表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ウォッタッチドロップ  作者: 都 麗華
夢の町イギー編
34/39

強さとはなんなのか

軽い汗?

最初はどこでもやるような準備運動だった。

「十分に体をあっためておかないとなぁ」

組み合ってのストレッチは激しさを増していった。

柔軟?柔らかく?そんな生易しいストレッチではない。骨が外れる、折れると思うほどの激しさだった。


それなのに周りからは羨望の眼差しで見られている。


悲鳴を上げそうになるのを我慢していると道着に着替えた荒神が戻ってきた。


「優ちゃん、ほどほどにね」

とジャキの凄い汗に笑っていた。


「待たせたね。一回集合しよっか」

荒神の一言に


「集合〜」

ドスの効いた優弥の掛け声が道場内に響いた。


荒神の前に綺麗に整列していく弟子達。

ジャキは一番後ろに見様見真似で座った。


優弥は荒神の隣に斜めに座っていた。


ジャキの隣にいた男がこっそりと話しかけてきた。掃除を一人でやらされていた華奢なあの男だった。ジャキの中で勝手に掃除をしてたから華奢なソウちゃんとあだ名をつけていた。


ソウちゃんは

「優弥さんはね、この道場のナンバーワンの実力で、誰もが目標にし手合わせや一緒に修行したものはいないんだ。だからさっきジャキが優弥さんとやっていたというのは凄い稀なことなんだよ。俺たちの間ではね師匠よりも強いのではないかと噂になってるほどなんだ」

あんな激しいことはもういいよ。とジャキが思った時。


「解散!!」



「しまったー」

ジャキはソウちゃんの話を聞いていたので荒神の話を全く聞いていなかった。何を話していたのか全くわからない。頭を抱えた。


師匠の話が終わると優弥は立ち入り禁止の札が貼られた襖を開け奥の部屋に消えていってしまった。

消えていったかと思えば数分も経たずに戻ってきて師匠に一言いいまた奥の部屋に消えていった。


ジャキは荒神の話を聞いてなかったし、優弥もいなくなってどうしたらいいのか分からず道場の端に座り弟子たちの稽古を見ていた。


優弥が師匠に何かを言って部屋に戻った直後ジャキは師匠に呼ばれた。


「ジャキちゃん。宗馬〜ちょっといいかなぁ〜」


ジャキの隣には掃除のソウちゃんが立っていた。


「あのね。さっき優ちゃんが俺の代わりに宗馬をジャキちゃんにつけてくれって言ってきてね。そしてねジャキちゃんがどれくらいできるか宗馬と手合わせさせてみてくれって言ってたんだぁ」

ジャキはなんでこんな華奢なやつなんだ?と少しガッカリした。


「あぁ、そうそう試合内容なんだけどね、私がいいというまで宗馬は自分からの攻撃はしないでね」


ジャキは早く師匠にGOサインを出させてソウちゃんも攻撃できるようにしてやるとやる気が出てきた。


「試合開始!!」


「おねがいします!!」

二人の礼と共に試合は始まった。


ジャキの動きは軽やかだった。

さすが昔観光客からお金を盗んでいただけのことはある。素早い動きで宗馬の隙を伺っていた。


ただ隙が見つからず攻撃しようと手を伸ばしてもかわされるか手で弾かれるばかり。


徐々に宗馬の動きも早くなり攻撃しようにも見つけるのが精一杯で攻撃してるはずのジャキが疲労しきっていた。

すぐにフラフラになり立ってるのもしんどくなってきた。


いつまでたっても師匠のGOサインがでることはなかった。

「もうこの辺にしときますか?ジャキちゃん」

代わりに試合の終了が言い渡された。


わかっていたことではあったが仮にも華奢とはいえ荒神道場の弟子。何もできなかった。


ジャキはソウちゃんにならと思った自分を悔いた。でももう少し出来ると思っていたのに。。涙が自然とこみ上げてきた。



試合が終わる頃に優弥が悔しみにくれるジャキのもとにきた。


「道場で泣くな。男だろ。ここではもう二度と泣かないと誓え。悔しかったら強くなって

みろ」


優弥は自力では起きれないジャキの首を掴み立ち入り禁止部屋に連れて行った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ