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〜猫の小説家、猫男爵の素顔に迫る〜 前編


インタビュアー「手は人の手なんですね」


猫男爵「そうだよ!

じゃなきゃどうやって書く?

身体の事が知りたいなら、過去のインタビューを観てよ」


インタビュアー「…」


猫男爵「これ以上身体の事を聞くなら中断して」


―インタビュー中断―


猫男爵、冷凍庫から何やら取り出す


一応の形を成したチーズケーキだ


冷蔵庫から小さい鍋を出した

ブルーベリーソースが少し固まっている


ジャム化したそれを

おもむろにかける男爵


インタビュアーはビデオからiPhoneに切り替え、

録音だけは続いていた


インタビュアー「温め直さないんですか?」


猫男爵「…じゃあ聞くけど、

それは君のiPhone?」


インタビュアー「えぇ」


猫男爵「じゃあそれを温めよう」


インタビュアー「すみません」


猫男爵「わかるよ、職業病だね

 君も食べる?」


インタビュアー「じゃあ小さいのを1つ」


猫男爵はパンを火にかけ

ソースを温め直しながら

一息おいて尋ねた


猫男爵「君は猫の顔をした男に興味があるの?

 それとも男としての僕?」


インタビュアー「難しいですね」


猫男爵「慣れているよ」




―インタビュー再開―


インタビュアー「変容するものを…

変容を嫌うのですね」


猫男爵「どうしてかな?」


インタビュアー「先程、ケーキをいただいたのですが

最初ソースを温め直しませんでしたね?

心情が表れているのかと」


猫男爵「冷たいだけさ」


インタビュアー「過去のインタビューを観ました

確かにあなたは徹底的な自己否定の姿勢を崩しませんでしたね

私は何人か身体的に…問題のある方をインタビューしたのですが

慈悲に溢れ、どこか寛容している様子でした

少し有名な例で

マグノリアさん(蜘蛛女)については

手がたくさん使えて便利だと

千手観音の恩恵を受けていると仰っていました」


猫男爵「マグノリアは友達だよ

君は表面だけ浚ってるようなもんさ

彼女は本当に千手観音だよ

メルシー、メルシー

メルシーは簡単なんだよ」


インタビュアー「あなたは無宗教ですね?」


猫男爵「そう」


インタビュアー「身体の…つまり猫の顔ではなく

何か許せない事柄があるのでは?」



猫男爵「面白いことを聞くね」


インタビュアー「…‼︎」


猫男爵の瞳孔が開いてギラリと光った


猫男爵「君のコラムを読んだよ」


インタビュアー「恐縮です」


猫男爵「週に5日のジムに

岩盤浴、ローフードダイエット

無添加化粧品

徹底したアンチエイジング…



君こそ変容を拒んでいる、

いや、恐れているのでは?」


インタビュアー「…‼︎」



猫男爵「…すまない、感情的になってしまった

あまりに核心を突かれたのでね」



インタビュアー「いえ、続けてください…

私こそ核心を突かれました

変化を恐れていると思います」


猫男爵「…たしかに私は無宗教、

なぜだと思う?」



後編に続く


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