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この作品には 〔ボーイズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

告白

ニコ生、裏劇、ご自由に。録音の場合は連絡ください。

近藤 昌和(♂)40歳、バツイチ。前の妻が忘れられない。男前でがさつな性格。

渡部 一樹(♂)19歳、大学生。近藤のよく行く弁当屋でバイトしている。

近藤 雪菜(♀)38歳、昌和の元妻。自由奔放で好きなことを追求していく性格。


役表

昌和(♂)

一樹(♂)

雪菜(♀)




昌和「俺が悪かったのかもしれねえ、でも明確な理由もなく突き出された離婚届に俺はただ素直に応じてしまった。雪菜が自由なやつなのは付き合ってから知っていたし、また気まぐれかと思ったんだ」


雪菜「…私のこと、やっぱり飽きたのね。まあ、いいわ」


昌和「その言葉が痛くて、俺は無言で離婚届を渡した。雪菜を嫌いだと思ったことは一度だってない。けれど、俺は結局彼女を本当に愛していたか…自信がねえ。別れてからは弁当屋によく行くようになった。メシなんて作ったこともない野郎だ。仕方ないだろう」


一樹「いらっしゃいませー!あ、近藤さん!こんばんは、お勤めお疲れ様です」


昌和「おう。渡部も元気そうで何よりだな」


一樹「別に、元気とは限らないでしょ。今日は?」


昌和「のり弁一つ」


一樹「毎度ありがとうございます!…結婚指輪してんのに弁当買うんだもんな…」


昌和「あ?なんだって?」


一樹「いや!!何でもないです」


昌和「渡部一樹。俺の通う弁当屋で働く大学生だ。深夜まで働いてるから立派だ。だが、独り言というかいつもブツブツ何か言ってるんだが…気にするのも無駄だな」


一樹「のり弁です、ありがとうございました!…近藤さんって時間ある?」


昌和「あ?仕事中に私語いいのかよ」


一樹「店長帰ってますから」


昌和「はーん。で?何か用事でもあるのか?」


一樹「人生相談ってか、恋愛相談したくてさ。近藤さんくらいの年齢なら答えてくれそうだし」


昌和「…恋愛、相談ね」


一樹「まずいですか?」


昌和「いや、いいよ。車で待ってるから」


一樹「やった!じゃあ、早くあがります!!」


昌和「本当に今時のガキはわからねえな、こんなおっさんに恋愛相談か」




車の中、昌和がタバコを吸っていると一樹が乗ってくる。




一樹「すいません、遅くて」


昌和「気にしねえよ、時間もあるし明日は仕事も休みだしな」


一樹「早速なんですけど…俺、男を好きになったんです」


昌和「ッ、ゲホッゲホ!!」


一樹「ああ、急にすいません」


昌和「そりゃお前、誰にも言えねえわな」


一樹「はい。でも、本気なんです。マジで好きっていうか。放っておけないっていうか」


昌和「へー、若いっていいな」


一樹「茶化さないでくださいよ、近藤さんが結婚してるのは知ってます。だから聞いてもらってるっていうか…まあ、とにかく俺の好きな人って既婚者で男なんです」


昌和「まあ、それは…止めたほうが大人としての対応なんだろうか…ってか、俺は結婚してねえって」


一樹「え?!でも、指輪」


昌和「明日からでも外す予定。離婚したばっかでな、慣れでついしちまうんだよ」


一樹「そうだ、ったんですか」


昌和「その、お前の好きな人ってのは気づいてるのか?」


一樹「全く。無自覚に誘うから本当に困ってて。…本当、なんで気づいてくれないんだろう」


昌和「当たり前だろう、男に好かれるってレアだぜ?普通は有り得ないって」


一樹「…有り得ないんですか、近藤さんも」


昌和「俺は別に、って感じだな」


一樹「テキトーっすね」


昌和「それが原因で離婚してるしな」


一樹「…そうなんだ。俺、近藤さんを嫌いに思ってないですよ」


昌和「おお。なんか、ありがとう?」


一樹「何で疑問形なんですか!」


昌和「とりあえず、何でもいいからアプローチしてみればいいじゃねえか。当たって砕けろが恋愛ってもんじゃねえの?」


一樹「そうですね。アタックしまくります」


昌和「今日は送るよ、家はどの辺だっけ?」


一樹「近藤さん家の斜め前っす」


昌和「ちっか!!」


一樹「あはは、ですよね!驚きましたよ」


昌和「この時は本当に知らなかったんだ。俺はただ、息子とか弟とかそんな存在にしか見てなくて。雪菜のあの言葉も離れなかったからちゃんと相談に乗ってやってなかった。この雑さが原因で別れたってのに、俺は改善しようともしなかった」



車が渡部の家の前で止まる。そこに雪菜の姿が見え、昌和たちは駆け寄る。




雪菜「あら、久しぶり。その子は?」


一樹「…初めまして、えっと」


昌和「帰るなら電話しろ。こいつは俺の通い付けの弁当屋のバイトの子」


一樹「…ああ、元奥さんか」


雪菜「ふうん、まあいいんじゃない?」


一樹「…関係ないですしね」


雪菜「そうね」


昌和「は?何の話ししてんだよ、初対面だよね??」


一樹「まあ、そうですね」


雪菜「渡部さん家の子でしょ。貴方もいい加減その物忘れ何とかしなさいよね」


一樹「いいんです、あの、近藤さん。送ってくれてありがとうございました」


昌和「お。おう。またな」


雪菜「報われないわね」


昌和「は?」


雪菜「じゃあ、私も帰るから。荷物は全部運び終えたし、もう来ないわ」


昌和「…そ、そうか」


雪菜「…本当に、そういうところ大嫌いだわ」




昌和「…しょうもなく泣いてしまった。追い討ちかけてきた雪菜も雪菜だ」




家の中でぼーっと消えた荷物の痕跡を見ている昌和。

そこにインターホンが鳴る。



昌和「はい、近藤です」


一樹「近藤さん!こんにちは!」


昌和「ブッ、おま、はあ?!」





家の中に招き入れ、コーヒーを注ぎながら昌和は一樹を見つめる。




一樹「そんな見ないでくれませんか?」


昌和「お、おう」


一樹「私服ださいの知ってるっての」


昌和「いや、違うって。今日は休みなのか?」


一樹「まあね、じゃなきゃ来ないですよ」


昌和「だよな…で、今日は何の用なんだ?」


一樹「休みって言ってたし、遊びに来た」


昌和「はあ?」


一樹「いいじゃん、独身になったんだし」


昌和「まあ、そうだな。一人ってのも辛かったし…まあ、いっか」


一樹「…アタックは効いてるみたいだな…」


昌和「あ?なんか言ったか?」


一樹「ううん!!あ、そうだ。近藤さんのこと昌和さんって呼んでもいい?」


昌和「別に構わねえけど。仕事中はやめろよ?」


一樹「当たり前だろ!ってか、店長に怒られるっつーの」


昌和「ははは!確かにな、今日は何するかー」


一樹「傍にいられたら、俺は別に」


昌和「え?」


一樹「アタックのつもりなんだけど、昌和さんって結構鈍感ですよね」


昌和「…お前、何言ってんだ?好きな人いるって言ったじゃねえか」


一樹「俺、一言も昌和さんじゃないって言ってませんよ」


昌和「何歳差だよ…」


一樹「関係ないって昨日は言ったじゃないですか!」


昌和「…まあ、そりゃそうだけどよ」


一樹「本気で好きなんです。ずっと前から」


昌和「渡部、勘違いとかじゃねえのか?」


一樹「そのために相談したんですけど?」


昌和「いやいやいや、待てって」


一樹「ずいぶん待ちましたけど。俺、初めて昌和さんを見た時から好きだって思ったんですから。結婚して引っ越してきた時から、俺が中学生の頃から」




昌和「その目は本気だった。片思いが長い分、我慢できなくなってるんだ。俺は早く気づいて間違いを正してやれば…。ああ、俺は鈍感…雪菜、そういう意味かよ。最後まで自由なやつめ」




一樹「俺じゃ、ダメ?」


昌和「って言ってもな、俺も男に告白されるのは初めてでだな」


一樹「俺が、初めて…マジで?!」


昌和「そうそうおっさん口説く奴いるかよ」


一樹「俺だけですね!?俺が、昌和さんの初めてか…はは、超嬉しいわ!!」


昌和「おーい落ち着けー」


一樹「俺、頑張ります。昌和さんと並べるくらいの大人になってみせますね」


昌和「いや、俺はOKしてねええし!!」


一樹「今、フリーじゃん」


昌和「そこをつくか、普通」


一樹「使えるものは全部使いますよ。俺は、本気で昌和さんを落としにかかってんだから」


昌和「若いっていいな」


一樹「なめないでくださいよ?」


昌和「楽しみにしてるよ」


昌和「…って俺は何を言ってるんだよ!!楽しみも何も断んなくちゃダメじゃねえか!!つい、渡部の押しに負けてる。でも、コイツ見てるといつも気分が下がってても上がるのは確かで。無駄に心臓が動いてるのは、ビックリしたからだとしても本当に嫌いじゃねんだよな」


一樹「好きです、昌和さん」


昌和「保留ってことで」


一樹「そのうち、俺のことしか考えられなくなりますよ」


昌和「ん?…ちょっと待て…俺が下か…?」


一樹「え?ダメですか?」


昌和「…ああ、もうどうにでもなれ」





昌和「なんだかんだ、結局付き合ってしまった俺。それから付き合い始めて一週間目…あいつが凄くアプローチをかけてくる。なんのってそりゃ、あれだよ」





一樹「昌和さん、おはよう」


昌和「バカ野郎、何がおはようだ。今朝寝たばっかじゃねえか」


一樹「あはは、可愛いかったよ」


昌和「最近生意気になってきたな」


一樹「そうかな?二人きりなんだし、いいじゃん」


昌和「完全に敬語やめてるし」


一樹「それも、二人きりなんだからいいじゃんか」


昌和「お前なあ」


一樹「チュッ…」


昌和「ん、ぅ…」


一樹「うるさいお口は塞いじゃうよ?」


昌和「ま、まさか…やめろバカ!!」


一樹「朝立ちしてる」


昌和「仕方ねえだろ、男なんだから」


一樹「抜いてあげる」


昌和「いらん」


一樹「いいでしょ?」


昌和「ば、お前!」


一樹「ほら…ね?」




昌和「一週間こんな感じで流されて…口にしたくないくらい求められて」




昌和「眠い…くそ」


雪菜「…どうして会っちゃうのかしら」


昌和「うお?!」


雪菜「こっちのセリフよ」


昌和「あー、その…元気か?」


雪菜「そうね」


昌和「……」


雪菜「そっちはエンジョイしてるみたいね」


昌和「はあ?」


雪菜「一樹くんのご両親から相談されたわ、ほとんど貴方の家に入り浸りだって」


昌和「う…」


雪菜「いつになったら大人になるのよ」


昌和「関係ないだろ」


雪菜「いい?あの子はまだ若いのよ」


昌和「…知ってる」





昌和「一時の感情かも知れないだろって意味だろう。でも、報われないとか言ってた雪菜からそう言われるとは思わなかった。あいつの応援してると思っていたんだから」




一樹「昌和さ、……あ」


雪菜「いい加減に目を覚ましなさい」


一樹「…なんで?」


昌和「おい」


雪菜「本当にそれが幸せなの?」


一樹「…そうだよ」


昌和「やめろってお前ら」


雪菜「男同士って、世間じゃどう思われるかわかってないでしょう」


昌和「やめろ!!雪菜!!てめえに関係ないだろ!!」


雪菜「っ!」


一樹「昌和さん…」


雪菜「関係…ね」


昌和「俺はお前と別れた、俺がどうしようが俺が男と付き合おうと関係ねえだろ。お前だって自由に生きてるじゃねえか。違うか?」


雪菜「…知らないわよ」


一樹「覚悟の上だし。上等だよ」


雪菜「……あ、そう」





昌和「渡部…悪い」


一樹「嬉しい!!」


昌和「うお!!」


一樹「昌和さん!」


昌和「いきなり抱きつくな!!」


一樹「愛してます、ずっと。永遠に」





昌和「こんな恋愛も、告白も、俺は人生最後だと思う。だから、絶対にこいつを幸せにしてやりたい。例え男同士でも」








END

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