食らいつくバル
「じゃあなカノ。元気そうでよかったよ」
ドアを飛び出し軽くカノを見た後背中越しにテツは言った。
グッと腕が引っ張られた。
温厚なカノとは思えないほどの顔でテツの腕を掴んでいた。
カノの傍らにはナイフを片手に今にも襲ってきそうなメイド達がいた。
「なんてものを持っているんですか!物騒なものをしまいなさい!わたくしが話す。君たちは今は下がっていなさい」
口調までもいつものカノとな違っていた。
「カノ!ドクから聞いてないのか?俺にはやりたいことある。カノもわかっているよな?お前たちに邪魔されたくないんだよ。俺のことは忘れてくれ。帰らせてもらう」
「はい。テツ様のお気持ちはわかります。わたくしに一言もなしでいかれたのは非常に悲しかったですがね…。まぁわたくしも何も手助けしませんでしたし、というか他のことにもやる気になっていらしたのでそのままでいてほしいが故何もしなかったんですがね…」
「ドク様によってテツ様を指名手配犯にしてしまいましたが、そんなことはしたくありません。シェルブーにテツ様達の迎えを行かせた時終わったと思ったんです。指名手配犯になるのなら私が行けばよかったと後悔しております」
「わたくしともう少しゆっくりとお話ししていただけませんか?そうしていただけるのでしたら帰ってきたということで指名手配の解除の電話をしてもいいですよ」
「このまま行かれるのでしたら胸が痛いですが解除はなしとさせていただきます」
バルやマンタ君はテツの事をあまりしらない。
「なぁテツ。俺あんま話知らないからゆっくり聞きたい。ここにくる途中に話してくれるって言ってたけど教えてくれる暇なかったじゃん」
バルがゆっくり話してもらえないかとテツに言った。
「少し話すだけだからな、話し終えたら俺は帰るぞ」とテツがいい大広間に移動することになった。
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移動すると殺気立ちながらメイドが食事を持ってきてくれた。
毒でも入ってるんじゃないかとテツは思ったがバルは躊躇いなく食らいついていた。
「テツなんで食わないんだ?うまいぞ!!こんなもんばっかり食ってたのかよ!!」
テツは家を出た経緯をバルとマンタ君にもわかるように説明した。でもマリアのことはごまかした。バルは食べる手を止めずにムサボリながら頷きながら聞いていた。
「俺の話はこれくらいでいいだろ。それよりなんなんだ。さっきから殺気立ってるメイド達は。。ずっと気になってたんだけどよ。。しかも数減ってねーか?」
「よぉテツ。久しぶりだな。来るかどうか微妙だったけど来たんだな。よかったよかった。数が減ってるのは理由は俺だ」
その声は!?とテツが後ろを振り返るとそこにはロキが立っていた。
「ロキ!!お前カノ危篤じゃねーじゃねーかよ」
「そりゃ普通にいったって来るわけないだろ。お前が」
「まぁそうだな。で、なんでロキここにいるんだよ。メイドが減った理由が自分ってどういうことだよ」
「わたくしから順を追って説明しましょう」
カノはさらに続けた。
「テツ様がいなくなって2日目、メイド達はテツ様を記憶をなくしてしまったんです。状態の悪い者や何日もメイドとして仕えてた者は自分が何者なのかどこから来たのかさえ忘れてしまったのです。唯一わかってるのがテツ様がいなくなったということだけなんです」
「そこでわたくしたちでなんとかしようと思ったのですが人数が人数なだけに人手が欲しかったんです。この近辺で人脈などが多い方となるとロキさんですからね。ましてやテツ様の事を知っていましたし、この方しかいないと思いましてお願いしたのですよ」
「そうなんだテツ。カノさんから色々聞いてね。テツの手伝いもしてやりたいがカノさんのお役にも立ちたくてね。身元を確認して家に届けたり、働き先を斡旋したりしているんだよ。よくもまぁあんなにメイドを連れてきたもんだと最初は驚いたよ」
「今ではほとんどメイドの子達はいない。今いる子達は最初の頃からメイドとして働いた子達で、中々身元がわからないんだ」
「だからテツを見た瞬間怒りが湧いてきたんじゃないかな」
話を聞いていたテツは自分のオトシヤの能力の後遺症かなと思ったが何も言わないことにした。
「だから俺を連れ戻したかったのか?俺が来たことで何か変わったか?誰も時計のこととかを手伝ってくれなかったからこんなことになっちゃったんじゃないのか?」
「それはね………」
その聞き覚えのある声と共に女性が現れた。
テツはその女性を見て固まった。
タイトルは特に意味はありませんww
なんとなく食らいついてるバルを想像したら可愛かったのでタイトルにw




