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不老不死
「…ねぇ、くろのす」
「ん?」
「なやみごと、ある?」
「…」
「…ごめん、言えない」
「そっか」
「わたしはね、あるよ」
「え?」
「…いつか、くろのすを、おいていっちゃう。それが、こわいの」
「あ…」
「…くろのす」
「…」
「…ふろうふしに、なるほうほう、ある?」
「…ある。けど、薦めない」
「どうして?」
「…辛いこと、いっぱいあるから」
「…」
きゅっ
「…くろのす」
「…」
「どうして、ひとりでかかえこもうとするの」
「…っ」
「いっぱいたよってよ。よりかかってよ。めいわく、かけてよ」
「…ごめん、あい。私の考えが、甘かった」
「あやまんないで。くろのすはわるくない」
「…ねえ、あい」
「ん?」
「…不老不死、なりたい?」
「なりたい」
「どうしても?」
「どうしても」
「…そっか」
「…これで、ずっといっしょ」
「…ねぇ、あい。本当に良かったの?」
「くろのす。くろのすは、わたしとずっといっしょにいたくないの?」
「…ずっと一緒に居たい。でも」
「いったじゃん。いくらでも、めいわくかけて、って」
「…」
ぎゅっ
「…だいすき」
「…わたしも」