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4.垣間見えたサーティカン家の正体

東京の新型コロナウイルス感染者数が2日間でかなり減っているようですが、第2波が来ないか心配です。スーパーに行くと欠品も段々と目立つように…

夏休みにはオープンキャンパスに行く予定なので早くいつもの日常が戻ってくるといいです!

馬車の中で父上から聞いた内容は僕にとってものすごく、本当にものすごく衝撃的なものだった。

「シムレクト、お前はサーティカン家の歴史を知っているか?」

「確か5代前の当主が商人として成功し国に多額の寄付をしたため、男爵位を国から与えられたものの、『自分には領地を経営することはできない』と当時の皇帝陛下に告げ、結局領地を持たない準男爵位を賜ったと…」

「では、なぜ準男爵にも関わらず、当家だけ貴族から蔑まれたり、平民から妬まれたりしない?陛下とのやり取りを知っている人間はほんの一部しかおらんだろう。」

僕は答えに窮したが、一応自分なりに答えてみる。

「貴族は宮廷白書を確認したのかと。宮廷白書には1ヶ月分の宮廷内の出来事が事細かに書いてあります。そこに『サーティカン家、男爵位を辞退し準男爵位を賜る』といったような内容が書かれていたとすれば、宮廷白書は全貴族が確認する義務があるため、詳細を知っている他家は一応正貴族として扱っているのかと。平民に関しては各領地から平民に向けて報告が行われたのではないでしょうか?新しく貴族家が出た場合、賜った爵位がなんにせよ、全領主は自領の民に報告する義務があります。その際に、男爵位を辞退したことを追加で伝えたというのはいかがでしょう?」

それまで真剣な表情だった父上の口角が少し緩んだ。

「ふむ、中々に賢い。それなら一応筋も通っているな。しかし、それはあくまで現在の帝国史に基づく仮説だ。」

うん?現在の帝国史?

「サーティカン家は元々商家ではない。初代皇帝、アス=ネオラール=ボルカトールの弟、サン=ネオラール=ボルカトールを初代とする元筆頭公爵家つまり宰相家だ。」

僕は冗談ではなく、本当に腰を抜かすかと思うほど驚いた。だって、国のトップである皇帝に最も近い血筋であって、その上、国のナンバー2を代々勤めてきていたとは…

その後も父上は淡々とサーティカン家の本当の歴史を語ってくださったが、簡潔にまとめると…

かつて帝国が建国される前は、現在の帝国領一帯を数多の領主が大小様々な領土を治めていた。各領の領主はいつか自分が統一することを夢見て日々戦に明け暮れていた。そんな中、現在の帝都付近の小さな領地を治めていたボルカトール家に1人の男の子が生まれた。名はアス。聡明で槍術に長けていた彼は成人し、家督を継ぐと初めの10年で領地内で様々な改革を行い、収穫高を以前の3倍にまで増やし、移民を積極的に引き入れ、人口も1.5倍に増加していた。その後彼は3つ下の弟、サンに領政を任せ自身は国家統一に向けて獅子奮闘、25年後、アス47歳の時についに念願の統一を果たし、皇帝となった。一方、領政を任されていたサンはアス以上に才能を発揮し、帝国が建国された頃には、かつてただの田舎町であった帝都を大国ボルカトール帝国帝都にふさわしい大都市へと変貌させた。その確かな手腕を認めたアスは実の弟に「サーティカン」、現代の言葉で「亜聖」という意味の姓を授け、同時に全ての貴族の頂点に立つ、筆頭公爵、すなわち宰相に命じた。以来、1200年ほどの間サーティカン家は皇帝家に仕え、宰相としてその腕を奮ってきた。しかし今から6代前の当主が謀反を起こし、結果、サーティカン家は準男爵家まで堕ち、今に至るというわけだそうだ。

「しかし、どうして6代前の当主様は陛下に刃を向けたのでしょう?」

「それが詳しいことは一切分かっていなくてな。家の書庫の奥にその当主の書いた手記が残っているのだが、どう頑張っても開けないのだよ。元の帝国史もその頃だけ内容が記録されていないのだ。」

「父上、もう一つよろしいですか?」

「うん?どうした?」

「つまり、他の貴族が当家を丁寧に扱うのは当家の正体を知っているから、ということですよね?」

「そうとも限らないぞ。今の貴族の当主はお前の先ほどの仮説通り、本来男爵家になっていたものの、あえて準男爵家となったことを知っているから、一応正貴族として対応している。平民からの妬みはまぁまぁ受けているが、それは貴族も同じだろう。気にしないのが一番だ。イージア、ありがとう。もうそのまま屋敷に向かってくれ。」

家に着くまで妙に時間かかっているなぁ。と思っていたが、どうやら街中を周回していたらしい。しかし、元宰相が今は小領地の領主代行かぁ。前世だったらラノベとかでありそうな話だなぁ。チート能力を使って最終的には元の宰相にまで戻って…みたいな。まぁ、ここはラノベの世界じゃないし、そんなホイホイ上手くいかないか。

そう思いながら、僕は父上とともに屋敷へ入って行くのだった。


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