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日本の決断

 日本代表の青年は自分以外が政治のベテランばかりのなか、若い自分が混ざってうまく立ち回れるか不安があった。

 各国の代表はリラックスした雰囲気でいるのに対して、常に緊張感をもって言葉を拾って整理していた。

 何か裏が隠されているのかもしれない、国際間の駆け引きがあるのかもしれない、知らない符丁を使っているかもしれない。

 そんなことを考えながら食事をすすめていたらアメリカ代表が話しかけてきた。

 自分の番が回ってきたと思った。


 「日本には我々の計画におけるアドバイスをお願いしたいですね。

 自国でしかわからないこともあることでしょう。

 実際に工事を施工する労働者は日本人が多くを占めるでしょうから、独自のやりかたや慣習などを教えていただきたいです。

 それに日本の内政には一切関与しませんし、便宜供与を求めることもしません。

 必要がないからです。

 ただし、そちらの事情でこちらにとって障害となるような事案がありましたら協力は惜しみません。

 遠慮なく連絡してください。

 どこの国が対処するのが最適かを判断して速やかに行動します。

 日本がうまく政策を進めていかないと全てが滞りますから、あなたの考えていることをざっくり話してくれませんか」


 なるほど、つまり僕が目指している日本に作り替えるための協力してくれることだなと理解した。

 それがこの場だけのサービスだったとして、話すだけ話してみよう。

 まだまだ実績のない弱小の集まりでしかない、選挙も経ていない。

 確実に選挙に勝って政権を握るために利用するのは渡りに船だ。


 「みなさまのおかげで日本は国土が半分になったおかげで代議士を大幅に減らすことになります。

 将来的には衆議院、参議院合わせても百人程度にしようと考えています。

 代議士が少なることによって費用は少なくなりますし、政治家の意識の向上につながると考えています。

 エリート意識が高くならないように、基本給は一般の上級公務員程度に抑えます。

 議員特権もほとんど廃止します。せいぜい登庁するときに送迎が付くくらいですね。

 毎週ごとに委員会を開き、各自に宿題といえる法案の草稿を提出義務にします。

 ですから日々問題意識をもったり、勉強をしておかないと務まらない職種にすれば、意識が高い人間が政治家を目指すことでしょう。

 それに成績表なものをつくり、議員がどれだけ活動したかを公表します。

 国民はそれを参考に投票をしてくれれば無駄な選挙活動をしなくてもすみますし、金もかからず利権構造も生まれないでしょう。

 二世や縁戚議員は有能でしたら問題ありませんが、無能でもし当選などしてしまったら選挙民の恥となることでしょう。

 昔でしたら利権の影響で目をつぶっていたとしても、関係者の企業や個人に旨味が無いうえに評判が落ちますから。

 本当に汗をかき国民のために動いてくれる代議士が増えれば、地方自治体も同じようになり風通しのいい国ができて、誰もが不満や不安を貯め込むことのない幸せな社会ができると思います。

 つまり日本も皆さんがやるように実験をしていくつもりです。

 失敗させないために是非とも協力をお願いします」


 全員の顔を見渡して深々と頭を下げた。

 数秒ほどして中国代表が口を開いた。


 「そこまで真剣な表情で言わなくても大丈夫ですよ。そもそも今回のきっかけは友人の日本人のために動いたことですから、彼が困るようなことは我々の本意ではありませんから」

 

 ロシアと台湾代表もうなずいた。

 日本代表は安堵した表情を浮かべ話を続けた。


 「そう言っていただけると心強くなります。

 正直に言いますと私は不安でした。十年前ただの自治体の公務員でしかなかった私が市長になり、三年前に知事になったばかりの未熟な人間です。

 今までは中央の指示や恩恵でうまくやれてきましたが、これからは自分が中心となって日本を変えていかなくてはならない。

 知事は運命の成り行きで神輿に乗るかどうかだけの決断でした。

 今回は運命が強く自分を選んでくれたことを感じています。

 たまたまロシアから情報を早く得られたことで僕の存在は日本にとって有効なことだと。

 僕は既存の常識にとらわれずに新しい仕組みの国を創っていくことを約束します」


 全員が「ほおー、」と感嘆な声を漏らした。


 「日本はすごいことを言いましたね。あまり思い詰めすぎても無理がかかりますよ。

 最後のほうは「僕」となっていましたよ。あまり自分を犠牲にするようなことをしないように。

 日本人特有の滅私奉公になって自滅しますよ」


 台湾代表が年長者らしい言葉を投げかける。

 そして話を続け、


 「日本もおもしろいことになっていきそうですね。

 共産社会主義と資本主義のはざまにできた国は我々にとっても興味深いことになりそうです。

 うまくいけば新しい理想的な社会が生まれる可能性がありますね。

 歴史は君主制から民主資本主義、共産社会主義と可能性を試してきましたが、現状どれもうまくいっていません。

 民主主義が強くなるとフランスのような個人主義が国を崩し、資本主義は貧富の差を埋めるために社会福祉に負担が多くなり、社会主義は経済意欲が滞り新しい文化が生まれない。軍部主導ならどれもうまくいかない。

 資本主義が大勢を占めて健康被害や温暖化という副産物も出てきました。

 まあ温暖化に関しては疑わしいことが多く、歴史的に変動は地球のルーティーンですし、宇宙規模の影響も関係してくるはずですが。

 どちらにせよ、見守りつつ叱咤激励と助けをしていきましょう、皆さん」


 「もちろんです」「異存はない」「当然です」


 日本を含めた全員の気持ちが一体となった瞬間だった。




 

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