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ベルセルティの手紙

掲載日:2010/10/18

 友人であるベルセルティ・アジクバリオンが死んだとの一報を受けたのは幸か不幸か、私が夜行列車の中で二十六歳の誕生日を迎えた十一月某日の事だった。

 彼は常に冷静沈着且つ傲岸不遜といった面持ちだったが、私からすれば常時暗闇でナイフを研いでいるかのような危険人物にしか見えなかった。周囲の奴らは彼のことをそういう意味も含めて『cool』と言っているのか、と私は非常に感心した事を覚えている。

 だが同時に、私は彼が唯一心を許した同級生である事にも変わりはない。そんな名誉且つ不名誉な称号を、こうして彼が死ぬまでに得ることが出来たのは、世界広しといえど私一人だけであろう。彼の猜疑心はまるで虎や獅子のようであり、学生時代の友人は腫れ物に触るかのように彼を扱った。仕方有るまい、と言えるのは彼が亡くなっているからだろう。

 いつしか彼は私の事をディークと呼び始めた。なので私はお返しとばかりに彼のことをベルスと呼ぶ事にした。その事を伝えたとき、彼は教室中の生徒が飛び上がるくらいに大声を上げて笑い転げていた。

 この辺りから、彼は私にプライベートを許すようになる。成績は下から数えた方が早かった私のケツを何度も叩いてくれたのは彼だった。

 おかげで、私と彼は同じ大学に入学を決めることが出来た。その日、二人で祝杯をあげて互いの勝利を喜んだ。

 そして数年後。私たちが同時に大学を卒業した後、私が彼女と別れて若干の傷心の中、彼は結婚した。だがその時の私には彼を祝う暇すらなかった。百キロ程離れた場所で公務員として働く事が決まっていた為だ。仕方がないので私は彼に手紙だけ送っておいた。

 それが、私と彼の最後の交流だった。

 あっけないものだった。人と人との繋がりという名前の糸はこうも容易く切れるモノなのか、と。私がこうして彼の死を知れたのは偶然であり、もしかしたら知らぬままに数年以上が経過していたのかもしれない。その事を考えれば、この事態は幸運とも言える。

 だから私はこれから彼の供養に向かう。彼の最後の足跡を踏みしめて、彼の人生を噛み締めたいと思う。


 私は電車を降りた。

 久しぶりの帰郷だ、色々待っている人も居るだろう。急がなくては。

 私は電車の中で読み尽くした十月二十八日付の新聞をゴミ箱に投げ入れ、目的地へ急ぐのであった。

そんなに怖く仕上がりませんでした。もっと表現力を鍛えてきます。

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