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ホッカイドー観光4

 ホッカイドー観光ドライブも三日目の朝を迎えた。

 今日は遅めに出発した。理由はお目当ての飲食店の開店時間に合わせているからだ。

 前日に丸山さんから教えてもらった「豚まん」のおいしい店。

 そこは豚まん屋でもあるが「シフォンケーキ」「カキ氷」「綿アメ」「アジア唐揚げ」と何屋なのかという店なのだが、周辺に大学や高校、中学が多くあり、しかも値段が安いという。

 大竹は大阪に行けば必ず買うほど豚まんが好物で、東京にいた頃は都内はもちろん横浜にも行っても食べていた。

 もちろんアジアの旅でも見つけしだい買っていた。

 北見の店は国道沿いにあるのでちょうどいい。

 十一時の開店と同時に入ると、店主らしきダンディーな男性が現れた。

 一見すると外国人俳優にも見えるが名前が思い出せない。

 メニューは豚まんとニラマンがあったので、それぞれ二個づつ買った。

 丸山さんが言うには、この店は他と違ってベーキングパウダーや化学調味料や大豆タンパクを使っていなく安心安全で美味しいという。

 店主に訊いたら「近所の豆腐屋さんのオカラを混ぜている」と言っていた。

 車に乗り込み運転しながら食べたが、ニラまんの臭いが車内に充満してすぐに窓を全開にした。

 そういえば、大阪駅で豚まんを買った人が新幹線食べるとすぐわかるという話を聞いたことがあったな。暗黙の決まりで豚まんは車内で食べてはいけないという。


 北見の次に向かうのは十勝平野の真ん中にある帯広。

 普通だったら網走に行くのだろうが、海育ちの大竹にしてみれば特に珍しくも無い景色なので今回はパスした。一度来たことがあるし、ピーターも海沿いの街生まれだしいいだろういうことになった。

 北見から車で二時間で着いたのは美幌峠。

 ここは頂上から三百六十度の景色が見渡され、知床半島から大雪山まで一望できる景勝地だ。

 一度来たことがあるが、絶対もう一度来ようと決めた場所だった。

 大竹は個人的に世界でもまれに見る景勝地だと思っている。

 なぜなら、海と山を眺められ、しかも交通の便が良くお気軽に来られるからだ。

 ここまでの場所は普通は相当苦労するか時間がかかるはずなのに。

 昔行ったことのあるイタリアのサンマリノ共和国の山頂からアドリア海を望むよりすばらしいとさえ思っていた。そこは行くのにバスかロープウェイにしかない不便な場所だった。

 バスはリミニの駅前から出ていたが、一本逃すと次の運行が一時間後という。

 それに比べ美幌峠は自家用車はもちろんバスも出ているし、併設されているドライブインは最新のトイレ設備だから快適なのだ。

 できれば夜に来て屈斜路湖に映る月と照らされる知床の山々を見てみたいが仕方がない。


 美幌峠を下り屈斜路湖を過ぎ阿寒湖を横目にして向かったのは「オンネトー」と「白藤の滝」。

 オンネトーは温泉の滝、白藤は瀑布を見られる。

 滝といえば仙台の西の奥に「秋保大滝」がある。

 日光の滝も悪くないが、秋保も白藤も滝に触れるほど近くに寄って見ることができる。

 大竹は旅先で滝の名所があればわざわざ行っていた。

 台湾の隻龍は地元の子供たちに案内してもらったし、フランスでは水汲みに来ていた地元民に連られて行った。


 二時間、最終目的地の帯広が近づいて来た。

 十勝平野は地平線を確認できるほど広いので、山間部の足寄あしょろから抜けて入るとすぐわかる。

 帯広に早めに着きたいと思ったのは大事な目的があったからだ。

 帯広といえば「スイーツ王国」

 十勝平野は昔から小豆はもちろん、砂糖の原料のビートや小麦など畑作が盛んなうえ、酪農で牛乳の生産量も多い。

 お菓子を作るなと言っても無理なくらい条件が揃っている。

 ちなみに「豚丼」も同じような理由で発展している。

 市内には菓子専門店が多く、食べ比べしようものなら胃袋が何個もあっても足りない。

 だから当日中に食べなくてはいけないものと、保存がきくものをしっかり考えて買う。

 当然外せないのはシュークリーム。

 これは永遠に食べられると思ってるのだが、さすがに他のも食べなくてはいけないのでセーブしている。

 まずは国道沿いにある大型店舗でバウムクーヘンなどを買い、市内の個人店を巡る。

 一応のチェックはしているが、途中で見つけるとすぐさま立ち寄ることをしていたので、あっという間に想定以上の量を買ってしまった。

 以前は一人で来たのでどうしても限られた品数しか食べられなかったが、今回はピーターという相棒がいるのでシェアすることができる。

 つまり単純に倍の種類が味わえるということだ。

 おっさんと長身の外人の男二人だと都内のような街で食べ歩きをしていれば目立つことだろうが、ここ帯広では車移動なのでなんのことはない。

 

 そんなことを思って買い集めていたのだが、それまで黙っていたピーターが大竹に言った。


 「大竹さん、お菓子以外を食べたいのですが、豚丼屋には行かないんですか」


 どうもお菓子に飽きてきたようだ。

 彼に期待して買い集め、後部座席に詰め込んでいる紙袋の山を二人して眺める。


 「たしかにそうだな、それじゃあ夕食には早いけど行きますか」


 ピーターは思った。

 昼に豚まんを食べて、美幌峠でソフトクリームと揚げ芋を食べたっきりで、帯広では甘いものしか口に入れていない。

 米の飯が食べたいと思っている自分のほうが日本人なのではと。


 帯広動物園の近くにある食堂に入った。

 豚丼の専門店もあるが、食堂のメニューの一つとしてある店のほうが良心的な値段でおいしいのはどこでも同じだ。

 豚丼はバラ肉使用が安価になっているが、切り方とサイズによってはロース肉より美味しいと思っている。

 大竹は自宅で豚丼はよくつくっていた。

 焼いた肉に焼き鳥のタレか鰻のタレを絡めればできるお手軽な料理。

 豚バラのブロック肉を厚めにカットして焼く。

 玉ねぎなどの野菜と一緒に焼くのなら、小指サイズの拍子切りにすると美味しい。

 

 今夜は十勝川温泉に泊まるためホテルに向かう。

 夏には北海道で一番の花火大会が開かれるので全道からあふれるばかりの人が集まるが、普段はそうでもない。

 ホテルにチェックインしてとりあえず風呂だが、部屋の冷蔵庫にシュークリームを冷やしておくことを忘れない。

 それを見ていたピーターが言った。


 「それは食後に食べるのですか、それとも食前ですか」


 「当然、どっちもだよ」


 ピーターは何も言わず大浴場へ向かった。



 

 

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