからな。まあ、取る意味はないだろう。
全てのスキルを確認して、あらためて『プロテクション』のスキルを選んだ。
選んだ瞬間、ウィンドウの表示が元に戻る。
【名前】 冬野 礼司 Lv20
【称号】『禁断の果実』『人魚の真実』
【スキル】『影操作』『鑑定』『回復』『投擲』『危機感知』『気配隠蔽』『プロテクション』
こう見ると、最初の頃に比べてスキルも増えてきたな。あらためて成長を実感する。
まあ、そんなことは良いから『プロテクション』の実験をするか。
とりあえず、発動してみるか。
発動:『プロテクション』
目の前に半透明のガラスの様な壁が現れる。結構大きいな、これなら余裕で敵の攻撃防ぐことができるだろう。
次は、この壁はどれくらい出して置けるかを調べるためにタイマーで時間を測る。
結果、三分たった時に自動的にプロテクションは消えた。スキルを使い続ければ、この時間は伸びそう。
次は、何枚プロテクションを出して置けるか。
結果、一枚しか出せないことがわかった。一枚出せば、前に出していたプロテクションは消える。これもスキルを使い続ければ出せる枚数も増えるかもしれない。
次は、形や向きを変えられるのか。
結果、形は変えられないが、向きはどの向きにも変えることができる。足場に使えるか?
次は、プロテクションを出す場所に既に何か物があればどうなるのか。
結果、貫通はせず物の内部にはプロテクションは現れない。プロテクションで何かを切断する様なことはできない。
最後に耐久性だ、一番大事なことで、これを知っておかないと敵の攻撃を防ぐ時に危ない。家にあった金属バットで試そう。
プロテクションの壁に思い切り金属バットを叩きつける。ガンっという音を立てるがプロテクションはびくともしてない。金属バットを持っている手が痺れる。これぐらいの耐久性があれば、大体のモンスターの攻撃は防ぐことができるだろう。
うーん、これで今のところ知りたいことは知れた。まあ、これからも知りたいことができたら実験していこう。
やはり、このスキルは良いスキルだ。今、このスキルを手に入れることができたのは運がいい。
ぐぅ〜
実験をしていたら、いつのまにか夜になっていたことに気づく。お腹が空いた。
今日は、簡単な料理でいいか。
完成した料理を食卓に並べ、食べ始める。
「いただきます」
テレビをつけ、バラエティー番組にチャンネルを合わせる。
「今日は特別ゲストにA.S.S.Fのリーダー水見さんがいらっしゃってます!!」
天幕が上がり、女性が一人出てくると黄色い声が上がる。
水見紗季、A.S.S.Fのリーダーで整った容姿とその強さで下手な芸能人より男女共に憧れられている人物だ。噂では、ファンクラブなんてものもあるらしい。レベルは知らないが相当強いと聞いたことがある。まあ、俺とは関わることがない様な人だろう。
そのバラエティー番組では、仕事やプライベートな質問などを聞いて終わった。
「ごちそうさまでした」
夜ご飯を食べ終わり、食器を片付ける。
今日は疲れた。風呂に入って、早く寝てしまおう。




