6話 ニート、スキルアップする
前回のあらすじ
ニート は スキル を手に入れた!
さて、もうこのゲームを始めてから2週間も経った。ゲーム内ではもう1ヶ月とくらいは過ごしている。
1日の大半をゲームの中で過ごしているのだから廃人と呼んでも差し支えないレベルだ、が私のコミュ力はメキメキと上昇している。
そんなわけで今日も今日とて聖職者プレイに勤しむ。
ログインするとまずベッドの温かい匂いに包まれる。私の持っているベッドとは比べ物にならないほど安いが、この安心するようなシーツの匂いだけは私は持っていない。
いつまでも惰眠をむさぼるわけにもいかないのでさっさと起きる。
ちなみに今の服装はサポートAIさんから貰った服のままだ。洗濯しないとなぁ……。
破れない、汚れないで便利だとはいえ流石に気になる。
という事をブレッド司教に伝えたところなんと侍祭の服を頂くことができた!
発注してから来るのに時間がかかっていたそうだ。……なんか、催促したみたいで申し訳がない気持ちになった。
その上、聖書を一冊頂くことができた。気になるアイテムだったので期待に胸を膨らませつつ聖書を開くと白紙のページがかなりあった。
……司教とかもっとクラスアップすると上の教義を正確に学ぶことができて、それを書き留めるための白紙らしい。
変なところでゲーム要素がはいってくるなぁ。
侍祭の服からも陽だまりの匂いがする……気持ちがいい。他にも侍祭用の装備一式を頂いた。
早速着てみるとなかなか着心地がいい。
鏡を見てみる……うーん、似合ってるんじゃない?
「クーガあそぼー!……みんなー!クーガの服が変ー!」
扉をあけて入ってきた子供が私のことを見ると少し硬直しダッシュで回れ右をした。……子供って残酷だよね。いつかこの服が似合うようになるよう精進させていただきますよ。
多分見慣れてないだけだと思うけど……そうだよね?
さて今日も頑張りますか。
ということでいつものように水汲みをすると『水汲み2』を入手していた。さらに水を汲むのが楽になった。水を汲む以外に使い道がないんですがこのスキル……
そうなるといつもより時間が余るわけだ。
だから他のことに力を入れれば他のスキルのレベル的な数字も上がる。
『歌唱2』『聖歌2』を入手した時はすぐにわかった。だって今まで歌詞のみだった視界にカラオケ採点の音程グラフ的なあれが出てきたからね。
気分はもうカラオケです。そのうちしゃくりとか拳とかビブラートの採点まで再現されそう……
『調理2』『聖食2』を入手したことはよくわからなかった。まぁ、仕方ないですよね。
『速記2』を手に入れた時はすぐにわかった。
なんと、羽根ペンのインクの滲みがなんかいい感じになるんだ。
作業が捗る……『速読2』はしおりが無くても読んでいる途中のページをすぐに開けるというものだった。地味に便利。
『清掃2』を手に入れた……心なしかいつもより作業が早くなった気がする。
また、時間が余るぞ……
というわけで瞑想タイム。
そりゃ『信仰2』も手に入る。
この『信仰2』っていうスキルだけは効果を感じないんですよねぇ……なんかご利益をいただきたいものだがそれは高望みというものなんだろう。
そしていつものようにブレッド司祭達とお祈りをして、そのまま自室に帰ろうとしたところブレッド司祭からこんな提案を受けた。
「クーガさんさえよろしければ治療院の手伝いをしてみませんか?」
「はい、やってみたいです」
……ただ、業務内容が心配だったのでグロに対する補正値を少し上げ……このゲームがR15なのはそういう理由ですか。
グロ補正が効かないと初めて知りました。
ブレッド司祭はどこかに行ってしまいましたし。
神さまどうか内臓が飛び出た人とか搬送されて来ませんように……