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ソロ探索者、ダンジョンに潜る  作者: 西校


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22話


 藤原の話を聞き終わった後、何事もなく探索申請を済ませてダンジョンに入ることができた。


 門を潜り2階層に着く。


 ここも、まあまあ人が多いがギルドほどではない。早く夜街エリアに行こう。


 洞窟エリアに入り、地図通りに進み夜街エリアに出る。


 まずは、カボチャ頭を探そう。


 数分後


 いた。カボチャ頭だ。


 こっちには全く気付いてない。走って近づいて一気に仕留めよう。


発動:『気配隠蔽』


 走った時の足音でカボチャ頭に気付かれないように『気配隠蔽』を使って足音を消す。


 気づかれない内に後ろから槍を構えながら走って近づいて行く。


 二メートル、一メートルとカボチャ頭との距離が近づいていく、まだ気づかれてない。


 槍が届く位置まで来た。走ったスピードの勢いのままカボチャ頭の頭の真ん中目掛けて槍を突き立てる。


 まずい!仕留め損ねた。狙いが真ん中より少し右に逸れた。カボチャ頭は痛がる様子を見せずこっちに振り返ろうとする。


 落ち着け、まだ挽回できる。


 急いで刺さったままの槍に力を入れて、左に薙ぎ払う。


 カボチャの部分は思ったより簡単に切れた。カボチャが切れた瞬間、カボチャ頭の体は重力に従って地面に落ちる。


 上手く、弱点を切れたようだ。


 この調子でどんどん狩っていこう。


 

 見つけては倒しを三回ほど繰り返した後、ふとステータスを見るといつの間にかレベルは2も上がっていて19レベルになっていた。後一回上がれば新しいスキルが手に入る。楽しみだ。


 少し嬉しくなりながらも、またカボチャ頭を探すために歩き始める。


 周囲を警戒しながら街灯があり明るい道を歩く。


発動:『危機感知』


 スキル発動の感覚と共に普段とは比べ物にならない悪寒が、身体中を走り回る。この感覚に身に覚えがある。この前の車の事故に遭いそうになった、命が危険になった時の感覚と同じだ。


 その感覚に従い、全力で後ろに飛ぶ。


 ドスン!!


 大きな音と共にさっきまで俺が居た所が爆発したように砂埃が舞う。


 危な!? 全力で後ろに跳ばなかったら無事では済まなかっただろう。それより、あれはなんだ?


 砂埃が晴れ、音の正体が現れる。


 それは、黒い棒状の鉄だった。その鉄が植物の蔦のように動いている。その鉄は一本の街灯から伸びている。植物の様な見た目に嫌な記憶が蘇る。とりあえず、鑑定だ。情報がないことには動けない。


発動:『鑑定』


《彷徨う街灯。身体は普通の街灯と同じ様な物質で構成されている。個体数が少なく、普段は街灯に擬態しているので見つけるのが非常に困難。滅多に移動しないが、移動する時は普段は地面に埋まっている伸縮可能な四本の鉄の足を器用に使い移動する。近付いてきた獲物目掛けて鉄の足を高速で突き刺す。》


 良い情報が出ない! 弱点が分かれば良かったんだが。


 そんなことをしている間にも街灯は攻撃の準備を済ませている。


 ビュン、という風切音と共に鉄の足を突き刺そうと俺目掛けて伸ばしてくる。


 危な! なんとか避けるのに成功する。見ていれば何とか避けることはできそうだ。


 どうする、逃げるか? 駄目だ。背中を向けた瞬間あの高速の攻撃にやられる。・・・・・・・・・・戦うしかない。


 まずはあいつの攻撃をどうにかしないと。攻撃を掻い潜りながら、街灯に近づいて行く。


 ある程度近づくと、攻撃もどんどん多彩になって行く。

 

 横薙ぎ、槍で受け流したり、その場にしゃがんだりして避ける。


 叩きつけ、横にステップを踏み回避する。


 攻撃する足が二本になったりもしたが何とかさまざまな攻撃を避けながら街灯に近づいて行く。


 槍が届きそうな程近くなると、街灯に変化が起きる。ニョキという擬音が聞こえそうな様子で街灯は四本の足を使って立ち上がり、すごい速度で俺から離れて行く。


 まじかよ。『鑑定』で移動できるのは知っていたがあんなに速いのかよ。


 まあ良い。立ち上がってくれたなら、やりようはある。


発動:『影操作』


 街灯の足下の影を動かす。あれだけ、縦に長いとバランスを崩すのは簡単なはずだ。


 思惑通り、街灯はバランスを崩して倒れる。


 街灯は足を使って何とか起きあがろうとしているが、そうはさせない。


 倒れている街灯に素早く近づき、三つある街灯の光っている部分の一つに槍で思い切り攻撃する。


 パリンという音を立てガラスが割れる。心無しか足の動きが遅くなったような気がする。


 ここが弱点か? 攻撃し続けよう。


 他の二つにも攻撃する。


 パリン、という音を立て一つ目は割れた。後もう一つだ。


 その時、ヒュンという風切音と共に横薙ぎの攻撃がやってくる。


「ぐふっ!!!」


 鈍い衝撃が腹にめり込んだ瞬間、肺から無理矢理空気が吐き出される。胃の奥がひっくり返るような感覚を覚え、膝を折りたくなるが、まだ耐えれる。クソ、攻撃に集中しすぎた。弱点を攻撃されて弱っているのか最初程の勢いはなく、威力もそこまで高くない。


 痛みに耐えながら、最後の一つに槍を突き刺した。


 パリンという音と共にガラスが割れ、街灯の光が消える。それと同時にあれだけ速く動いていた鉄の足も全く動かなくなった。


 しばらくは槍を向けたまま警戒するが、ほどなく光の粒子になってきた。


 はぁ、疲れた。やっと倒せた。お腹に手を当てながらスキルを発動する。


発動:『回復』


 手から淡い光が溢れ出し、お腹の痛みが完全に無くなっていった。


 さて、ドロップアイテムを確認するか。


 街灯が光の粒子に変わり、ドロップアイテムが出てくる。


 そこに落ちていたのは槍だった。しかし槍の形が妙だ。穂先は通常の槍と同じだが、柄の部分に街灯の光る部分がついていてそれが、仄かに光っている。


 とりあえず、鑑定だな。


発動:『鑑定』


《夜灯の槍。彷徨う街灯が稀に落とす武器。鉄のような金属でできているが硬さは鉄をはるかに上回る。柄の先端の光は使用者の周りの暗闇を優しく照らし続ける》


 なるほど。今使っている槍より性能が上そうだな。今使っている、半魚人の槍はスペアにして今後はこれを使おう。


 よし、ドロップアイテムの確認も済んだし、今日はこれで帰るか。


 俺は、疲れた体を動かしてギルドに帰った。

 

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