我が家への帰宅《後編》
海を漂うテツ達御一行。
行き交う船の乗客達の目線が気になるところではあったがテツはあえて知らぬ顔をし平然としてマンタ君の上に乗っていた。
「こんなんおかしいと思わない奴はいないよな。だから俺はあえて普通にいる」
あり得ない光景をテツはある意味で楽しんでいた。
「食事ターーイム」
時折マンタ君がそういうと口を大きく開け海面近くを泳いでいる魚達を丸呑みしていた。
「どんだけ食うんだよ」
「えっとー。そこに魚がいたら食べるデス」
「いなかったら我慢するデス」
「何日も魚が来なかったらどうすんだよ」
「それは問題ないデスヨ」
そういうとゆっくりとテツ達を落とさないように半回転してお腹を見せてきた。
そこには無数のウニョウニョしたものがついていた。
「普通のマンタはプランクトンやオキアミを食べるみたいなんだけどマンタ君は魚大好きデス。寄生虫を食べに来るお魚さん達いるんだけど、綺麗にしてくれたらお礼に食べてあげてるデス。えらいでしょ」
「いやいやそこは逃がそうよ。事が済んだらパクリってあんまりだろ………」
「そうですか?食べるのに苦労しないから楽デスヨ」
「わかった…お前の好きにしろ……」
話をしているとテツの背後にサメが現れた。
「おい!マンタ君!サメ!サメ!逃げないと!」
「ん?呼んだのはたぶんマンタ君デスヨ。マンタ君の糞を食べに来るんデス」
「危害は加えないと思いますから安心してくださいデスヨ」
マンタ君の答えにも、鋭い目をこちらに向けてくるサメにテツは気が気じゃなかった。
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波に揺られながらテツは程なくして見覚えのある港町に着いた。
サメはいつのまにかいなくなっていた。
そこはジャキの故郷、そしてロキのいるリクシャーだった。
人気のない所から陸にあがるとマンタ君は風船がしぼんでいくようにシューと音を立てながら縮んでいった。
テツは小さくなったマンタ君を拾い上げ胸ポケットにしまい、代わりに電話を取り出しロキに電話してみた。
呼び出し音だけで電話にロキは出なかった。神出鬼没だし忙しいのだろうと思い町の人に聞いてみてもみんな揃って最近見てないという。
どこかに出かけているのだろうと思ったテツは家に帰ってみることにした。
テツの屋敷につくと、外にいたメイド達がバルと一緒にいる人を見て慌ただしくなった。
テツはこの光景を何度も見てきたので「またか」としか思わなくなっていた。
「おれだよ。おれ」
屋敷についたことでやっと外せると勢いよく顔に被せていた布切れを取った。
慌ただしくしていたメイド達がテツの顔を見た途端戸惑いから怒りに変わっていった。
みるみるうちに表門から玄関の間にメイドの群がりがテツを囲むように出来ていった。それを掻き分けながらテツは玄関までいった。
「なんなんだあの形相は」
異様な光景にテツは驚きを見せていた。
家に入ってみるといつもはメイドでごった返してる家が閑散としていた。
「表にいたメイドも少なかったし…どっかで集まってる所なのかな?」
すると外にいたメイド達がナイフやフォークを投げ襲ってきた。
「おいおい。何投げてるんだよ。そこまでしなくてもいいじゃないかよ!」
「家を空けたことがそんな罪なのか?」
とテツは逃げた。
テツは自分の部屋に逃げ込んで鍵を閉めた。
すると程なくしてコンコンとドアをノックする音が聞こえてきた。
テツが黙っていると、
「カノです。テツ様。なにももう起こりませんからドアを開けてくれませんか?」
「もう充分すぎるぐらい起こっているよ」
「しかも危篤って聞いたから来たんだぞ。やっぱり騙しだったんだな。それなら用はない。帰る」
などとテツはカノに罵声を浴びせながらドアを開けた。
短めですが刻みます^_^
次回!!
カノと接触し帰ろうとするテツ。
このあとどうなるのか。
そして最近姿を町の人達に見せてないロキはどこに?
28話 ◯◯◯◯◯◯
(タイトル決まってないから書きようがないww)
次回のオトシヤをお楽しみに(*^^*)