表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/17

次の話へ

「リョーコみたいな女だな」


 セントの憎まれ口に、リョーコがわざとらしく唇をとがらせた。

 そこにミナが一応フォローを入れる。


「まあ……リョーコの方がマシじゃない? 一応、実害はないし」

「そうよ、私、立ち直れる人にしか精神的ダメージを与えたりしないもの。みんなは選ばれし者だから誇っていいわよ」

「リョーコのタチの悪さは別ベクトルか」


 呆れるセントに、ぼくも肩をすくめる。

 ひょっとしたらぼくらの知らないどこかでリョーコが糸を引いた"怖い話"が生まれているかもしれない。


「っていうか、今のも痛い話入ってるよね」


 ぼくが言うと、ミナは顔をしかめてうなずいた。


「そうなの。ナツキはもっと痛そうに細かく話してたけど、あたしは控えめにしてあげた」

「ミナはナツキの話大人しく聞いてあげたわけ? 口挟まなかったの?」

「だって……別に仲良くないし」


 ミナはズバズバ物を言うように見えて、意外と人見知りなところがあることをぼくも知っている。案外学校ではおとなしい子だと思われてたりして。


 それにしても今のミナの話は割とぞっとした。ミナに言われた通り、ぼくはあまり女子と関わることが多くない。別に好きな子もいないし、友達とそういう話もしない。

 だからこそ、ぼくの知らない教室の隅でそんな刃傷沙汰が起きているかもしれないなんて、考えてしまうと恐ろしい。


 好きな人に言われたからってその通り行動してしまうものなんだろうか?

 ぼくには分からない。自分の行動は自分で決めたいし、誰かのせいで……しなくちゃいけないことを決められるなんて絶対に嫌だ。


「で、この話でミナが言いたかったのは、『あたしもシンのためならなんでもする』ってこ――」

「違うから! 何言ってんの! 意味わかんない! ばっかじゃない!」


 リョーコの茶々に、ミナは突然焦って声を荒げる。

 いつもこうだ、何をきっかけにしてか急に怒り出す。だからリョーコに喜んでからかわれるんだろうけど。


「言いたかったのは……クダもいつか刺されればいいのにってことよ!」


 で、黙って様子を見てるクダに銃口を向けるのもいつものこと。


 クダの方はたいして気にした様子はなく、穏やかな顔でほほ笑んだ。


「指名されたことだし、今度こそ俺が話すよ」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ