15.帝国海軍第4大艦隊
今日は身体測定で保健委員の仕事で大忙しでした。帰ってきてから昼寝してしまい、宿題が終わりそうにありません…
帝国海軍には10人の大将がいる。大将長、大将の中のトップにあたる存在だが、その方は皇帝陛下のみを護衛する、皇帝陛下専属護衛艦の艦長を務めている。そして大将のナンバー2、大将次長も皇帝陛下専属護衛艦の副艦長を務めている。帝国海軍の組織は原則1つの大艦隊に3つの艦隊、1つの艦隊に4つの大船団、1つの大船団に3つの中船団、1つの中船団に3つの小船団、1つの小船団に5つの軍船が所属する形になっているのだが、国のトップである皇帝陛下を護衛する艦隊のみ大将が2人も乗船しているのだ。そしてそのほか、大将第3席が皇族護衛艦艦長、大将第4席から第10席までが第1〜7大艦隊の艦長を務めている。第3大艦隊と第4大艦隊が辺境の護りにつき、第6大艦隊は主に国外で活躍している。
第1大艦隊と第2大艦隊は貴族の護衛や外交官など官僚の護衛を司り、第5大艦隊、第7大艦隊がその他の補佐や庶務にあたっている。皇帝陛下専属護衛艦を除き、大艦隊のトップには大将が、副艦長には中将が任じられる。また全海兵は軍務省の海軍局にも同時に所属しており、ある程度の幹部級になると現場ではなく、内勤になることもあるそうだ。これが帝国海軍の正体だと聞いている。
そして今、僕たちの訪れている東方辺境領の守備に当たっているのがシェイズ帝国海軍大将第7席様が艦長を務める、帝国海軍第4大艦隊だ。
「全兵、作業休止!大将閣下に注目!脱帽!大将閣下に敬礼!」
この呼びかけで第4大艦隊の全海兵がシェイズ様に敬礼をおくる。さすが軍隊である。全員の行動がぴったりとあっている。因みに先ほどの号令をかけたのが副艦長のカーテル=ネオラール=アレキス中将だ。シェイズ大将は副艦長(中将)と参謀総長(中将)に挟まれるような位置に立っている。シェイズ様が敬礼を返すとすかさず、
「全兵、敬礼直れ!着帽!」
の号令がかかり、その後全員が対象の次の御言葉を待っている。
「皆様、いつもお疲れ様です。いつも申し上げておりますが、私たち第4大艦隊の隊員は帝国守備の要であります。私たちの両肩には常に帝国国民1億人の命がかかっていると肝に命じてください。本日は有望なる帝国立初等学院第1学年生、サーティカン男爵家長男、シムレクト=ネオラール=サーティカン準男爵様が見学にいらしています。いつも通り、私たちはなすべきことをなし、若い世代に堂々と胸を張っていきましょう。全ては皇帝陛下と全国民のために!」
やがて中船団長が管轄下の小船団長に指示を告げ、その指示を小船団長が各団員に伝えている。因みに幹部級にあたる、中船団長以上はこれから帝国東方防衛会議に出席するらしい。議題は「突然の敵襲に備えたシミュレーション」。防衛線をいくつはるか、とか住民の避難経路の確保はどこの船団が担当するか、とかあらゆる事態に備えて会議で話し合い、決まったことを後日訓練として実際に行い、反省点があればそこをまた幹部で話し合い、改善していくというのが辺境守備の鉄則らしい。
流石に会議の内容を聞くわけにはいかなかったので外で待機していたが、会議の終わって出てきたシェイズ様は
「せっかくですから、よろしければ第4大艦隊の要、中央総司令艦に乗船してみませんか?」と提案してくださった。
中央総司令艦はものすごく大きく、まるで前世の写真で見た、戦艦大和のようであった。
乗船し、船内を一通り案内してもらった後、最高総司令官室に案内され、そこで
「よかったら羽織ってみてください」と
帝国海軍大将のみに与えられる、あの濃紺のマントを羽織らせてもらったのだ。
「海軍は陸軍や騎士団と違い、貴族の権威がほとんど効かない、実力主義の世界です。その道のりは他の2軍と比べても特に厳しいものでしょう。しかし、それでも海兵を目指すのならば、そのマントの重みを覚えておきなさい。そのマントに込められた、帝国国民1億人の命の重みを。いつか貴方が海兵になり、共に国民のために働ける日がくること、そして貴方がもう一度このマントを陛下の手で与えられる日がくることを楽しみにしておきますね」
そう言ってシェイズ大将様は敬礼をおくってくださったのだった。
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