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移住問題で

いつのまにか累計PVが1万を超えていました 独り言のような文章に付き合ってくださったみなさんありがとうございます。 プロットがなく日々の思い付きエピソードで更新をしていますので 更新されない時は単にネタ切れだと思ってください

閑話のようなときはネタが浮かんでこないんだとご想像いただければ幸いです。

自分で読み返してもつたない文ですがこれからもよろしくお願いします。

 「大海さん知っていましたか、九州からの移住希望者がとても多いようなんですよ、しかも若者と女性ばかりだそうです」


 佐倉は大海に会うなりそう言った。


 「へえ、そうなんだ、なんでかな。九州は中国と台湾の共同支配と朝鮮半島の人間が大量に移住してきているからかな。いきなり日本とは価値観が異なる政治体制になったからか。

 でも基本的に生活の変化はしていないはずだよ、納税が日本でないとかくらいで生活習慣や伝統はそのままのはずだと思っていたけどな」


 「そのとおりです、ですがその変わらないことが要因らしいんですよ」


 佐倉は大海に説明しようと資料を渡した。

 そこには移住希望者への聞き取り調査の内容が記されていた。

 アンケート形式のようになっている。


 移住は簡単にはできないことになっていた。

 つまり難民申請のようなものか、ある程度の資産があって日本に貢献できるような人間か不足している福祉関係の人材でなければならない。

 

 今の日本は東京の人口一千万人が全国に散らばった状態になっている。

 定住先が決まっているのもいれば、そうでない人間もいる。

 とても流動的で不安定な状態が続いている。

 春の移動シーズンが毎月あるようなものだ。


 「その内容によりますと、多いのが伝統的なブラック校則による人権侵害と根強い男尊女卑のようなんです。

 つまり儒教思想が強くなってきているようなんです。

 どうも中国などの大陸の影響みたいなんですが、これまで旧日本でジェンダーや校則の見直し運動が進んできたのが一転、中国から逆の推奨が行われているようなんです。

 当の中国では資本主義的な経済活動で利益追求のためなら高齢者でも容赦しないとか、戸籍差別からくる金を稼ぐことが勝ち組最優先価値観となってきて、伝統的な理想の倫理観が崩れてきていたのが問題となっており、アジアでかろうじて儒教思想が残っていた日本、しかもより強かった九州を理想のモデルとして仕立て上げようという目論見があるようなんです。

 これ幸いに、高齢者や旧政権の支持者だった人たちは正義は我にありというぐあいに積極的になっているようなんです」


 つまり中国の支配が旧体制の人たちには都合が良かったことになる。

 人生党の理念は旧態依然とした日本の価値感をひっくり返すこと。

 それらの足を引っ張る西日本、特に九州四国は特に警戒していた。

 佐倉は説明を続ける。


 「最近では公立中学校の運動会でなんですが、服装違反を点数で判定して、それを運動会当日の点数から引いて勝敗を決めるということをしているそうです。

 何のための服装規定なのか本末転倒のやりかたがまかり通っているようですね。

 人生党の公約は現在の日本国民のために考えたものでしたから、九州の人たちの支持率は不明でしたが、これによると当然ながら反対勢力が強いようですね」


 「それはそうだよ。日本から九州が離れたからこそ公約が実現できると考えてのことだから。

 それでも関西から西の田舎はまだまだ根強く残っているようだよ。

 表向きは賛同しているようだが、男たちや高齢者が飲み屋や集会所で愚痴を語り合うのが酒のツマミになっているようだから。

 これまでの慣習に優遇されてきた人達にしてみれば、贔屓にされないことが不遇だと思っているらしい。相手に不遇を押し付けてきたことを知らずにね。

 まあそれも人生党が続きその人たちがいなくなれば自然に正常な社会になると思うけどね、時間の問題だよ」


 大海は想定内のことなので心配無用と言わんばかりだった。

 

 「それがですね、そうとも言っていられないようなんです。

 ちょうど一年という節目だからなのか、ここ最近は申請者が急増しているようなんですよ。

 どうも日本が介護、保育、看護などの女性が多い専門職の補充をするために補助金をしているじゃないですか。

 それがあって比較的資格が取りやすい介護職の女性が急増してるそうなんです。

 現職でもない事務職や販売でも休日に資格を取ってまでだそうです。

 こちらとしても専門職の希望者が多いのは歓迎すべきところなんですが、あまりにも急なムーブメントで手続きが追い付かない状態なんです。

 介護ばかりじゃなく、九州で現役の看護、保育関係の人までもそうですから。

 このままでいくと九州の人材がいなくなるのではないかと危惧されているようなんです」


 大海は佐倉の危機感が伝わっていないのか、冷静な表情をしている。


 「もしそうなりそうなら九州でも待遇改善をすればいいだけのこと。

 自業自得とは言わないけど、それだけ女性たちが不満を持っていたことを自覚できたんじゃないかな。

 それに無条件で受け入れているわけじゃないから。専門職で移住した場合は、その仕事を最低五年は続けてもらうことになっている。

 そして何かしらの問題を起こせば即刻送還という罰則付きなんだけどね。

 それだけの縛りがあるのに転職をしてまで日本に移住したい、九州から出たいといういうことなんだろう。

 日本女性は少なくなるだろうけど、元日本の九州に住みたいという大陸の人は多いらしいよ。

 大陸は戸籍制度で地方の人は都市部に永住できないけど九州は植民地扱いだから制限はかからないそうだ。

 九州を中国人で占めるという思惑があるんだろうな。

 今の日本としては別に困るようなことにはならない。困るのは旧政権支持者と男性だけになる。

 でも本当に困るのかといえばそうじゃないと僕は思うけどね。

 結婚相手が日本人女性じゃないというだけの話で。

 ただ大陸の女性はけっこう強いらしいから、九州男児という意識が変化することになるかもね。 

 それが困ることなのかもしれないが、それこそがジェンダー解消に効果的だろうし。

 同じような状況の北海道はそんなことになっていないようだよ。

 僕は知事をやっていたからよく知っているけど、道産子女性は強いから。離婚率が全国一だから母子家庭が多いけど、男性以上にたくましく生きているよ。

 ススキのとかの繁華街文化も各地にあるのもそのせいかもしれない。飲食店や風俗はセーフティーネットの役割を担っているからね。 

 それに公務員希望の女性が多いから結果的に優秀で美人な職員が集まっている。

 日本は女性の地位向上の改善を第一公約にしているけど、北海道から出てまでも移住したいとは思わないんだろうな。

 それだけ生きやすい風土なんだろう。しかも今では景気が急上昇しているから逃げ出すほうが損になっている。

 九州の女性からしてみれば本音は北海道かもしれないね。

 東京の一千万人が全国に散らばったことで人口密度が高まっているから、空いている北海道は魅力度高いだろうし。

 実際に日本から北海道に移住したい人は多いそうだよ。

 いずれ日本列島はアメリカのように人種のミックスされた土地になるだろう。

 異なるのは最初から想定されているので、差別禁止関連法が整備されるということで世界でも稀な地域が出来上がる。

 連合国の影響は残るが、列島一帯は特別地域としてあらゆる文化、産業が自由に発展するだろうと思うよ。

 まあ実現するのはだいぶ先の未来になるだろうけど。

 今回の九州からの移住騒動は、それらの試金石になるだろうな。

 だから日本は邪魔をせずに静観しているのが一番いい。

 手続きに関係している人達はご苦労様だけど。

 そうだな、職員の増員をしましょうか。

 短期間でいいので入国法の改正で入国管理局の業務を改変してスムーズに処理できるようにしたり、各自治体から短期の出張という形で支援してもらいますか」


 佐倉は大海がこれだけ冷静に答えているということは以前からこういうことを想定していたのではないかと考えた。


 「大海さんは以前からこうなるだろうと予想していたんですか」


 大海は不思議そうな表情を佐倉に向けて答えた。


 「想定していたことの一つではあったし、一番可能性が高いだろうとは思っていたよ。

 でも誰でもそう考えるんじゃないかな。

 日本は理想的な国を創るために動いている。そこに期待を寄せる人は多くいるだろう。

 それが九州ならそういうことになるだろうなとね」


 佐倉は総理になってからは国内関係を重点的にこなしていて、外交などは内閣と党の専門家や大海たちなどの初期メンバーに頼ってきた。

 政治家としての経験の差がなのかもしれないが、大海の俯瞰的で未来的な思考はさすがだと思った。


 「大海さんが総理になったほうが日本の為になるんじゃないですかね、僕だとどうしても経験不足が出てしまいます」


 佐倉は大海を頼りになる兄貴として慕っているからこその弱気を口に出した。


 「何言ってんです、国民に一番愛されている佐倉さんだから総理が務まるんですよ。

 例え失敗しても、やらかしたとしても許される、再チャンスをもらえる代議士なんて他にいません。

 中身の政策立案などは僕や党、それに大竹さんをはじめとする連合国がサポートしますから。

 何も一人で国を背負うのが総理の仕事じゃないんですよ。

 全国民から助けてもらえる仕事が総理というだけなんです。

 これまでの旧日本の総理はそうじゃなかったから以前の日本になってしまった。

 佐倉さんじゃなかったら今もこれからも日本はうまく進んで行かないでしょう。

 政治力というの人間力そのものなんですから。

 それを国民が選挙で認めてくれたんですから自信を持ってください。

 うまくいっているから移住希望が増えたんですよ」


 大海は佐倉の存在そのものが誰にも代えがたいと言った。

 佐倉にはアイドルという仕事で人気があるだけのお飾りのようなものだと思っていた。

 お飾りであっても自分が日本を変えるためには必要ならば神輿に乗ろうと覚悟をした。

 今の大海の言葉によって自分が予想した以上に「佐倉総理」が日本にとって要だということに気づかされた。

 就任してから一年近くになるが、ようやく「総理」というものの存在と役割が理解できた思った。

 「総理」とは国民一人一人の先頭に立つ代弁者だということに。

 

 


 





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