中国の思惑
アメリカ代表は中国、台湾代表に話しかけた。
「両国は覚書などは済んでいるのでしょうか、経済とか軍事のこととか。
アメリカとしては中立の立場ですから、どちらかに肩入れすることはないので。
朝鮮半島の代表をここに呼ばなかったのは、すでに中国の管轄に入っているからとの判断ですが、それに間違いはないのでしょうか」
中国代表が答えた。
「それはもう大丈夫です、ご心配無用です。
もともと台湾は中国のものでした、百二十年前の戦争で負けて日本になり、太平洋戦争後に解放され、そこに国民党が逃げたことで反共産党国家ができた経緯があります。
そして大陸の我々より早く経済的に発展し豊かな国になりました。
台湾が民主化したように中国も体制を維持しながらの民主化が成功しました。
ちょうど僕の世代がアメリカや日本に留学をして帰国し発展させてきました。
今の指導者より世界を肌で知っています。
昔の恨みやメンツやプライドでは先に進みません。
台湾は大事なパートナーとして共に発展していきます。
中国としては台湾のコンピューター関係の技術、台湾は大陸のマーケットと新しく多くの国と国交が結べますから経済圏が拡大します。
もちろん中国はそれらを吸収しますので双方とも発展します。
それにですね台湾は中国人にとって憧れの南国のリゾートなんですよ。
沖縄やハワイ、タイなども人気ですが、近くて言葉が通じ食事が旨い。
香港は指導部の失敗で市民が大量に出て行ってしまい、欧州の反発があり香港の特異性を殺してしまった経緯があります。
台湾では二の轍を踏まないように次世代の指導者が、アメリカ、日本とで協調をとっていくことを約束します。
香港より人口の多い台湾で同じようなことをしようとしても大失敗することは明らかですからね。
中国の指導部も日本と同じように古い常識が正義と思っているところがあります。
彼らは初期の共産党の強制的な支配で洗脳されてきた世代です。
いくら頭では理解できても心の奥では拒絶してしまいます。
でも僕らは違います、社会に出るころから自由経済が始まって同時にネット社会が広がりましたから。
多様な価値観を持つ何億の国民と地域を支配するには、ある程度の許容が必要だと認識しています。
今回の台湾との共同はそれらを実際に試せるいい機会になるでしょう。
さて次に朝鮮半島ですが、北は中国の傀儡政権でしたし南は北寄りの政権でしたのでスムーズにまとめられました。
もちろんアメリカ軍の協力がなければ実現しないことでしたが、統一をしたことによって関係国全てが利を得ることになります。
中国としては実質的な領土の拡充、連合国として日本の領土の九州、沖縄を接収できたことになります。
日本としても都合がいいのではありませんか、たしか明治維新から続く政治や権力の系譜は西に集中していたようですから。
今後は虐げられてきた東北が盛り返す絶好のチャンスとなることでしょう。
しかも常識を正義と思っている政治家を一掃できますから、新しい日本を作りあげるためには邪魔をしてくる敵は少ないほうがいい。
九州沖縄は我が中国と台湾とアメリカ、日本が共同で支配しますが、基本的に制海権はこちらで、空はアメリカ、内陸と市民は日本ということでよろしかったですね。
つまり政治的には日本政府の直轄地として管理をし、貿易の実務は我々で、航空関係の運航はアメリカになりますか。
たぶんアジアで最大の貿易拠点になりますよ。すべての物資が一度九州に集まり散っていく。
たくさん儲かるでしょうね」
中国代表は微笑みながら台湾代表と目を合わした。




