11.帝都での叙勲式
今日は隔日登校の自宅待機日だったので前々からチャレンジしてみたかった、水出しアイスティーをやってみました。出るのにずいぶん時間がかかった分、いつもよりもスッキリしていて飲みやすかったです。
さて、明日なのですが僕が週1で通っているバスケクラブが再開するようなのでちょっと更新する時間が無さげです。すみませんが、明日はお休みさせてください。あしからず…
帝都には検問所があり、それを通らないといけないらしい。前にはずら〜っと行列が…。今から、この列に並ぶのか…。一体いつになったら帝都に入れることやら…
「父上、早く並びましょう。じゃないといつまで経っても立ち往生しないといけなくなってしまいます!」
「あぁ、シムレクト、これは商人専用の検問所だ。僕たちは貴族だからあっちの門から入れるよ。」父上が指差した方にも同じような門が見えた。向こうは2、3組くらいしか待ってないっぽいな。よし!
少し待つとすぐに僕たちの番がやってきた。
「お名前と出身領、爵位、帝都訪問の目的の方をお教えください。」
「私はカムリール=ネオラール=サーティカン。ラフワー筆頭次席子爵領の領主代行を勤める準男爵だ。明日行われる叙勲式へ参加するために帝都に来た。妻のマリーン、子息のシムレクトと従者が3名一緒だ。」
「カムリール様、ラフワー筆頭次席子爵閣下の証明証をお持ちでしょうか。」
「これで、大丈夫かな?」
父上はジョナス様直筆のサインが入った身分証明書を取り出して、門番兵に渡した。
「お待たせ致しました、サーティカン準男爵家の皆様、どうぞ帝都へとお入りください。」
こうして僕たちは帝都へと足を踏み入れたのだった。
翌日。
帝都にある皇居の謁見の間には4人の公爵と辺境伯、中央に止まっている伯爵以下の貴族と陸海軍の2名の元帥と残り16名の大将が続々と集まっていた。「残り」というのはこの国の辺境伯は立場としては雄爵と同等だが、各10名ずついる、陸海軍の大将の中から2名ずつが選ばれて就任する。そのため、実力と出世運さえあれば一般民でも高位貴族と同等の立場を得られるのだ。…まぁ、過去に一般民から辺境伯に就任した大将は海軍に1人しかいないんだけどね。
「父上、いよいよ始まりますね。」
「ふぅ、ここに来るのは久しぶりだし、これから陛下と顔を合わせると思うと緊張するなぁ。」
「奇遇ですね。父上、僕もです!」
「それは僕の子だからね!」
父上と僕は顔を見合わせて笑った。やがて時が立ち…
「皆様、カムリール=ネオラール=サーティカン準男爵とシムレクト=ネオラール=サーティカン卿がご入場なさいます。」
父上が入場する。僕も父上の少し後ろについていく。貴族が皇帝に謁見するときには襟に爵位を表すバッジをつける必要がある。各爵位ごとに色が決められていて、
公爵→黒 雄爵、辺境伯→紫 伯爵→赤
子爵→青 男爵→緑
準男爵→黄 士爵→白 というふうになっている。また各爵位の筆頭家はバッチの縁に金、筆頭次席家はバッチの縁に銀の装飾が施されている。父上の襟元には当然、黄のバッジが輝いていた。
「皇帝陛下がご入場なされます。」
その一言でその場にいたただ1人を除いた全員が膝をつき首を垂れる、「臣下の礼」を取った。…因みにそう言った張本人は最敬礼のみで陛下のご入場を待っている。…あっ、あの人、襟に縁が金で装飾された黒のバッジつけてる。ってことは、あのひ…あの方が今の宰相閣下か。そんなことを考えていると豪華なマントを羽織った1人の若い男が謁見の間に入ってきて玉座に腰かけた。
「皆の者、楽にせよ。」
その声で全員が一斉に顔を上げる。
…皇帝陛下って若いんだなぁ。30代でこんな大国のトップに…。日本の総理大臣なんて5、60代がほとんどなのに…。
「カムリール=ネオラール=シムレクト、領主代行として帝国発展へ貢献したその功績を称え、この度男爵位を授けよう。」
「ありがたきお言葉でございます。謹んでお受けさせていただきます。」
そして父上は自分の襟のつけていた黄のバッジを外し、陛下に返納した。陛下はそれを受け取られた後、自らの手で父上の襟元に緑のバッジをおつけになった。
「ここにサーティカン男爵家の誕生を宣言する!」
陛下が宣言なさったことでうちは正式に男爵となった。よし、じゃあ退場しましょ…
「では、次の叙勲に移りたい。余は国家貴族制定法第2条に則り、シムレクト=ネオラール=サーティカン卿個人に準男爵の位を授けたい。」
…はい?え、僕まだ6歳なんですけど…
当然会場全体がざわつく。
「陛下、恐れながら…我が息子はまだ初等学院にすら入学していない子供です。叙勲なさる理由をお聞かせいただいてもよろしいでしょうか?」
その場の貴族全員が陛下の次のお言葉を待っている。
「帝国史上初となる魔法全属性適性者ともなれば将来帝国の発展に大いに貢献してくれるであろう。その期待をこめて叙勲したい。受けてくれるか?」
一体僕はどうすれば…。困り果てて父上の方を見ると彼は渋々といった感じでうなずいた。「貴族の覇権争いに幼い頃から巻き込みたくないのだが…。」といった雰囲気だ。
仕方ない、覚悟を決めよう。
「つ、謹んでお受けいたします。」
「そうか!受けてくれるか!
…ここに新たにシムレクト準男爵の誕生を宣言する。なお、成人し家督を継いだ際は準男爵位を返還することとする。」
こうして僕も陛下から先ほどまで父上がつけていた黄のバッジを襟元につけてもらって、めでたく?準男爵となったのであった。
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