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仙台を出て

 仙台から函館まで新幹線は通常運行をしているようだが、急ぐ理由もないし節約のため東北本線の各駅停車で八戸まで向かった。

 途中で食べる菓子パンと缶コーヒーをコンビニで買った。

 店内の品揃えは一部少ないが、仙台ほどになると東北各地からの輸送が順調なようだ。

 始発に乗り込み車窓を眺めながら昔を思い出した。仙台で学生時代を過ごしていた当時の帰省はバイクか普通列車だった。

 バイクの場合は中央の国道4号線か海岸沿いの48号線。天気がいいと48号線で松島を通って三陸海岸を右手に眺めながら、途中いくつかの岬や海岸で絶景を楽しむ。

 4号線は産業道路なので交通量があるから注意して走り、休憩はコンビニがほとんどでツーリングとしては楽しくないが時間がかからず早く到着する。事故や故障しても安心感があるし案外気楽な旅になる。

 どちらにせよ当日には着くのでキャンプ用具など積まなくていい身軽なツーリング。

 正月の帰省はバイクが乗れない。新幹線が通っていなかった昔は青春18切符を使って往復していた。   

 現在は盛岡ー八戸間は使えないのでとても残念なことになっている。

 

 久しぶりに仙台の街を歩いたが、東京の渋谷池袋のような雰囲気で人が溢れていた。

 東京から逃げてきた人達が多いのだろう。

 再就職なのか、都内の大学や専門学校に通えなくなった学生が編入しているのかもしれない。

 仙台は大学などが集中していて、もともと学生が多い街だから若者が多くても違和感はない。

 これまでは全国から東京に一極集中していたのだから逆にいい傾向だ。

 そういえば、東京を本拠地にしているプロスポーツはどうするのだろうか。

 仙台にもう一つ二つくらいは新しくホーム球場や施設ができるかもしれない。


 途中の乗り換えで一関と盛岡の街を覗いてみたが、この辺りも人出が多いと感じた。

 田舎にまで来るということは人口が増え、慢性的な人手不足が解消されるかもしれない。

 ここに来るということは地元か親戚のいる街なんだろう。

 東京とは全く異なった職に就くか、ネット関係のテレワークになるのか。

 どちらにせよ生きていくために頑張っていくのだろう。


 僕も地元の八戸に向かっている。じゃあそこで何をするのかということは決めていない。

 とりあえず母親に無事な姿を見せること。

 そして体を休めてからゆっくりと考えることにする。

 職種の経験は多いほうなので、たいがいの仕事はできると思う。

 だけど年齢が障害になるかもしれない。

 東京で再就職したときは30代後半だったが、それでもなかなか決まらなかった。

 書類でも落とされ、面接ではあからさまに「大卒の人にやってもらうほどの仕事じゃないんだよね」とか、「ちょっと年齢が高いから他の社員と馴染まないな」とか。

 先月まで働いていた今の仕事は面接をしてから一か月後に連絡が来た。

 いつまで経っても連絡が来ないので他の就職活動もできず、自分に嫌気が出てきて人生に諦め海で釣りをして一日潰していたから驚いた。

 入社してからきいたが、希望者が多くて決まらず結局は最初に面接した僕になったということらしい。

 だから初日から頑張って働いた。接客には自信があるが商品知識が無いので、ひたすら商品棚を整理しては知識を蓄えた。

 調理の知識はあったので、実際に商品を使ったりして試食したり、未経験だったお菓子作りにも挑戦した。 

 食品担当とはいってもお客さんからは生鮮のことも訊かれる。店員であれば近くにいるだけで担当など気にせず声をかけてくる。

 わからないことは裏の作業場まで急いで行き、担当者に訊きまくった。そのおかげで他の従業員さんとも親しくなれた。丸山さんともそんな感じで仲良くなったわけだ。

 若い店員より僕のような年齢がいっているほうが声をかけやすかったようだ。

 そのうち馴染みのお客さんが多くなり仕事にやりがいを見つけていた。

 その矢先の災害だった。


 これまでは転職の度に海外へ行っては人生をリセットしてきた。

 知らない土地を一人で過ごすと生存本能のスイッチ入って、帰国してからのバイタリティーが活性化する。自分から「やるぞ!」と気合を入れてもすぐしぼんだりあきらめてしまうが、周囲からじわじわと染み入るようなやる気は簡単には切れないようだ。

 コロナで簡単に海外に行けない情勢で今回は無理だが、幸い東京からの脱出という非日常を経験できたから同じような効果を得られているかもしれない。

 ということは僕と同じ経験をしている人が一千万いて、その人たちが全国に散らばっているということになる。

 しかも国土が半分になったから割合的には多くを占めることになっている。

 日本の未来は想像以上に期待できるかもしれない。

 丸山家の子供たちも大人たちが思う以上に頑張っていくことだろう。

 次に会う時が楽しみなって来た。

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