会見4
「お待たせしました、三番目の提案をご説明します。
教育制度の大幅改変です。具体的に説明しますと、従来の義務教育を廃止して新しい制度を作ります。
先ほどの少年法と関連することですね。
従来の言葉を使って便宜的にわかりやすく説明しますと、義務教育はこれまで通り十六歳で終了します。
高校というカテゴリーは設けません。勉強など専門的なことを学ぶ学校にします。
校舎は高校をそのまま使用しますが、三年で終わりではありません。
留年もあり得ますがそうではなく、小学校、中学校の制度から変えるのでその限りでは無くなるということです。
まず、義務教育を廃止するというのは小中を無くすのではなく別の制度にするということです。
これまでは四月から三月までの一年間で生まれた子供をまとめて入学させていました。
しかし子供で一年の差は体力的にはもちろん、頭脳も差が出ます。つまり早生まれはハンデがあるまま学んでいきます。
すると自分は他より劣っていると思い、その後の人生に大きな影響を与えてしまいます。
なかには他より秀でた才能があり、その方面で活躍できることもあるでしょうが稀です。
格闘技には細かいランク分けがあって公平な条件で戦うのに子供たちにはありません。
おかしいと思いませんか。しかも人生がかかっているのに。
ですから半年毎にクラス編成か学年編成をします。
今は少子化で使われていない教室が多くなって余っている状況です。
廃校になったり定員を減らしていますが、一クラスを密にせず少人数で授業をします。
理想は二十人くらいでしょうか。
教職員が不足することになるでしょう。ですから専門教科教諭として、例えば英語や理科は外部から来てもらいます。
外部といっても中学高校からになります。
じゃあ担任はとなりますね。校長、教頭も担当してもらいますし、フルタイム勤務にしなければ出産などで退職した人も復帰しやすくなりますし、そのまま復職もできます。
女性の活躍を伸ばすための改善策の一つの例になるかもしれません。
このように教師の移動が頻繁になるので小中は一貫校が望ましいです。
地方などでは人口減でそのような学校が増えているようなので問題なく移行できるでしょう。
そして大事なのは次です。
学校を途中で退学、再入学することが何度でもできるようにすることです。
健康問題で通えないとか、イジメで通いたくないもです。
すると同じ学年やクラスで年齢差がある仲間ができますね。
それがイジメの原因になるのでは?と言う方もおられました。
ですが就学する時点でそのようなことばかりになります。
と言いますのも、入学時の知能検査を考査せずに全入学させますから。
つまり知的障害、身体障害の子供も一緒に同じく学びます。
そうなりますと勉強の進め方が個別になりますね。
もしくは騒ぎ出し授業の妨げになるかもしれません。
ですがそれは、これまでの教育の常識で考えればの話になります。
なぜクラスをつくり同じ内容を全員に教えるのでしょうか。
それは教師の都合で合理的だからです。
明治以降、教育者は少なく子供が多かったですし、教師は強権をもっていてパワハラのように統率する授業が可能でしたので成立していました。
それでは子供のためになりません。しいては将来の大人のためにならないのですから改善すべきです。
連合国と共同で日本を造っていきますから外国人も入学するでしょう。
新しい国ですから世界中から集まるかもしれません。
日本語が不自由なので年下と同じクラスになるかもしれません。
そうなると日本人であること、学齢が従来どおりであってもマイノリティーになる可能性もあります。
個性が際立ち、お互いを認め合い助け合う環境に自然となります。
最近の子供たちは少子化の影響ですでに似たようなことになっています。
同学年の友達が少ないので、どうしても年齢差のある兄弟のような関係の仲間が多いようです。
子供自身も一人っ子が多いですしね。
退学したとしても独学を続けるかもしれませんし、才能があれば空白の期間など無意味です。
もちろん再入学時に希望の学年に対応できるか試験を行います。
そして最終的に学力が満たされた時点で卒業になります。
なので飛び級や卒業を待たず次の段階の学校や大学に進めます。
高校や大学は高いレベルで仕事をするために学ぶという位置づけになります。
つまり高度な専門的な知識が必要ない職種などを選べば中学を出てからそのまま就職できます。
しかしその場合知識ではなく技量が必要となってきますから、その専門の学校か職種で修行のようなことになります。
個々の才能を生かすだけです。
スポーツが得意、歌や演劇がしたいなども同じ感じになりますかね。
もちろん、人によっては才能がわからず気付かず何度も転職をするかもしれません。
でも転職することによって気づけます。それが他人よりスタートが遅かったとしても大丈夫です。
早く見つけた人より十年二十年長く続けたら追い越しますよ。
これまでの説明で一番大事なことは、優秀な教育者が必要だということです。
少なくとも古い常識を持っていたり、男尊女卑や年長者優遇の先輩後輩気質を持っていたり、
相手の気持ちがわからないとか勉強の成績だけが良くて採用試験に受かったとかですね。
もっと言いたいことは多いんですがこれくらいにしておきましょう。そういった一部の教師に恨まれますから。
ですから人材の確保が最優先になります。
そこで世界中から公募をします。日本人でなくてもいいということです。
日本語ができることが条件になりますが、日本語話者はけっこう多いんですよ。
みなさん日本が好きで勉強したり親が日本人だったり色々でしょうが、チャンスがあれば日本で働きたいと強く思っています。
ですが以前の日本ですと厳しい規制や条件で叶いませんでした。
留学生としてビザはあって滞在できても、いざ就職となってあきらめる学生の多いこと。
そんな優秀な人間をそのままにするのはもったいない。
日本で働くことは日本の為になるのですから。
なぜこれまでの日本人はそういった疎外をしてきたんでしょうか。
校則や職種によって髪色が黒じゃないと認められないとか言っているのに、これからはグローバル化だから英語が必須とか言っている。
わけわかりません。
英語が出来ても人間性が劣っていたら、その人間が国際間で相手国と対応するのです。
日本の恥を広めている政策ですね。
必要な教育者はそのような偏見が無く意識が高い人物を求めます。日本人のなかでは難しいことなのです、残念ですがこれまでの教育行政のツケが回って来たとあきらめています。
まとめると、最初から杭は出ている、高い低いもある、延びる速度も異なる、でも全ての杭が太く丈夫になるようにすることが教育なんです」
大池さんは強く言い放った。




