生死の狭間
家を出たテツはというと、まずどこに行ったらいいか分からず出たばかりだというのに途方に暮れていた。
リンが
「テツー。威勢よくでたのにやっぱりこうなるのね。本当誰かいないと何も出来ないんだから」
家を出ようとした時といい、今といい、だんだんリンの口調に厳しさが増して行く。
「リン?俺へのあたり厳しくなってないか?
そしてなんでテツ様からテツになってるんだ?酷すぎないか?」
「何をいってるのテツ。うふふ。一歩家を出たら主人もなにもないじゃない。今は1人の男と女でしょ?」
テツは何も言い返せない。というかリンに口で勝ったことは今までにない。
それでもテツは食い下がる。
「そんなにいうなら何かいい案はあるのか?リン!!」
「ないわよ。」
「随分とあっさりいうな。」
「だってその時計についての情報はなにもないんでしょ?」
「あぁ。どこかに出掛ける時も色々な所にいくからカノに任せっきりでここは何処かなんていちいち考えない。」
「うーん。わかること言えば飛行機で行ったことそして奇岩地帯があるところ。それぐらいかな」
「はぁ。。どうやったらこんな男になるんだか。」
「そんな呆れることじゃないかよ。」
「まぁ、取り敢えず今は情報収集ね。」
「近くに私の故郷があるからまずはそこにいきましょ」
「どーせお金ないんでしょ」
「お金ぐらいあるよ!」
そういうと
「あっ!!カードしかない」
「まさかそれ使う気?足取りがばれてすぐカノに見つかるわよ。」
「そうじゃないかと思ってちゃんと持ってきたわよ。お・か・ね」
「テツと違って微々たるお金ですけどね。」
「助かる。本当リンがいなきゃ何もできないな。ひとまずリンの故郷に向かうとしよう」
「で、リンの故郷はどっちなんだ?近くってどれくらいかかるんだ?」
「うんとねー。車だったら朝にはつくかなー」
「は!?どこに車なんてあるんだよ。まさか車までリン手配したのか?」
「いえ、手配してませんよ。私免許持ってませんしテツも免許持ってないでしょ?」
「そうだったな。この夜道を歩くのか?今は秋。朝晩の冷え込みは厳しいぞ。」
「そんなことも考えないで出たの?はー」
リンの溜め息はカノに届くのではないかと思うぐらい深かった。
「誰も泊まらず向かおうなんて言ってないわよ。ここから30分くらい歩い所にコテージがあったはずよ。今日はそこで泊まりましょ」
「近くにお店もあったはずよ。気が張りすぎて疲れてお腹減ってるんじゃない?」
なにからなにまで見透かされてるようでテツは怖くなった。
だがお店に入るとテツは変わった。
テツはスーパーと呼べるようなところなど入ったことなどない。
子供のようにはしゃぎ回るのでリンは恥ずかしく恥ずかしく仕方なかった。
案の定スーパーを出てコテージに向かう最中
リンは
「なんなのあれはテツ!!私恥ずかしくて恥ずかしくて顔もまともに上げられなかった!目を離したらどこにいくか分からないから離れらないし!もー!!テツったら!」
テツはコテージに着くまでずっとリンの説教を受けていた。
コテージに着き、俺がソファで寛いでいるときもリンはブツブツいいながら料理を作っていた。
「怒らせちゃったなぁ。料理に毒を盛られでもしてないだろうか。」
キッチンからの黒いオーラにテツは怖くなった。
「出来たよー」
リンの明るい声もテツには恐怖に感じた。
ソファから起きテーブルに向かう際、美味しそうな匂いに恐怖は消えた。
「リン!いつ料理なんて覚えたんだ?リンと料理なんて無縁かと思ったよ。リンの料理なんて俺始めて食べるよなー?」
「無縁なんて本当テツは失礼よね。まぁ料理を覚えたというか、私自身料理を作ったの始めてなんだけどね。」
「すごいじゃないか!見た目100点だぞ。うまそうだ。って箸ないぞ。」
「ごめん。肝心な箸わすれてた。ごめん。ごめん。」
箸が届きご飯を食べ始めた。
「うま………………」
テツが覚えてるのはここまでで次に目が覚めたのは次の日の朝。
「カノに見つかる前に早く出ましょ。あんまり長居は出来ないわよ。」
この言葉で目が覚めた。
「リン?昨日の記憶が途中からないんだけど何か知ってる?」
「さぁ。。。お酒飲み過ぎて記憶ないんじゃない? まぁそんなことより早くいきましょ?」
テツは一晩生死の狭間にいた。