アルマ 光闇の
アルマ 光闇の
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……南二局を終え、点差は15000点。お互いに親が終わっている以上この二局終わりと言っていい。相手の親を蹴った後、私は進言しました。
「もう決まりです。ここからはヒラで」
バカを言うなと上役が笑いました。ここで引き上げてやれば見せしめにちょうどいい。残り二局で何ができるという?ヤツを見ただろう。紐靴、腕時計、マスクまでしていた。眼鏡はかけていないが、指を見てみろ。何もできるはずがない。ただの奴隷だ。灰色のアルマはここで死ぬ。ちょうどいいじゃないか。天国に行けると思うな。そう言って上役がレートをつり上げて、灰色は乗ってきました。逆転してやるぜ、などという夢物語を追い、死ぬ。刺すのは私。後ろにいる壁役。私が上役にサインを送り、上役が次の牌を切る瞬間に、目を疑いました。単騎牌が入れ替わって、いつからあるのかわからないドラが現れた。タンヤオイーペーコー、ドラドラ。8000点の直撃、逆転です。何があったのか、私だけがかろうじてわかりました。
小手返し、というイカサマがあります。配牌を指でなぞっておけば、ドラがあることはわかる。それを隠し、単騎牌と入れ替えた。枚数が同じなのだからイカサマと言い張ることもできず、言い張ることは誰かが覗いていたことを明らかにする。そんな技は、使えないはずなのに。上役は最後の一局で逆転を目指しましたが、この技を使える者相手に奇跡など起こるはずもなく、逃げ切られました。
オーラス後、灰色は勝ち金を受け取って帰ろうとしました。おい、となんとか口に出しましたが、灰色は何のことかわからないようでした。少しだけ考えて、ああすまねえ忘れてた、と腕時計とマスクを受け取った。難なく履いた紐靴は、相当緩い。そのとき、灰色の手から指輪が落ちました。仰々しいほど大きな指輪の内側は……スポンジでしょうか。これでは金属の固さは指に届かない。灰色は、指輪を拾ってポケットに入れました。
「これはオレの薬指だ。神様の物じゃない」
……その日から、私は家に帰りませんでした。あんな風になりたいと、思ったのかもしれません。




