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安全安心

 大竹はピーターと二人で地下鉄のホームにいた。

 市内では基本的に公共交通を使っている。

 最近は大竹が探られているようで、政府が用意するような車に乗っていると、それだけで目を付けられる可能性がある。

 大海たちと連絡はメールか電話で済まし、直接会うのは大阪のモジャのバーのような周囲に人が少ないところを選んでいる。

 大阪の地下鉄は不審者など心の心理状態が行動に現れる様子をAIで分析するシステムを導入してたことにより、尾行とかを企んでも警戒されるようになった。

 不審者が車両に侵入したらアラームとサインが車内にも出る。複数の乗客ならいいが単身で警告が鳴ると特定される。

 だからといって周囲が通報するとかはしない。それこそ人権侵害になる。

 安全を考慮するなら近づかないようにするのは個人の自由になっている。

 サイコパスを発見するようなものになっているが、誰でもその要素はある。

 その占める割合が多いか少ないか、その時は気に食わないことがあって気分が攻撃的なっていたかもしれない。

 誰でも胸に手を当てればわかることだ。

 普通は悪と善が半々の人が多数派だろう。

 悪が多すぎれば犯罪者、少なすぎる善人の塊は逆に障碍者とされる。

 悪はまだしも善が多くて社会から疎まれるのは自分の悪を認めることを許せないだけ。

 人間というものを悟った人だけが福祉の仕事に就けれるのは当たり前な話。

 よく高齢者福祉の人手不足から他の職でドロップアウトをした人が集まるケースが少なくない。

 でも介護は誰でもできる仕事では無いのに安易に選び問題行動を起こし虐待犯罪をする。

 本来なら保育士などように専門の勉強を数年してからやるべきなのに、短期の教習で現場に入る。

 保育士も女性だから母だからできて当然なことだと男性目線の理由で給与た待遇が悪かった。

 しかし他人の子供を複数人を長時間預かることは専門職でなければできない。

 もっと言えば動物園の飼育員もペット飼育と同じレベルと考えている人も少なくないという。

 当然だが専門知識はマニア以上のものが必要とされる。

 

 大竹はホームの様子が以前とは異なることを発見した。

 痴漢被害に遭わない女性が車両を選び待機することは想定内でいいのだが、ベビーカーを押しているママが以前より目立って多いと感じた。

 ベビーカーは性能機能で大きく二つに分かれる。

 走行性積載性に優れた頑丈だが大きく重いもの。

 コンパクトに折りたためるが機能性を犠牲にしているもの。

 出かける時はもちろん前者になるが、段差や上り坂では大変だ。

 特に地下鉄に乗る時はエレベーターを使い、乗り込む際も他の乗客よりもたつく。

 それを邪魔とするか補助するかは個人の自由だが、痴漢システムは邪魔という感情までも感知してしまうらしい。

 つまり安全な車両を選べばベビーカーにとっては歓迎されていることになる。

 旦那と一緒ならそんなことは気にする必要が無いが、一人でベビーカーを押していると必ずと言っていいほど舌打ちや、あからさまな文句を聞こえるように言う乗客がいた。

 しかしシステムによってそういう邪悪な男はしだいに避けるようになってきたようだ。

 痴漢が減ったばかりでなく、邪悪な男も減るという想定外の効果が生まれた。


 大竹はピーターに言う。


 「なんかベビーカーママさんが一人で外出できるようになって良かったな」


 「欧州ではこんなシステムを導入しなくても大丈夫なんですけどね」


 「そうなんだよな、僕も昔フランスの地下鉄で前を歩いていた紳士が僕の為にドアを押さえてくれていたんだ。確かに荷物が多くありがたかったけど、僕は自宅を出て離陸するまでそんなことを日本では誰にもされなかったから衝撃だったよ。

 しかも男性のほとんどが当たり前のようにやっていた。僕のようなアジア人旅行者なんて不審者みたいなもんじゃない?

 ああ、これが民度の差だと感じてしまったよ。

 女性に対しての心遣いに関しては日本なんて文明のない未開の国からな。

 女性の職業とされてきた看護師、保育士なんて典型的なものだし。

 話は違うが、確か夫婦で週に三回は営みがあるのが平均な数字だなんていうじゃない。

 日本なんてセックスレスが当たり前、男は風俗やキャバクラに通って金を使うこそが一人前な風潮があるからな。

 僕の子供の頃なんて、温泉街と台湾旅行に行く男だけの団体なんて売春目的だったからね。それを会社や団体が福利厚生で補助していたくらいだから。信じられないだろ」


 「それは初めて知りましたね。そうなんですか。でも日本のアダルト産業はモザイクは入れるけど抜け道ばかりで年齢規制もおかしいですよね」


 「それは社会の決め事は大人の男がやっているからね。自分たちに都合の悪いことをやるわけないだろ。

 酒や煙草も同じさ、昔は酒、煙草、女にギャンブルが大人の男の証みたいなもんんだったからね。

 でも日本も明治時代は子供も煙草を買って吸えていたんだよ。

 煙草が機械で大量生産されて安くなり、子供が駄菓子を買うようにバラ売りの煙草を吸っていたんだ。

 でも国のお偉いさんが「生意気だけしからん」と言って禁止になったんだ。健康面なんて後付けだからね、笑える」


 「なんでけしからんということになったんですか」


 「それはね、煙草と酒は稼ぎのある男だけの特権だったのさ。浮世絵で煙草を吸っているのは遊女ぐらい。つまり自分で稼いでいるのなら文句は出なかったんだ。

 だから普通の主婦の女性は煙草を吸っていなかった」


 「そうか、大人の領分を子供が侵したからけしからんということなんですね」


 「そういうこと。しかも煙草も酒も税金がいっぱい掛かっているだろ。

 しかも産業として大きくなり過ぎた。ここで禁止とか言い出すなんて、五輪を中止しますというより危険なことなんだよ。

 まあそんな肝が据わった政治家なんて最初からいなかったけどね」


 「でも大竹さん達はやろうとするんでしょ?」


 「そう、でも禁止にはしない。用法用量を守ってもらうだけどね。飲食店では酒の提供はするが専用のサイズと形状で市販品より安く卸す。

 市販品は少量サイズで高く販売する。つまり家で飲むより外のほうがお得にする。

 タクシーや運転代行が捕まりやすくなるし、宅飲みが減るから飲酒運転も減る。

 飲食店は利益も大きくなるしね、酒が悪者ということにはならないだろうし。

 飲酒年齢は教育基本法の改正で十六歳から大人として扱うから飲酒もOKにする。

 しかし飲酒運転や泥酔など酒にかかわる犯罪は厳罰にしようと思うんだ。

 法案は春になるから先のことになるけど、予告は伝えているからメーカーは対応するのに大変だろうな。

 でも売り上げが落ちるとは思えないからね大丈夫だろ。飲酒の習慣がある人が値段が高くなったからといって禁酒するとは思えないないからね。

 煙草は嫌われ者の立場を確立しているけど酒はいくら飲酒事故が起きても改善されていなかったからね。

 それにもし店で安く提供して事故が起きたなら店側も同罪で処罰するから効果はあるよ。

 あとは店側の努力になるかもだけど、リピーターのためにタクシーチケットのようなポイントを付与したりも可能だから、そういうところも考えていくといいだろうな」


 「いろいろやることが多そうですね」


 「そうなんだよ、単純に酒を禁止なんてすると絶対に裏技や隠れた店で販売するだろ。

 覚せい剤や大麻がそうだからね。ルールさえ守れば殴り合ってもいいボクシングと同じさ。

 ピーターは知っているかどうかしらんけど、覚せい剤は昔の東京五輪までは手に入ったんだよ、だって薬の助けが無かったら突貫で工事なんかできないくらいのことだったんだよ。

 ただ中毒者が殺人事件を起こしたから禁止になったけどね。

 元々日本が発明した興奮剤だったから、当時は栄養補給薬のような感じだったらしい。

 戦争にも使われたり戦後の復興にも役立った。

 それにアメリカの禁酒法の取締官は法が廃止になったら失業するから大麻などの薬物担当に移動したそうだよ。大麻は禁止薬物じゃなかったのにわざわざ煙草のライバルだったから、弱小メーカーは狙われたというわけさ。

 全ては国の都合で法律は運用されうからね、健康とかは後付けでしかない。

 でも僕らは違う。

 国民の健康、家族の平和のために法改正をする。

 それが人生党が政権を任されている使命だからね。

 ほんと日本が壊れてから良かったことばかりになった。

 そのかわり忙しくなったんだけどね」


 「僕らが忙しいほど日本が良くなるのならいいじゃないですか」


 「それもそうだね」


 二人は赤ん坊をあやしているママを見守りながらうなずき合った。

 








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