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6.成長したかつての学友は親となる(side ジョナス)

緊急事態宣言の延長と臨時急行の延長が実質決まってしまったようで…

休校明けに体力測定があるのでそろそろランニングでも始めようかと今考えています。

ただ、体力が本当に皆無な私が続くかどうか…

「なぁ、ジョナス、今回はどうだった?」

「申し訳ないが、今回も厳しそうだ。」

「そうか、残念だ…」

「しかし、シムレクトは実際どうだ?魔法適性に優れているだけでは仮に領地を持てたとしても治めきれないだろう。お前から見て、政務能力はあるのか?」

「ああ、シムレクトはかなりの力を持っている。今、帝国貴族の中には貴族の存在意義をすっかり忘れている、愚かしいもの達もたくさんいるが、あれは違う。貴族の責務を理解し、民のことを考えられている。何より一度言ったことや見たことをしっかり覚えている。これは政務を行う上でものすごく役に立つ。」

「ほぅ、かつて高等法政科学院において『稀代の天才』と呼ばれ圧倒的な成績で首席卒業を果たしたお前がそこまで評価するとは…。お前が実質この領地を治めるようになってから、領民はどんどん豊かになり、領地も賑わいを見せている。だが、その実績を以ってしても厳しい、貴族位の回復は。」

この国で貴族位を得るには4大公爵家すべてが承認するか、いずれかの筆頭家当主による推薦のもと国の定例会議で過半数、正確には7票以上獲得、あるいは皇帝陛下が直接任ずれば、爵位を獲得できる。

もし彼が本来の宰相の位に就いていれば、今頃この国は何倍も豊かになり、国民もより幸せな暮らしができていただろう。しかし、彼の家は準男爵。領地は持っていない上に、自分達より格下の貴族に成績で負けたと言う事実が邪魔をして、彼を領主代行に依頼する貴族家は当家以外いなかった。そして彼は田舎の小領主の代行として招き入れられたのだが、領主とは違って権限に様々な制限があり、しかも、ほぼ発展しきった田舎の小領地をその才能で見事なまでに変貌させた。彼は間違いなく「賢相」になれたのだ。だからこそ、私は彼にせめて自分の領地を持って欲しいと何回も彼の政務能力の高さを訴え、サンクトコバル筆頭子爵の推薦をいただこうとしているのだが、今回もダメだった。

「しかし、カム。最初、私がお前の男爵位獲得のために動いていると知った時、『やめてくれ。』と言っていたのに、どうして最近はむしろ獲得を望んでいるのだ?」

「僕も親になったってことだよ。シムレクトは間違いなく僕よりも才能がある。しかし、たった『準男爵』というだけで国政には携われず、その力を存分に発揮することができない。僕はこの領地だけで精一杯だったから良かったが、あんな扱いを受けて欲しくないのだよ。僕のせいでシムレクトに苦しい思いをさせるわけには絶対いかないんだ。」

あの貴族位に無頓着だったこいつを、ここまで変えるとは…。正直私は驚いた。それと同時に何がなんでも爵位を獲得しなければならないと思った。

「カム、正直私はこんな方法が好きではないのだが…それでもひとつだけ、ほぼ確実に爵位を獲得できる方法がある。お前の家の正体を知っている貴族は投票権を持つ定例会議員の貴族の中では帝家、4大公爵家、当家くらいだ。その他の貴族は多分賛成票を入れるだろう。そして、当家と宰相家もあんな状態なら藁にもすがる思いで元宰相家でも頼りたいだろうから賛成票を入れる。反対票はお前が正貴族の仲間入りをし、成果を上げると下手すれば降格されかねない元筆頭雄爵グランド公爵家とその分家のサンテルガラン筆頭雄爵家は確実に入れる。どちらにつくかわからないのが帝家だが、まぁ3票くらいは捨てても大丈夫だろう。つまり、推薦さえ得られればお前の男爵位獲得はほぼ確定する。問題はその推薦の獲得だが…、賄賂を使う。サンクトコバル筆頭子爵は、よく知らない準男爵を推薦すれば自分の家に傷がつくと思って動かないのだろうが、彼は金の亡者だから多額の賄賂を渡せばきっと飲むだろう。」

「しかし、そのお金を出せるほどの余裕はうちにはない。」

「心配するな、うちが出す!」

「そんなこと頼めるわけないだろう!」

「なら、お前の親心と目を見込んで賭けさせてもらう。いつか、シムレクトが宰相にまで上り詰めたら、ボーダンにかつての爵位を授けるよう、頼んでくれ。」

「……分かった。ありがとう、ジョナス。」

「気にするな、お前と私の中であろう。」

こうして、ラフワー子爵家での食事会は幕を閉じた。

感想、アドバイス等聞かせてください

5/3から1週間ほどテスト勉強に集中しないといけないので明日、明後日は2話ずつ更新して5/12まで更新ストップさせてください!すみませんm(_ _)m

これからも応援宜しくお願いします!

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