07
「葵、ソナーをよく確認しておけ。恐らく俺たちに次はないぞ」
「…?どうしてですか?」
「今さっきまでパニックになっていて気付かなかったが、そもそも爆雷の威力が小さすぎたんだ」
「…?」
「俺たちを沈めるつもりなんてサラサラなかったってことさ。最初から俺たちが避けることを予測していたんだろう」
「「!?」」
相手を沈めるためではなく、俺たちの判断と船の性能を確かめる為の囮…か
「…やっぱりですか」
「海音、分かっていたのなら何故言わない?」
「その時は艦長と同じでパニックになっていましたし、もし気付いていたとしても艦長には何か策があると思って進言はしませんでした」
「それは俺の事を過大評価しすぎだ。もし俺の判断がおかしいと思った時はすぐにでも進言するように」
「了解」
葵はやはり頭がよく切れるからな。自分の実力だけでは扱いきれない所があるのが正直な感想だ
それにしても何故、葵はうちの艦の所属になったのだろうか…?今度聞いてみよう
「ちょっと、今は考え事してる場合じゃないのよ!」
「…そうだったな。葵、現在の敵艦の場所は?」
「本艦との距離五〇〇メートル、8時の方向です」
「近いな…」
「どうしますか?今なら全力で逃げに回れば逃げ切れますよ」
「…誇りを選ぶか命を選ぶかってこと?」
「フッ、くだらない。両方とも取ってしまえばいいじゃないか」
「…戦闘を続けるんですね?」
「そうだ」
左舷後方の500メートル先に宵闇はいて、自分達は今尾を向けて進行している
この船は後方に魚雷発射管を置いていないため、この姿勢のまま攻撃するのは不可能…ということだ
ここは伊13の唯一の欠点とも言える部分だな
「艦長、この船じゃ今の姿勢で敵を攻撃できないためこの状況は非常に危ないと思うのですが」
「その通りだ。だが今は攻撃する時じゃないからな。急がば回れ、だ」
今すぐに相手を叩いて沈めるというのはリスク以前の問題だろう
まずは相手の動きと目的を探らないとな…
「相手は今の所攻撃を仕掛けてくる気配はない。だからまずは相手の分かっている性能を分析しようか」
「はい、今現在分かっていることをまとめましたのでこちらを参照ください」
そう言って渡されたメモ帳
その中には
艦名 架
速力 35ノットまでは確認済
兵装 不明
と記入されていた
「…ほとんど不明じゃないか」
「そうですね」
…んん?
「…一旦船の性能については保留にして、次は相手は何が目的で俺たちの前に立ちはだかってきたのかを予想しよう」
一番あり得るのは俺たちのデータを採集して宵闇にデータを共有すること
もしくはチリに応援が駆けつけるまでの囮という線もあり得るな
「俺の予想では、この船の情報を手に入れて仲間内で共有するということが目的だと思うのだが、他に考えは?」
「何か他にあるでしょうか…」
「かっ、艦長!私も言っていいですか?」
美波が自らこういう話に参加するとは珍しいな
「勿論」
「もしかしたら、私たちの資源を枯渇させるための道具として駆逐艦[架]を使っているのではありませんか?」
「なるほどな、俺たちの船の航行継続を難しくする為の囮か…ありがとう。考えが広がったよ」
「はい!こちらこそありがとうございます!」
俺たちの資材をできるだけ減らして、そのついでに情報収集をする…というのが一番あり得るな
もしそうだとしたら…
「…今から全力で逃亡するぞ。このままここで戦闘なんかしてたらこちら側の資材も酸素も無くなって沈められるのがオチだ」
「「了解」」
「目的地をニュージーランド付近の海域に指定!長く潜行し相手に索敵されないようバッテリー駆動にして速力を5ノットまで下げろ!」
「了解。速力5ノット」
「今から俺たちは全力で逃げに徹するぞ。相手からの攻撃を予測する何て事をしないためにも隠蔽に全力をかけろ」
海況は普通、天候は雨か…
大丈夫、自分達は大丈夫だと信じるんだ
「進路南南東!水測良好!只今より本艦は、ニュージーランド海域へと向かう!」
大体夜9時〜11時の間にゆっく〜り書いてるので頭が回ってない時があります。もし用語や意味合いのミスがあれば誤字報告などで報告して頂ければ幸いです




