あったままの出来事。
今日あったばかりのお話で、ひねりも何もなくすみません。
どこかに記しておかないと、と思い立ってこちらを選びました。
長男の定期通院日。ただ担当のお医者に会って近ごろどうしたこうしたという話をして、コンディションを確認してから薬を処方していただき、また数ヶ月後に予約を入れる……という内容。
長男は3万人にひとりくらいという、ちょっと変わった慢性疾患をわずらっており、発症したのが8年前。
発症したばかりの頃は大騒ぎで、地元の総合病院A、手術前提で紹介された県内の大学病院B、また紹介された東京都内の総合病院C、と転院したものの、結局はたいした治療もせずに済んで、それでも経過観察だけはちゃんとするよう言われ、今に至っている。
薬も昨年8月に切り替えたばかりだったので、ここ半年ほどは少しコマメに地元のA病院に通院していた。
担当の○×先生は、昨年夏に長男がAに検査入院した時からお世話になっていた。
実は○×先生、長男が小4の終わった春休み、人生初の入院を経験したB大学病院にて、主治医として既に一度お会いしていた。
その頃ビビりだった長男は、検査やら手術準備やら(結局手術はせずに済んだのだが)何かことが起こるたびにどこかニコニコしながら説明をしている○×先生がかなり苦手だったようで、昨年夏A病院の入院病棟で
「やー、久しぶりだねー、大きくなって!」
とニコニコやってきた○×先生を見た瞬間絶句。
「なんでコイツが……っ!?」
そう顔に書いてあったのだろうか、○×先生、笑顔のまま
「今度こっちのA病院に、転勤になったんですよー。また担当になったんで、よろしく!」
明るくそうおっしゃった。
年頃は私と同じくらいか、少し上程度、いつもハキハキしていて笑顔、しかし長男にとっては天敵以外の何物でもない、その○×先生。昨年の入院時も退院後も
「よし、じゃあ血液検査、ついでにやっちゃおう!」
とか、
「MRIも、やっちゃおうか!」
とか、
「16時だと血液検査間に合うから、採血しようか!?」
みたいに、珍しい病気ゆえか積極的にデータを求めにきていて、傍から見るだけならば
「お仕事熱心でえらいドクター」
というだけだったが、患者からすれば、単なる「Sヤロー」という感じだった、かもしれない。
長男はいつも(本人の目の前ではさすがにしなかったものの)
「○×……」
と呼び捨てであった。
病院に向う間も、長男は
「ああ……今日も血を採る、って言うかな~、○×。時間が遅いから言わないよね? やだなあ……あの、○×めー」
とぶつくさつぶやいていた。
そして夕刻に近い頃病院入り。窓口に行くと、なぜか受付から
「今日○×先生は、代わりの先生になります、すみません」
とても恐縮した様子で断りが入った。
中堅どころだし、急な出張でも入ったのだろうか、と思い待つこと数十分。
診察室に呼ばれると、うら若い女医さんが目の前に座っていた。
「△△と申します、よろしくお願いします」
おっ、いきなり自己紹介ときた。ドSな先生ではなく、代わりの先生が優しそうでちょっとほっとした様子の長男。
しかしまず、△△先生はこうおっしゃった。
「○×先生ですが、急病でお亡くなりになりまして」
「「!!!」」
ことばも出ない、とはこのことで。
亡くなったのは今年に入ってからだと言う。
「本当に、急だったもので……」とのこと。
診察済んで、帰宅途中も親子ともついつい出るのは
「……びっくり過ぎだよね」
くらいのコメントのみ。
昨年夏で8年ぶりに再会して以来、お会いしたのは5、6回くらいか。しかも話は長男の病気に関することばかり。
もっと話すことはなかったのか? と今さら思うが、まあ単なる主治医だったしね、病気以外にあまり話は弾まないよね。それでも頭の中はもういっぱいいっぱい。
ずっと彼を嫌っていたはずの長男も、何かしら思う事あるのか、ことば少なだったし。
夕闇せまる空に流れる雲を眺めながら、ふと感じたのは、
こういうのが一期一会なんだろうか、って。
それからやっぱり、生きているうちに、できることはしておきたい。改めて強く、思ったよ。
先生、患者と担当医師として束の間のおつき合いではありましたが、ほんとうにお世話になりました。
お互いに地球上に生きるうち、いろんなことがあったはずだし、お互い知らないこと多いはずなのですが、やはり、袖すり合うは他生の縁、と言いますし。
どうぞ安らかに。




