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第一話 公爵令嬢のカーテシー

今日は、王太子殿下の婚約者を決めるパーティー。全ての王太子殿下と同じような年齢の御子息、御令嬢が招かれる、大切な日ですわ。もちろん(わたくし)もその一人。今日のことを今か今かと待ち遠しく思っておりましたの。ジャスパー家の者として、他の者に負けるなど、あってはなりませんわ。まあ、(わたくし)が、他の者に負けるなどないとは思いますけれど。公爵令嬢ですし、お母さまもお父様も絶対になれるといっておりますもの。お父様や、お母さまが間違えたことなどないのですわ。




今日のためにドレスも最新の流行を取り入れた物に新調しましたし、アクセサリーだって公爵令嬢にふさわしいものですし。




それにしても、メイク道具を取りに行ったアリアは遅いですね。まったく、あの者は愚鈍で役に立ちませんわ。今日だって、何もない所でこけますし、あれでは、ドレスを着てハイヒールを履いて踊るなど、不可能ですわ。本当に子爵令嬢だったのかしら。




と、(わたくし)のメイドであるアリアについて考えているときに、普通に開けたらならないような、バンッという不愉快な扉を大きく開けた音がする。




「お嬢様!お待たせしました。メイク道具をお持ちいたしました。」




本当に騒がしい者ですね。マナーが全くなってないですわ。ですがこれでも、メイクの腕だけは一流なのですよね。そこだけは認めてもよろしくてよ。…ですが、本当に急いでいるときでも、扉を大きな音を立てて開けるのはやめたほうがいいと思いますわ。もしこれが、王城に連れ行ったときにでもおこったと思いますと…ゾッとしますわ。




「遅いですわ。(わたくし)が一体どれだけ待ったかわかっていますの?突っ立っていないでさっさとして頂戴。あなたはメイクの腕だけは一流とみても遜色ないのですから。」




「はい。お嬢様。」




まったく、この者は本当に(わたくし)を苛立たせる天才ですわね。なぜお父様はこの者を(わたくし)の側においたのでしょうか。それだけは不思議でならないですわね。お父様が是非にでもという風に推す意味が分からないのですけれど。お父様が魅力に感じる能力などこの者にありまして?




「お嬢様、メイクがおわりましたよ。いかかでしょうか。」




「本当にメイクはできますのね。いつもの通りとても良いと思いますわ。アリア、あと何分で出発するのかしら。」




「あと10分です。お嬢様。」




「あ、な、た、という人は。もう少し早く終わらせることはできなかったんですの?もう行かなければいけないではありませんか!本当にあなたという人は、はぁ。」




「お嬢様、ため息はいけませんよ。幸せが逃げて行ってしまいます。今日に限って言えば、王太子殿下が。」




「だ、れ、の、せいだと思っておりますの!?もう、こんなことにかまけてる時間はありませんわ。行きますわよ。アリア。」






「はい。お嬢様。」





ふぅ、朝から騒がしくしてしまいましたわ。これでは淑女とは言えませんわね。もっと精進しなければ。それにしても、今から王太子殿下とお会いすると考えると、少し委縮してしまいますわね。王太子殿下といったら全御令嬢、御子息の憧れ。どのような方なのでしょうか。




そう、(わたくし)はまだお会いしたことがないのです。いくら(わたくし)が公爵令嬢でも、王様がそうお決めになられたことなので。それも、今日で終わりですわ。だって、王太子殿下が(わたくし)を選ばない訳がありませんもの。王太子殿下を全く人前に出さないという、歴史の中でもまったくないイレギュラーな事態ですので、なぜそうしたのかは少しきになるところではありますが…イレギュラーな?イレギュラーとは一体どのような意味なのでしょう。なぜ(わたくし)はそのような言葉を?わかりませんね。不思議ですわ。




「ルベラ、もうすぐ着きますよ。考え事をしていたみたいですけど、大丈夫でして?少し緊張しているのかしら?」




「はい、お母さま。王太子殿下とお会いするのは初めてですので、楽しみという気持ちもありますが、緊張のほうが勝っているのかもしれませんわ。」




「ふふっ、大丈夫ですよ。王妃殿下は(わたくし)のお友達ですし、緊張することなどないですよ。」




「それはそうなのですが…。」





「さあ、つきましたよ。ルベラ。行きましょうか。」




「はい、お母さま。」




やはり、王太子殿下の婚約者を決めるパーティーなだけあって、人も多いですわね。それにしても、いつ見ても王城の装飾は素晴らしいですわ。このような作品を作り上げるのに一体どのような時間がかかっているのでしょうか。




あら?あそこにいらっしゃるのは、ペコット侯爵令嬢ではなくて?別にいるのは不思議ではないのですが、少し挙動がおかしいですわね。緊張でしょうか。ですがいくら緊張していてもああなりまして?どちらかというと、作法を忘れてしまったかのような。なにか、別の方が成りすましているかのような。




そう思ってみれば、ペコット侯爵令嬢以外にも少し挙動がおかしい方が何人かおりますわね。どの方も、何回かパーティーでお会いした、高位貴族の方々ばかり。これは少しおかしいですわ。王太子殿下とのご挨拶が終わり次第、少し話を聞いてみるのが良いかもしれません。




あら?なんだか一瞬めまいがしたような?いけませんわ。今からお会いするというのに、体調管理ができていないだなんて。なんだか少し気分が悪いような…




「…そよ……して………しまっ…の?」

「ああ、今日は…だったのに。」

「火事に巻き込まれるだなんて。」

「久しぶりに、皆で会おうって決めたのに!なんで、なんで死んじゃったの…?(あかり)。」




そうだ。(わたくし)は、私は、転生したんだった。




「ルベラ・ジャスパー公爵令嬢。前へ」




悪役令嬢に。




「はい、陛下…」




「キャーーーーー。ど、どうしたの!ルベラ!」




遠く、遠くから声が聞こえる。お母さまの声だ。あれ、お母さまは、私の隣にいたんじゃ…?

分からない。一旦


疲れたからもう一旦寝させて…。

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