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日本人ってなんだろう

 大海は大阪に向かっている車の中にいた。

 ちょうど茨城インターを過ぎたところになる。

 運転手は旧政権のSPをしていた男性を人生党専属で雇っている。

 彼が後ろの大海に話しかける。


 「大海さん、先ほどから不審な車両が後ろにいるんですよ。高槻ジャンクションからずっとです。

 こちらはきっちり制限速度以下で走行しているのに、全然追い越そうとしないんですよ」


 関西の高速道路で追い越しをかけないというのは不審車ということらしい。

 最近はドライブレコーダーの普及で煽り運転は減っているようだが、前後にカメラがある上に高画質で録画もできる。

 後方車のドライバーは女性でも高齢者でもないようだし、助手席にも男性が乗っているようだ。


 「よし、じゃあ吹田ジャンクションから中国道に入って様子をみますか」


 「了解しました」


 中国道に入ったが不審車両は付いてきている。

 大海はSPに尋ねた。


 「どうしたほうがいいと思う?}


 「そうですね、ちょっと加速してみますか。そのままサービスエリアに入ってしまいましょう」


 「そうしてみよう」


 宝塚を過ぎて西宮名塩サービスエリアに入る。

 まずガソリンを満タンにする。

 不審車はそのまま駐車しているようだ。

 大海たちは不審車の駐車位置を確認して、気取られないように車を移動させて降りトイレに向かう。

 個室に隣同士で入り様子を伺う。

 誰か入ってきたようだが用を足さないで出ていく気配がした。

 間違いない。

 大勢の人が入ってきたことを確認して個室を出た。

 そのまま売店に向かい自販機でコーヒーを買い車に戻る。

 社外にマイクのようなものが無いか何気に確認して乗り込む。

 

 「大海さんこれからどうしますか」


 「そうだな、むこうは僕らを襲撃拉致をする気はないようだな。

 たぶん大阪のセーフハウスの場所を特定するためだろう。

 二人を襲うつもりなら人数と車両をもっと多く用意しないといけないしね。

 発信器を車に取り付けさせようと車を離れたがどうだろうな。

 それを前提にするなら予定通りどこか適当なホテルに入ってしまうか。

 今日は大阪で大竹さんと会う約束があったけど間に合いそうにないな。

 先に連絡を入れておくとするか」


 大海はスマホを取り出し大竹へラインを送る。


 「すみません大阪に行けなくなりました残念です」


 大竹から返信がすぐ来た。


 「それは残念ですまたの機会に」


 「実は尾行されています大竹さんも帰りは注意してください」


 「了解 ピーターも一緒だから」


 大竹は安全だろうと大海は思った。


 「よしせっかくだから有馬温泉の高級旅館にでも泊まるか。

 向こうは簡単に泊まれないだろう。

 できれば満室がギリのところがいいな、検索して予約してみよう」


 大海は二人分の予約を完了して向かった。


 旅館に着いたのは夜八時を過ぎていた。大海はフロントに、


 「スーツ姿の男性二人か四人が予約なしで泊まるようでしたら教えてください。

 さっき知人に紹介された人達かもしれません。でも先方はこちらの電話番号を知らないんで場所だけ事前に伝えただけなんですよ、よろしくお願いします」


 と言った。これでもし来るようなら確認できる。そうでないならそれでいい。

 明日はそのまま京都に戻るだけになる。

 久しぶりの休暇と思って今夜は楽しもう。SPさんは気が抜けないだろうが今日は特別だ。



 

 大竹は大海からのラインを確認して隣にいるピーターに言う。


 「大海さんは来られないってさ」


 「それは残念ですね」


 ピーター、実はアイルランドの出身だ。北アイルランドとの国境近くらしい。

 アイルランドはユーロ圏だが北はUKになる。

 でも隣町のようなものらしい。彼は高校までいて就職は船舶関係でフランスを拠点に地中海を行ったり来たりしてたそうだ。

 元々日本趣味が強く、独学で日本語を学んでいたが、フランスは日本趣味の人が多いことと、スエズ運河から来る日本船担当になっていたので上達したそうだ。

 もっと日本語を学ぼうと来日し日本語学校から大学に進学して現在に至る。

 大竹のアイリッシュウイスキー好きはピーターの影響になる。


 「ピーターはさ、日本がどうなってほしいとかある?」


 なんとなく大竹は訊ねた。


 「そうですね、僕は外国人ですから、その立場からになりますけどいいですか」


 「そりゃあもちろん、そういう話が知りたいな」


 「それじゃあ遠慮なく言いますね。

 日本に来る外国人は日本が好きだから来るんです。

 でも中には嫌いになって帰る人もいます。

 それはどの国でも似たようなことはあると思いますが日本は特別なんです。

 みんなアニメとアイドル、武道と侍に憧れて来ます。

 世界中どこにも無い唯一無二の国なんです。

 でも外国人がアイドルになりたい、声優になりたい、漫画家になりたいといっても簡単にはなれません。

 それは日本人でも厳しいこととは知っています。でもビザの関係で時間が限られています。

 学校などに籍を置いていないといられません。もしくは一度帰国しなければなりません。

 日本は世界中どこからでも遠い国です。だからとてもお金がかかります。

 日本に観光に来る人はお金がある人だけです。

 もしくは何年も貯めてようやく来ることができます。

 日本は外国人にお金は使って欲しいけどすぐ帰って欲しい。

 日本が好きならわきまえて尊敬しろ、日本人の為になることをしろです。

 英語の助手として来日できるのはラッキーな人です。

 もらうだけもらって与えようとはしない。

 だから外国人に与えてほしい。

 外国人にも「恩返し」ということはわかります。日本だけの常識じゃありません。


 それと希望というより愚痴になりますけど、

 白人を見たらアメリカ人、黒人をみたらアフリカ、エスニックはインド人、アジアンだとタイ人と決めつける人が多いですね。

 日本人が海外で韓国人や中国人と間違われて怒る人が多いと聞きます。

 おかしな話です。

 その人はちょんまげでしたか、刀を持っていましたか。

 洋服を着ていたら同じに見えます。

 とくに欧米では中国人と韓国人のほうが日本人より多いんです。

 大昔日本人のステレオタイプは、小柄で眼鏡の出っ歯、カメラを提げてシャッターを押しまくるだったそうです。

 でもそれが気に食わないと思ったんでしょう。

 円高になるにつれてスマートな日本人になりました。 

 つまり平均的なアジア人となったのに、日本人とわからないことに怒る。

 だったら着物を着て草履で行ってください。

 自分で和服を着れない日本人が日本人を名乗ってもおかしいだけです。

 柔道できますか、弓道できますか、できない人が多いです。

 でもサッカー、バスケットはほとんどの人ができる。

 日本人って何が日本人なんでしょうか。

 僕にとっての日本人はもういないのかもしれません」


 最後のほうのピーターは悲しそうに話した。

 それは日本人の多くが感じているよ。

 感じているるから人生党に票が集まったんだよ。

 これからは良くなるよ、きっと。


 大竹はピーターが知らないであろう北海道と東北の田舎の話を聞かせながら日本の変わって欲しくないところを教えてあげた。

 


 

 






 

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