4話 精神治療
期日通り
「いいか、人が地球一番繁栄の種族になったのは自己保護一番長けるからだ。物理的にも、精神的にもね」
「そう? 簡単に殺したか?」
「お前ほどの殺戮者はそうそういない。それにお前も人だ」
「俺も?」
「当たり前だ」
「……………」
「? どうした?」
「その……、痛覚を失ったことで真っ白になって………廃人になる人はどう治療する?」
「痛覚……………そうか」
「なんだ?」
「お前は赤ん坊を見たことがある?」
「ない」
「では子供は?」
「見た」
「お前から見て子供は何色?」
「………浅い透明」
「赤ん坊は多分……透明と思うよ」
「なぜ赤ん坊はいつも泣くと思う?」
「………分からない」
「それは世界からの刺激を受け続けるからさ、誰もそう成長する」
○◇○
まず料理からだ。治療はモノに色んな刺激を経験させる。そう決めた。まずは料理よる味覚の刺激から始まる。
一先ず美味しいカニ鍋とワニ焼き肉を作った。今は冬で良かったな。水は魔術で蒸溜したものだ。
「はい、食べていいぞ」
モノにカニ肉とワニ肉一つずつ与え、モノはゆっくりと食べだが………
変化なし……か。
先はまともの調味のモノ、これからは刺激の調味をする。
まず塩から……
「これを食べろ」
「……………………」
おお! ちょっと色がでだ⁉︎
今回はしょ梅をしよう。
「……――……――」
よし、まだ違う色が出て来た。次は苦味だ。
「………」
えぇ⁉︎ 元の透明に戻った‼︎ 一体この子に何を食べさせたの! あの邪教徒共め⁉︎
「まあいい、最後は激辛だ」
俺は激辛のメシをモノに食べた――
「………………はむはむはむ」
えぇ⁉︎ おいしいだと⁉︎ どういう味覚しているの⁉︎
「はむはむはむはむ」
……まあいい、味覚の反応を確認した。次は触覚………マサージをやろう。
洞窟へ戻って、少し食後運動をした後、俺はモノを麦溜まりに伏せさせた。
「さて、ちくちくちくちくちく――」
「うぐ! れぐらぐ――⁉︎」
おぉ〜喜び、やっはりうつつ痒いは生物共通の弱点だな〜
次は触ってみよう。
「………うん?」
鰐皮を触ってさせたが、疑惑が出て来た。次は砂、貝、蟹革、海水など手元の物を一ずつ触っさせた。
大きな変化はなかったが、少し色が付いている。
聴覚は海猫、貝と波の声を聴かせながら、おかしいノイズを聴かせる。
視覚は治療用な図面と刺激の図面、そして海と夕日を見せた。
嗅覚は香りと不味い匂いを嗅わせた。不味い匂いの時、殆ど変化はなかった。相当に慣れたと見える。香りの方は困惑を産み出した。
今はやっと三歳児ほどの色を付いていた。
親は大変だな