10話
変な女に絡まれてから1日経った。森林エリアでゴブリンを何体も狩ったが全くレベルが上がらない。
新しいエリアに行くべきだろうか。でもな〜、新しいエリアといえば砂浜エリアしかない。砂浜エリアは文字通り砂浜と海で構成されている第一階層最後のエリアだ。砂浜エリアに出てくるモンスターは種類が少ないが、厄介なモンスターが一種類いる。
それは、半魚人だ。半魚人は二足歩行の人のようなシルエットをした魚のモンスターだ。コイツの厄介な所は、ゴブリンやコボルトより遥かに頭が良く複数体いる時は連携も上手い、そして何より厄介なのは、どの個体も槍を持っている所だ。
つまり、俺の槍のリーチの有利が無くなった。今までのように一匹ずつ不意打ちで狩れば問題無いだろうが、何体も相手をして勝つ自信がない。
どうするか。もう少しレベルを上げてからの方が良い気がする。そうだな、もう少しレベルを上げてからにしよう。
そうと決まれば、今日もモンスターを狩っていこう。
ついでに、『影操作』の修行の成果を試したい。
実験体はすぐに見つかった。まずは、
発動:『影操作』
影を槍の刃に纏わせる。槍の穂が黒に変色する。穂に纏わせた影をそのままの形を伸ばすイメージで動かす。よし、成功だ。これで、槍のリーチが伸びた。
そして、槍をゴブリンに突き刺す。いつもと同じように槍はゴブリンの肉にめり込んでいく。
成功だ!!
影に切断性とそれに耐えれる硬度を付与することができた。咄嗟に使うのは時間がかかりすぎるから無理だけど、慣れればもっと早くできるようになるかもしれない。
『影操作』の実験は終わったし、本格的にモンスターを狩っていこう。
数時間後
気付けば昼になっていた。正確には数えてないが、十匹以上は倒したはずだ。レベルが上がっていないか確認してみよう。
「ステータス」
【名前】冬野 礼司 Lv11
【称号】『禁断の果実』
【スキル】『影操作』『鑑定』『回復』『投擲』
レベルが上がっている。昨日倒したゴブリンも十匹ぐらいだったから、今日と合わせて二十匹ぐらいか。
二十匹でレベルが上がるのか。うーん、さすがに時間がかかりすぎる。明日は、砂浜エリアに行ってみよう。危なそうだったら逃げればいい。
そういえば、今日はネット通販で頼んでいた鉄球が届く日だったな。レベルも上がったことだし帰るか。
そうして、俺はギルドに帰った。




