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――地獄の放課後を終えて――


「はぁー楽しかった!」


白崎は欲を満たせてご満悦のようだ。


ちなみに俺はへとへとだ。


だけど、やっとこれで解放される。


だが



「あれ?……」


白崎が何かを探している。

しかも血相を変えている。

もしかしてだけど……

まさか……


「あのー白崎さん一体何を……」


「見ればわかるでしょ?……鍵よ鍵」


えっ?今なんて言った?……


「あのー白崎さん面白い冗談ですね?……」


手錠の鍵を無くしたとか……面白いご冗談を

そんなことをして、俺を帰さないつもりだとしても無駄です……


「いいえ冗談じゃありません。マジです」


これはマジかも知れない。


白崎は今にも、さとりを開くと思うほど天を見ている。


「どうするんだ!白崎!」


「どうしよう!どうしたらいいかな!ダーリンー」


「外れないよー!」と言いながら、手錠を外そうとする白崎だが、手錠は外れるわけではない。


勿論、俺も手錠を外そうと頑張る。

けれど、外れるはずがない。


「どうらや、外れないね……」


そう言う白崎……


気のせいだろうか?


白崎の表情は心なしか、嬉しそうに見えるが……


俺は白崎の顔をじっと見る。


けど、嬉しそうに見えるような見えないような……


「どうしたの?私なんか見ちゃってもしかして、私に惚れた」


「いや、そんなことはない」


これ以上、白崎を見ていると変な誤解を生みかねない。


俺は「気のせいだと……」自分に言い聞かせることにした。


「ダーリン、これからどうする……」


「帰りたい」


「他は?」


「帰りたい」


白崎はふぐのように顔を膨らませる。


「なんかないの……?ほら、もっと私と遊びたい的な……」


「ない。帰りたい」


「そう、分かった」


いや、分かったのですか……

もっと、「もっと遊ぼうよ!」的な発言をしてくるかと……


けれど、この反応には裏がありそうだ。


見て欲しい。


この如何にも裏があるような満面の笑みを……


「ねぇ、ダーリン」

「はい……」


一体、どんなことを言ってくるのでしょう?

うわー楽しみだなー……


白崎は俺の手を取り握る。


「ダーリンー。帰らしてあげる代わりにお願いがあるんだけどー」


キラキラした目で俺を見てきた白崎であった。



――ある場所にて――



「はぁ……それで、この人をテイクアウトしてきなのね」


「言いかたを考えろ」


何とも失礼な言いかたをしたのは俺の妹、丸山雫だ。


どうしてここで妹が出てきたかと言うと、今、俺がいる場所は俺の家だからだ。


「へぇーダーリンに妹さんがいるんだー」

「えぇ、生意気な妹がひとり……」


あっ、つい本音が……


妹は俺を睨み付けてきた。


けれど、先に仕掛けてきたのはそっちである。



「ふーんよろしくね、えっと……」

「丸山 雫です。ぜひ、雫と呼んでください」

「うん、わかった。よろしく、雫」

「えぇ、こちらこそ」


二人は握手を交わした。


だけど、妹の様子が変だ。


白崎は嬉しそうな顔をしているのに対して、雫はどこか不機嫌に見えるような……


いや、気のせいかも知れない……


雫は元から、不機嫌そうな表情をしていることが多い。だから、気のせいだと思う。


しかし、今の俺は知らなかった。


まさか、妹が俺に好意を抱いていたとは……

















読んでくれてありがとうございます!

次回もよろしくお願いいたします

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