なぜかヒロインの葬式から始まるプロローグ
サブタイを見て「あの花かよ…」と思っているならちょっと違います。ていうか幽霊とかそういうホラーの類の話ではないです。
どちらかというとSFっぽい感じ?
あと、うつ系でもない……まぁそういう描写はありますがハッピーエンドです。一応。とある有名な映画がモデルだったりします。
――――――十五年前――――――
なぜか涙は出なかった。
それとは対照的に外ではまるで恨みを持つかのような強い雨が降っている。激しい雨音は古い斎場の中でさえ聞こえていた。
昨日から降り続いているこの大雨は一ヶ月分の雨量に相当するとかなんとか気象予報士が言っていた。同じ予報で今日の天気は徐々に回復するなどといっていたなぁ、と昨日の比ではない雨を見つめて考える。
(石原以外の気象予報士でも外すのか……)
などと、失礼なことを考える。
(しかしこの雨は、な)
斎場の中の鬱々とした雰囲気は嫌いだ。だが、この雨をただ見つめているよりはマシだったかもしれないと思いつつ、引き返す気にはなれない。
(そもそもがっかりする筋合いなんてないんだよな)
そうだ、今回の葬儀の前の方のお花畑の中に飾ってある明るい笑顔の写真の女性とは別に何か縁があるわけではない。いや、確かに友達ではあったが。
おそらく前の方で泣いていた家族も俺のことは近所の仲の良かった同級生としか思っていなかったことであろう。
もしかしたら写真の中の"あいつ"もそうだったのかもしれない。
だが……いや、そうだとしても。俺は本当はお前のことが……嫌いではなかったのに。