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2話 『櫻野由井』
お読みいただきありがとうございます。
「ねえ、聞いてる?」
いつもの話だと聞いていないのがばれてしまった。
「聞いてるよ」
そう言ってまた話を聞こうとするが、彼女の顔は信じていない顔だった。
これも人に興味がないことが関係するのだろうか。
いや、これは違うだろう。
そんなことを思っていたら彼女はまた話し始めた。
「だから、私の恋が実るためにはどうすればいいかって話!」
気になっている人の話をしていたと思えばいつのまにか恋の成就の話になっていたのだ。
無理のものは無理だ、などといえるわけもない。そんなことをした暁には、次の日にはただクラスで窓の外を一日中眺めるだけの生活になるだろう。
それもそれでいいな、などと思う。
「さしすせそだな。それがいい。」
ネットで見たことのある知識を披露して見せた。こういうたぐいの知識は彼女には新鮮なので良く効く。
幾度となくこの知識の披露で逃れてきたこともあるのだ。
使ってるところは見たことはないが....
まあ、そういうことだ。この会話に意味などない。
ただ、この意味のない会話をお互いに楽しんでいるような、そんな気がする。
これが毎日続く。そんな生活が好きだったのだろう。
彼女が死ぬまでは。




