北海道との
最近になって大竹の存在を確認されたようだ。
人生党に何度か連絡があったからだ。
トウキョウと京都を往復しているヘリコプターに毎回同じ日本人がいる。
京都のヘリコプター基地は周辺が厳戒に保たれているので望遠でようやく判別できるくらいなのにだ。
最初は政府に問い合わせの連絡が来たが、SPということで納得してもらっていた。
しかし同じような服装の人物が大阪に行ったり来たり、佐倉総理とも親しく話すところも目撃されたようだ。
マスコミはいくつかのピースを繋ぎ合わせるとできる空欄を埋める人物だと判断した。
連合国とのパイプ役の人物。
彼の素性を確かめようにも人生党が発表した資料には載っていなかった。
名前も年齢もわからない。国籍が日本ということも怪しい。
正面からの画像がないので他の資料を探してもわからない。
ただ服装がいつもカジュアルだということ、年齢は大海より上で大池より下ということ。
ほとんどトウキョウにいるということ。
トウキョウだから情報がほとんど入らない。
住んでいるのは皇居であることは間違いないだろう。
彼はこれまでメディアに出ていたわけでも、どこかの教授でもなく、ユーチューバーでもなく、ましてやインフルエンサーでもない。
全くの無名な人間のようだ。
じゃあなぜ政府の要職を務めているのか。
マスコミでなくても疑問に思うだろう。
旧政権の関係者にも取材してみたが、該当するような人物はいなかった。
見えているのに見えない存在。まるでVR映像のような人間だ。
政府や人生党がはっきり答えないということは重要な人物であることは間違いない。
普通の一般人で役職も普通なら隠す必要がないからだ。
一介の記者では限界があるので旧政権の有力者で今は引退している人物にお願いした。
現政府に対抗するネタになりそうなので積極的に協力してくれた。
彼はトウキョウに潜入させる計画を練り実行したが誰一人として戻ってこなかった。
そして記者に諦めろと言った。
納得いかないが自分がトウキョウに行ったらどうなるか想像できる。
絶対にいつか暴いてやると心に決めた。
そんなことを知るよしもない大竹はいつもの服装で皇居のトウキョウベースにいた。
最近はロシアと日本の関係を強化することに奔走していた。
ロシアつまり北海道との関係だ。
北海道はロシアにとって宝の山のような存在になった。
農産物はもちろん、酒などの生産物はロシア国民はもちろん周辺国に大人気になっている。
都会では高級食材となっているくらいだ。
これまでは日本製の中古車が大人気だったが、今では新車もスムーズに安く買える。
ロシアの農産物も北海道に運べば関税無しで日本に売れる。
しかし懸案事項もいくつか残っている。
特に自衛隊の処遇についてだ。
現日本の自衛隊は別組織に再編される予定だが、北海道は外国なので無関係になっている。
彼らは下士官でない限り地元の人間だ。
しかも北海道各地隅々に駐屯地がある。
町にあるので地域の経済や生活に大きな影響を与えている。
もし駐屯地が無くなったらその町の財政は破綻するし、人口も半減する。
近隣市町村と合併するしかないが、合併ブームの際に拒否して不遜を買っているから今更なことだ。
どこも助けてはくれないだろう。
地図上から消えるただの土地になってしまう。
安易な方策としてはロシア軍にすることだがロシア軍も財政が良くないらしい。
そこで僕は提案した。
日本のように再編をする。
しかし多少異なった編成をする。北海道ならではの事案があるからだ。
基本的に災害救助と伴う復興の部隊は残す。
この部隊は平常時に所属部隊の特性を生かした職に従事してもらう。
給与の補助をしておくので雇用には困らないだろうし、むしろ人材不足を解消できる。
重機を動かせるのなら建設業、冬季は除雪作業に。
これらは高年齢化で慢性的な先細りの危機にあるので救世主になる。
とくに除雪は北海道の死活問題につながる。
雪が多ければ作業員が不足する、少なければ経営が厳しくなる。
その両方が解決できるようになる名案ができた。
それら以外の職種でも雇用補助を出すので緊急出動でも困らないようにできる。
つまり自衛隊員を隠れ忍者のような存在にする。
普段は普通のおじさんが災害になればヒーローに変身するというわけだ。
うまくいくといいがやってみなけらばわからない。
ちなみに戦車とか航空機はロシア国旗がつけられている。
彼らが西方の紛争地に行くことはない。
地球を半周するような派兵は割に合わないからだ。
だからといって確約しているわけじゃない。
人員が不足すれば招集をかけるが、旧日本とは違うことを理解してもらわなければならない。
もし任務中に亡くなったとしても他の公務員と同じで公務事故として遺族に保証金は払うので安心して欲しい。
そういえば自衛隊とかの遺族の奥さんが急に大金が入って再婚するか都会に移住する人が多いという噂を聞いたが本当かな。
ロシアから北海道に天然ガスのパイプラインが引かれるが、将来的に青函トンネルを通して日本にも供給しようという計画が持ち上がっている。
それには函館までにパイプが延びることが前提だが、トンネル内を工事するだけだから工期も早く済むだろう。
青函トンネルには坑道が何本かあるので、そのうちの一本を使用する。
JR北海道はロシアの国営になるが、JR貨物の北海道もその範囲に入る。
新幹線は旅客中心より貨物に寄せて運行することにした。
元々旅客より貨物のほうが利益が高いのだが、JR貨物はJR北海道の経営とは別だったので関係なかったが、ロシアが接収することにより北海道からの運送は全て収益となる。
昔の北海道民は東京に行くときほとんどは飛行機を使う。新幹線は函館の人しかいない。
札幌まで延伸する前に中止となったことは崩壊で得た幸運のひとつだ。
工事にともなう毒性のある残土の問題が解決していないのに無理に進めようとしていたからだ。
例え札幌まで新幹線が通っても利用客は望めなかったであろう。
どう考えても飛行機のほうが速くて安いのだから。
時間がかかってもいい人はフェリーがあるからそちらを選ぶ。
自由に行動でき横になれ風呂もある船は疲れないが、列車は基本座りっぱなし。
北海道は都市間バスが発達しており特急列車で札幌に向かう人は少ない。
ほとんどが高齢者か病気で安静が必要な人に限られる。
つまり北海道ではもはや旅客列車は風前の灯。
頼りの学生定期も近年はローカル線の廃止と少子化で見込めない。
今では下宿のほうが安上がりになっている。
豪雪で運休が多いけどバスはそうならないことも要因の一つだろう。
日本が崩壊したら予想以上の良いことになっている。
李さん達に感謝しきれないな。




