会見2
大池さんは再びペットボトルの水に口をつけた。最初から力が入っている。
「次に刑法と少年法を理念から改変します。
刑法はほとんどはこれまでのどおりですが、凶悪犯罪と再犯を繰り返す軽犯罪などを改変します。
ずばり死刑は廃止します。
ちょうどよく東京は人がまともに生活できないエリアになったことを有効に活用します。
アメリカ軍の協力を得て、関東の復興作業を無期懲役刑や死刑の代わりにします。
逃亡防止にGPSと爆薬付きの足環を装着して収容します。
範囲の外に出ると警告後に片足だけが爆発する仕組みです。
囚人には重機などが入り込めないところで泥の除去や解体に従事してもらいます。
懸念することは辛さのあまり死ぬことを選んだ場合ワザと爆発させるのではないかということですかね。
ただし実行するには誰かの足のすぐ近くに自分の頭でも近づけない限り無理でしょう。
最低でも三人以上が同時にやらないと不可能です。
通常の自殺の可能性は?とういこうことになりますが、それは自由です。
これは懲役刑ではないのです。刑の満了まで保護する必要はありません。
これまで死刑や無期懲役が想定されたであろう犯罪者は全てここに収容します。
現在各地の刑務所で収監されている、もしくは拘置所で死刑執行を待っているのは本人の希望で可能になります。
ちなみに全てアメリカ軍の管轄になるので日本は一切関与しません。
日本であって日本でないところです。ですからどのようなことで死亡しようが問い合わせをしない限り情報は知りえません。
犯罪者にも人権はあるのでは?と言う方もおられますが、確かにそうです。
人権があるからこそ死刑を廃止にして、不自由ではありますが最後まで人生を送ることができます。
ただそこが自分たちが知っている日本ではないというだけです。
ちなみに北海道と九州は連合国の法律に従いますから、その範囲ではありません。
犯罪者予備軍は日本を出ていくかもしれませんね。それはそれでけっこうなことです。
逆に死刑にならないのであれば犯罪を助長させるのではという意見もありました。
でも現実に死刑は犯罪抑止にはなっていません。殺人なんてやらないに越したことがないからです。
でも殺してしまう。そこには理由があるからなんですが、私たちはその理由の一部を無くしていこうとも考えています。
それに東京で人生を全うできる確約はしません。だって外国で何が起きるかわかりませんから。
被害者の遺族がなんらかの方法で進入して暗殺をするかもしれません。
アメリカ軍の監視はありますが、外から入ることは容易ですから。
元都民でしたらなおさらです」
そう言うと少し笑みを浮かべた表情で書類に目を落とした。
「軽犯罪の再犯も東京を活用します。ただし懲役刑のようなものになります。
再犯が三回目でアウトにします。
再犯者の多くは刑務所を福祉施設のような感じでとらえています。
衣食住はもちろん医療も介護も万全ですから。
でもそれは通用しません。
一定期間を東京で凶悪犯罪者と共に生活していただきます。
従事してさえいれば衣食住は保証されます。アメリカからの支給ですが。
反抗をすれば相手は警察ではないのですからどうなることでしょうか。
期間が満了して更に再犯したら次の刑期は長くします。
すると高齢者になっても出られることはないでしょう。
刑期満了後に再犯をしないまま過ごして高齢者になったとします。
そこは国が責任をもって対応します。
さて少年法ですが、後で説明する教育のことに関連しますが、ここでは犯罪を犯した子供の処遇について話しておきます。
少年法の適用年齢を下限は六歳にします。上限は十三歳までで以降は成人と同じ扱いにします。
つまりいわゆる小学生が少年法上の範囲になります。
「いわゆる」という前置きは教育の変更にともなって変更しますから後々の楽しみにお待ちください。
少年たちには「火」は火傷をして危険だけど、扱い方を学べば電気も作れるようになるようなことを知ってもらいます。
ほとんど少年犯罪は生まれつきの素養のような育ちもあるでしょうが、それらの影響で精神的心理的に頭と体が本人の意向と異なった結果を起こしてしまうことです。
もしくは加減がわからず重大な結果にしてしまう。大人であれば理解できることでもやってしまう。
いや大人であってもストレスや周囲の影響で犯罪を犯してしまいますから、子供なんて容易です。
もちろんやらかしたことによる贖罪の意味や、これから自分はどうしていくべきかということを教え諭します。
何度かチャンスは与えます。それでもダメだったら仕方ないですが大人と同じ処罰になります。
いい大人になっている方々には理解できるでしょうが、若い頃の失敗や他人を傷つけたりしたことは、その後の社会生活での経験や知識でものすごく後悔してしまいます。
当時の自分に会ったら殺してしまいかねないほど。
でも基本的に人間が変われることはその程度が限界で、生まれつきの人間性は簡単には変わりません。
隠し方はうまくなり、裏人格は知られなくなる人もいます。
ⅮⅤやモラハラ男性なんか典型的ですね。
どうですか、同窓会や幼稚園以来に再会したらほとんど変わらないまま大人になっていることに驚きませんでしたか。
当然老化はしているし、社会的に上の立場や親になっているのに関わらず同じという現実。
自分を考えてみても、もういい年だけど二十代のころと変わんない自分がいることを。
親になってみれば、親を演じているにすぎないことを。
つまり子供だろうとしてもそこは同じなんですよ。
例えは悪いですが、ペットがしでかしたことは飼い主の責任です。
子供のやったことは全ての大人の責任です。
いままでの日本は育児を母親にまかせっきりで、子供がやらかしたら母親に向かって
「お前の教育がなっていない」だとかを旦那か姑が言い放つ。
違うんです。子供は社会が育てるものなんです。
保育士の報酬が低いのは、女性は育児をするのが当たり前、当たり前なことに金はいらないだろう、母性を金で売るのか、といった男性側の勝手な常識のためです。
政治家は男ばかりですから、男の常識が社会の常識でした。
でもこれからはそんな古い常識を壊します」
大海さんは強く言い切った。
作品タイトルを多少変更しました




