打撃
俺の前で仲間が頭を殴られている。
「辞めてくれ!」
「もう辞めてやってくれ!」
「そんなに殴ったらそいつは!」
「そいつだけじゃない。その前にもどれだけの俺の仲間を殴りつけたんだ?」
「まだ満足しないのか!」
俺は仲間たちと詰め込まれている小屋の中で叫んだ。
「辞めておけ、いくら叫んでもあいつらは許してはくれない。無駄なんだよ」
同じ小屋の仲間が俺に声をかけてきた。
「このまま放っておいていいのか?」
「しょうがないんだ、これが俺たちの運命なんだ・・・」
彼は少し曲がった腰を気にしながら答えた。
「お前は何か知っているのか?」
俺の疑問に彼が答える。
「俺は一度やつらにやられたんだ。
あのときも酷かった。沢山の仲間達があいつらに頭を殴りつけられたんだ。殴られて殴られてみんな沈められていったんだ」
「お前はなんで助かったんだ?」
「俺も同じように殴られたさ。
ただ俺は殴られるうちに腰にきちまって・・・」
「腰が曲がっちまったらあいつらの役には立たないんだろう。それで俺はお払い箱さ。曲がった腰を殴られてここに逆戻りさ」
「殴られるのは頭だけじゃないのか? 痛めつけられた腰まで殴るなんて、そんな酷いことがあるのか・・・」
「酷いなにも俺の体験だ」
「それじゃあ俺たちはみんな、あいつらに殺られる運命なのか。何とかここから逃げることはできないのか?」
「俺も何度も考えたさー」
彼の言葉が終わる前に俺たちは周りの仲間達と一緒に掴み上げられた。
「俺も年貢の納め時だな」
その言葉を残して彼は頭を叩きつけられた。
何度も何度も。
彼の姿はその度に沈み込んでいく。
彼は叫びもせず、その姿を消していった。
畜生、次は俺の番だ。
あいつは俺を掴み上げると
俺の頭も仲間たちと同じように殴りつける。
すざまじい衝撃が足元まで貫いていく。
何度も何度も。
その度に俺は足元から沈み込んでいく。
「畜生、俺は抵抗もできないのか」
悲鳴を堪える俺から頭を殴りつけてくるアレがズレた。
酷い衝撃が頭から腰へ抜け、俺も腰を曲げられてしまった。
「チッ」
俺の躯を掴んでいたあいつが舌打ちした。
あいつの仲間が何か言っている。
「曲がったヤツは抜いちまえよ」
「新しい釘使えばいいからよ」