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魔王は働きたくない  作者: 宮島闇継
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第0.9話:人間様の都合




 魔族を追いやって十年、人間にとって魔物を狩るというのはもはや平和の為なんてお綺麗なものではなく生活を維持するための手段と化していた。

 もともと魔王を倒すべく存在した兵士というのは対魔物らに特化していても商人としてはからっきしで肉体労働以外に生きる術を持たない。一時は勇者やなんだともてはやされようと過ぎてしまえばただの野蛮人の集まり。

 国にとっても一定の戦力を持つことは損ではないが大きすぎる力は争いしか呼ばない。ゆえに彼らに必要なのはいつも変わらず共通の敵である魔物だった。

 そうして探した末に見つけたのが地下深くへと続いていく洞窟とそこに住まう大量の魔物だったわけだ。


 こうして誕生した新職業【冒険者】というのは国が後押しした甲斐あって大いに盛り上がった。魔物の死骸から有用な部分を買い取ることにより冒険者には金を与え、国はそこから新しい武器に道具と生産し流通させる。

 今まで未発展だった地下には未発見の鉱石も大量にあり、宝石商も大いに潤った。

 当然危険と隣合わせの職業だが、やりがいは十分にある。なにより国がバックアップをしてくれることもあり冒険者の数は一気に増えていき、それに伴い地下への探索も進んでいく。

 魔物に怯えていたことなど遠い過去。

 魔王なんて誰もが忘れた。


 そんな順風満帆、猪突猛進と地下へ地下へと進んでいった冒険者が見つけたのが地下深くの大空洞に住まう人型の魔物の存在だ。

 かつて魔物を統べる存在として魔族と呼び、嫌悪した。

 その中でも一番力を持つ存在を魔王と呼び、恐怖した。



 十年前の大討伐時に滅ぼしたと思っていた存在は生き残っていたのだ!


 これには人間サイドびっくり。

 こんなところまでやってくる人間に魔族サイドげんなり。


 しかし、人間たちにとって今更魔族が生き残っていたところで大きな問題ではないのだ。かつて滅ぼす寸前までいった連中の生き残りなどたかがしれている。それに比べこっちは十年魔物を狩り続けた。

 つまりどちらが強いかと言えば自分たちに違いない!

 その実績に裏打ちされた確信と自信により彼らが進んだ先にあったのは地下なのにどうやって建てたか謎の城だった。


 もう一度言おう城だった。


 人々は後にこの城を【魔王城】と呼んだ。

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