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狂ったストーリー  作者: 余
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配信きり忘れ

「では、また次回も会おうか。じゃあねー」

配信を切ろうとするけど、パソコンモニタが死んで消せない。画面の右上の方でいじっていると画面が消えたから、切れたのかな?

その瞬間、私は天音旻から佐々木涼になる。ただの、一人の人間。

「はぁー。今日も配信疲れたー」

いつもじゃ出さない、低い声。ボクの特徴だ。歌枠では低い美声とか何とか云われているけど、それがボクの素の声。あの高い声、ボイスチェンジャー使ってんだよね。

「ボクの配信、今日は変な人もいたし。なんだったんだろ?」

それは、今日の耐久配信の時の3時間半ぐらいたったころの事。名前の無いアカウントが、後は任せたとかガンバレ、ゼロとか送ってきたのだ。ホントに怖かった。


ボクは一応企業勢のヴァーチャル配信者をしている。天音旻という名前を貰っていて、水色の長髪に黒い目で胸は...まあ、ボクと同じくらい。成長しないだの絶壁だのと言われるのは聞き慣れたけど、イラストレーターさんに言っても胸は大きくしてくれない。冷たい人だよ、全く。

世界に羽ばたく大きな羽、<Jizz>。その3期生として私はいる。特徴は歌枠ぐらいかな?地声があれで、歌声だけは誇れる。他の4人に比べるとちょっと弱いけど、そもそも残りは全部人外だし。...容姿とか中身とか。

「さてと、リュカちゃんの配信見っかなー」

井上リュカ。名前はちょっと痛い感じの娘って感じだけど、見た目は完全にキメラ。腕は狼、顔は鳥。頭に狐の耳を付けて髪の色はオレンジ色。『あーゆーひゅーまん?』という挨拶のせいで完全に初見殺しだけど、意外と視聴者からの人気が高い。それは完全に無欠なほどうまいゲーム。ただただうまい、そんな人で第六感もちの人だ。クソゲーもちょくちょく配信して、クソゲーとプロゲーマーの対決企画は僕もついつい見ちゃう。


今日は歌枠だった。

「♯♭゛~」

「にゃぁぁぁぁあっぁぁぁあぁっっっっっ!?!???!!!?」

脳が、脳がぁあぁぁっぁぁっぁぁッッ!?脳が揺さぶられる、直接届く音。ボクは慌てて配信を閉じた。

「ふぅ、ふぅ...ボクの命が何個あっても足りない...。」

次に、我等が会長の配信を見ることにした。

会長、こと結城ルマちゃんはとにかく優しい。物理的にも包み込んでくれるような優しい子だ。...その胸よこせと思ったことも何回もあるけど。

作ってくれてるイラストレーターは全く同じ人で、この差。しかもあっちの方が可愛いし!イラストレーター本人が、ボクの事を「ルマっちのついでに書いた」って言ってやがるのが尚更腹立つ。

『みんな、今日もお疲れ様。...え゛?他の娘の配信見てた?ダメな子だね。そんな子は、私の配信しか見られない身体にしなきゃ...ねぇ?』

「ぴゃあぁぁぁぁあっぁあぁぁぁぁぁぁっぁぁぁっ!?」

配信枠見てなかった。配信枠は、『ヤンヤン配信者のASMR』。そう言えばそうだったー!

急いで配信を閉じようとして、

『旻ちゃーん?...まさか、他の娘の配信視に行ったりなんて...しないよね?私、見てくれてるか分かってるんだからね?』

「ひっ」

『一緒に、みーんなで仲良くしよ。...ねっ?』

「は、はいっ!」

恐怖は、配信終了まで続いた。


「こわ、怖かったァ...。ユキちゃんの見にいこー...」

相川ユキちゃんは、大体鬼畜な発言ばっかりしている。メンヘラなところがあるけど、今回は逆にましなんじゃないのかな?あのルマっちがあれだし。

『あー!旻ちゃん来てくれたんだー!...ずっといっしょだよ?』

「勘違いです」

即切り。会長ほど怖くないから堪えられた。後はあとの自分に任せよ。

最後の希望のために、ボクは余さんの配信を開いた。

余さんは、ホントに名前が余さんな人。正式名称はたしか、ドラゲリオン・エミリア・キュルヴィース・クエリアエンデ・エヴォレディアス・ジ・アトミカルレイジ・ファントムペイン・スピアヘッドだけど、長すぎてドラゲリさんもしくは名前のまま余さんと呼ばれている。一人称も余なので、ボクも余さん呼び。そして僕たちを書いてくれたイラストレーターさんでもあって、とっても可愛い。胸があるのが恨めしい、可愛い龍の少女だ。

『お、やっほー!余の所に来るなんて、全く可愛い娘だ!愛でてやろう!』

「余ー!余ー!」

余さんに会うと、毎回こうなっちゃう。なぜか「余ー」としか喋れなくなって、でも余さんはそれを正しく読み取ってくれる。

『うんうん、怖かったな。それはそうと、配信音入りっぱなしで実質同期に凸してるだけだが大丈夫なのか?』

「...え゛?」

急いで確認する。ボクの配信...『ライブ』。………...。

「はぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっっっ!?」

大荒れに荒れた配信は、謎のコメントもあってか『ゼロちゃん、顔を出す』という日本ツイート4位の数字と共に広がった。

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