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ウォッタッチドロップ  作者: 都 麗華
雪の町ベコモ編
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英雄の作りし町

ラルの今までに見たことのない優しい顔にリンは不思議に思い、家にあがらせてもらおうとテツが言ってきても待ってといって窓の中の様子を皆で見ていた。


「ラルさん傷の具合はどうですか?まだ痛みますか?ご飯作ったのでどうぞ召し上がってください」


「トミイさんが看病してくださったお陰で大分よくなりました。なにからなにまですいません。いただきます」

「うん。めっちゃ美味しいです。こんな料理を毎日食べれるんだったらずっとここにいようかな」


「まぁ、ラルさんったらお仲間さんが聞いたら怒りますよ」


「あいつらなら俺がいなくてもなんとかなりますよ。というか俺がいたら邪魔はだけですよ。あはは」


「まぁ、そんなことないと思いますよ」



「ちょっとあんた達そこでなにやってるの!トミイちゃん!トミイちゃん!怪しい人達がトミイちゃんの家の中のこと見てるわよ」

トミイの家の隣の家主が叫びながら近寄ってきた。


「ちょっとあなたたち誰なんですか?なんの用があってうちの前に…」

「やっぱりお前たちか…トミイさんごめん。こいつら俺の仲間です。ご迷惑おかけしてすいません」

ラルはベットに横になりながら隣の家主に頭を下げトミイにも頭を下げた。


:::::::::::::::::::::::::::::::::::


「まぁ、ラルさんのお仲間だとは知らずごめんなさい。みなさん外は寒いですから家の中にあがってください。さぁさぁ」


ご飯の準備もしてくれ至れり尽くせりで、それを見てたラルはどこか機嫌が悪そうなだった。

「今日はもう遅いですしお話は明日ゆっくりするとして、みなさんお疲れでしょうから今日はお開きにしますか」

トミイは皆の布団の準備もしてくれていた。


ラルはトミイのベットを使っていた。

トミイはラルの隣に布団を敷き眠ることにした。

二人とも顔を赤らめお互いに背を向け眠っていた。


翌朝一番早く起きたモモはラルとトミイの部屋に入りこっそりとトミイを起こした。


「心臓止まるかと思いましたよ。何もないにしろ他の人にも見られたらあれですよ…」


「ありがとう起こしてくれて、一番最初に起きるつもりだったんだけどね」


モモとトミイは朝食の準備をすることにした。


いい匂いに誘われるようにゾロゾロと他の皆も起きてきた。


「みなさん、おはようございます」

モモとトミイは綺麗にハモった。

終始笑顔の二人。みんなが起きて来る間に意気投合したようだった。


ご飯も食べ終えテツはまずパトのことについて聞いてみた。


「お探しになってるパトって人かは分からないですがこの町には一人の英雄の話が有名ですよ」


「あの町の看板に書いてあった英雄ですか?」


「はい。わたしは見たことないんですが、わたしのお婆ちゃんが見たことあってお婆ちゃんから聞いたことしか知らないんですが」

「昔この町は人と狼とが共存していていたそうなんです。でもある日飲んだくれていた一人の男の人が子供狼を誤って射殺してしまったことにより共存が崩れ狼は人を憎みやがて人を襲うようになったそうなんです」


「狼たちは日が暮れると行動するので昼間の賑やかな町が夜になると一変灯りひとつないひと気の全くない町になり迂闊に外に出られない日々を送っていたんです。そんなある日一人の男の人が夜にやってきて朝になるとその男は服はボロボロ血塗れの状態で雪の上に横になっていたというんです。軽い凍傷にもなっておりわたしのお婆ちゃんが家まで運び看病してあげていたそうです」

「でもその男はこの町の話をお婆ちゃんから聞いてかどうかはわかりませんが、傷が癒えては夜外に出て狼に会いまた傷付きお婆ちゃんが看病するという日々をしばらく過ごしていたんです。でもある日を境にその男は姿を消し、狼たちも夜姿を見せなくなったというお話です」


「狼の脅威に怯えなくて済むようになった町の人達は彼を英雄と呼ぶようになり夜でも帰って来れるようにと灯りを灯し常に明るくしてあげるようにしたんです。だから英雄の作りし暖かな町なんです」


「その男と狼の間に何があったんですかね?」


「それが全くわからないのです。この町の奥の林の中にいるみたいなんですが見たものは誰一人いないのです」


話の終始ラルはトミイを見つめていて、トミイも知ってか知らずか顔を赤らめながら話していた。ラルはトミイに一目惚れしていてトミイもラルに一目惚れしていた。


ラルとトミイの想いは一人だけが気づき知っていた。


「ねぇねぇ、狼のいる林にいってみようよ。楽しそうだし何か分かるかもしれないよ」

人を襲ってたということを知っていってるのかジャキがお願いするような輝いた目で楽しそうに言ってきた。


「そうだな。行ってみて危なそうだったら引き返そう。他には何もなさそうだしな。ラル傷どうだ?一緒にいこうぜ」


「わりぃ。昨日トミイさんに看病してくれたお礼にどこかいこうって事になってるんだ。悪いけど俺抜きでいってくれないか?」


「ラルさん、わたしはいつでもいいですよ。テツさん達といってきてください」


「トミイさんはラルとデートにいってきてください。ラルさんは言ったら曲げない人ですし。ね。ラルさん」


「デートだなんてモモさん、そんなんじゃないですよ。何いってるんですか。」

明らかにトミイは動揺していた。


「トミイさん、ラルをよろしくおねがいします」

「トミイ姉ちゃん楽しんできてね」

「変なやつだけどしっかりしてるとこはあるかな?あることにしとこう。トミイさん楽しみにしていたっぽいし楽しんできてください」


「おいテツ!変なやつはないだろ。。もっとまともなこと言えないのかお前は………」



こうしてトミイとラルはデートすることになった。


:::::::::::::::::::::::::::::::::::


「皆さん気を付けていってきてくださいね」

トミイの家の前でテツ達はトミイとラルと別れた。


「よっしゃー。狼探しだ。見つかるといいね」

「ジャキー。もっと楽しいことがあるよ」


「なんだ?もっと楽しいことって」


「リンさん顔が怖いですよ」


「だってモモ、こんな楽しいことってないじゃない」


「まぁ考えてることはわかりますが、ラル達の尾行ですよね?」


「わかってるじゃないモモ」


「そんな楽しいのか?尾行って」


「ついてくればわかるわよ。ジャキ」


「じゃあ行く!!」


「テツには拒否権なしね。問答無用でついてきてね」


「はいはい、わかりましたよ。ついていけばいいんだろ」


「物分りがよくて素晴らしい」

リンは生き生きしていた。


「ラルさんとトミイさんの恋を陰ながら応援したかったのになぁ」

とモモは思っていたが内心気になっていたのでリンの申し出にある意味感謝さえ覚えていた。


狼探しではなく尾行が始まった。

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