20話
今日の学校が午前中で終わり、家に速く帰ることができた。
昨日はダンジョンに行かなかったし、今日は行くか。
探索用の服に着替え、探索道具と武器を取り出し装備して玄関から出る。
「いってきます」
戸締りを確認してダンジョンに足を進めた。
今日は新しいエリアの様子を少しだけ覗いてみて、探索しても大丈夫そうならそのまま探索してみようと思う。
確か、次のエリアは中世ヨーロッパのような街並みで構成されていて、時間が夜に固定されているらしい。出てくるモンスターは、かぼちゃの頭にボロ布を纏い手に鎌を持ったモンスター、俗に言うジャック・オ・ランタンのようなモンスターが出てくるらしい。
そのモンスターは地面から少し浮いているらしい。足音がしないのは少し怖いが、俺には『危機感知』がある。余程のことがない限り不意打ちされることはないだろう。・・・・・・・・これフラグか?
まあ、スキルに頼りすぎるのも後が怖いし周囲の警戒は常にしておこう。
考え事をしていたら、あっという間にギルドに着く。
そういえば、地図を買ってなかったな、購買部で買っておくか。購買部に寄り二階層の地図を買う。
探索申請を済ませる。二階層を思い浮かべながら門を潜る。職員の人に聞いたがこれでいいんだろうか。
門を潜った先は、この前行った二階層の広場だった。後ろを見ればギルドの風景が広がっている。
本当に登録した階層に行けるんだな。すごく便利だな。
今後も活用していこう。
さて、気を取り直して新しいエリアに行くか。
先ほど買った地図を広げて、洞窟を進む。『危機感知』を活用しながら骸骨を避けながら目的の場所に進んでいく。これから、新しいエリアに行くのに無駄な体力を使ってられないからな。
モンスターを避けながら進んだから少し時間がかかったが目的地が見えてきた。
出口には太陽の光のような強い光ではなく、優しく淡い光が差し込んでいる。
警戒しながら一歩一歩慎重に出口から顔を出す。
そこには、調べた通り中世ヨーロッパの街並みが広がっている。道には街灯が設置されており明るい。
日本ではまず見れない街並み、そんな街並みよりも目を引くのは空に浮かんでいる月だ。
普段の夜に浮かぶ月とは全く違う。ニュースなどで見たことがあるスーパームーンの大きさの比ではない。
落ちてくるような錯覚さえ覚える程、大きな月が夜空に浮かんでいた。
そんなあまりにも現実とはかけ離れた景色に少し呆然とする。
発動:『危機感知』
スキル発動の感覚と共に身体中に悪寒が走る。モンスターが近づいてきているようだ。
発動:『気配隠蔽』
近くの裏路地にスキルを使いながら身を隠す。
少しすればさっきまで俺がいた場所にかぼちゃのモンスターが現れる。
発動:『鑑定』
《燃え盛る亡霊。かぼちゃの頭にボロ布と鎌で構成されたモンスター。持っている鎌はとても鋭く人の肌など簡単に切れるだろう。本体はかぼちゃの中で燃えている炎そのもの、そこを攻撃すれば簡単に倒すことができるだろう》
名前が長いな。よし、これからこのモンスターのことはカボチャ頭と呼ぼう。
情報を見る限り、狙うなら頭か。地面に落ちていた石を拾い上げ、隠れている裏路地の外に向け投げる。
カンカン
石が地面を跳ね、静かな街に音が響く。
その音に気付いたカボチャ頭が路地裏に近づいてくる。
カボチャ頭と路地裏の距離がどんどん近づいていき、何もないことを確認したのかそのまま通り過ぎていく。
スキルの効果がある間に路地裏から出て、カボチャ頭に向かって走り出す。
カボチャ頭はまだこっちに気付いていない。そのまま後ろから頭に槍を突き刺す。
槍を頭に突き立てた瞬間、カランと音を立て鎌とさっきまでカボチャ頭が纏っていたボロ布が地面に落ちる。カボチャはそのまま槍に刺さっている。
どうやら、一瞬で仕留めることができたようだ。地面に落ちたカボチャ頭の体が光の粒子に変わる。
ドロップアイテムを拾い上げ鑑定する。
発動:『鑑定』
《燃え盛る亡霊の布切れ。燃え盛る亡霊が纏っていたボロ布の一部。複数を繋ぎ合わせれば強力な防火装備ができるだろう》
これは高そうだな。ギルドの購買部にはこんな装備なかった気がするが。店員に言えば買えるのだろうか。今度確認してみよう。
とりあえず、倒す方法はわかったしこの調子でカボチャ頭を狩っていこう。
数時間後
俺は、この数時間で合計七匹のカボチャ頭を狩ることができた。どうにも、こいつらは一匹で行動している個体が多い気がする。もしかしたら、今日狩った七匹がたまたま、一匹で行動していただけかもしれないので詳しくはわからないが。
今日は充分狩れたし、帰るか。
洞窟エリアの入り口に戻り、地図を広げて中に入る。
来た時と同じようにモンスターを避けながら二階層の門を目指す。
来た時とは違いほぼ最短距離で目的地に着くことができた。
広場に着き、早速門を使いギルドに帰る。
さて、換金をしていこう。予想が正しければこの布切れは高額なはずだ。
「換金をお願いします」
窓口に向かい職員に換金を頼む。
窓口の職員は素早く、換金を済ませてくれる。
七匹で21,000円になった。一匹三千円の計算だ。まあまあ高かったな。まあ、耐火装備が作れるものだしもう少し値段は上がってもいい気がするが。まあ、こんな物か。
俺は換金結果に少し不満を持ちながらも家に帰った。
申し訳ございません。間違えて投稿してしまったので、内容を書き加えました。




