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《周囲に反応なし、潜航を継続する》
「「了解。潜航継続!」」
《進路そのまま、深度一○○まで降下、固定しろ》
「「進路そのまま、深度一○○固定!」」
伊13とドッキングしているからか水圧の変化が身に染みて感じられる
《深度そのまま、速力を15ノットに固定》
「「了解、速力15ノット固定」」
よし、まずはこのままフィリピン海を越えてパプアニューギニア付近の南太平洋へと向かう
《水測員、ソナーを確認》
「本艦以外は本海域には居ないみたいですね」
水測員である大空葵。そして操艦補助の湊千夏
日本海軍の中でも成績が優秀だった2人だ。
俺がどんな指示をするかが分かっているかのような迅速さ。流石としか言いようがない
この艦では人手を減らすために水測員は通信・索敵も兼ねているのだが、やっぱり仲間が優秀すぎると困る面がある
俺がなにか指示を出し終わった時には既に艦が動いている時だってある
この悪い癖はやめるようにと何度も注意しているのだが…
《千夏、俺の指示より先に15ノット固定しただろ》
「えっ!?」
《やっぱり無自覚か。お前の悪い癖だぞ》
「…はい。以後気をつけます」
この伊13だが、戦後から何度も改修を受けている為装甲などが強化されて深度六○○まで潜ることができるようになっている
と言っても、これは最終手段のようなものであり、あまり無理をしすぎると構造上の問題で船が圧壊する可能性がある為大抵は深度四○○までしか潜らない事になっている
《葵、引き続きソナーの確認を行ってくれ。海音は敵艦が攻撃してきた際にすぐに反撃が出来るよう準備を徹底しろ》
「「了解!」」
そう命令を下してから一時間後、変化は急激に訪れた
「艦長、ソナーに反応があります。単縦陣からなる正体不明の艦隊です」
《葵、方向は?》
「左舷三十度、進路は南南東です」
《チリの方向か…》
「艦長、追いますか?」
《いや、まずはインドネシアに行って整備をするのが先だ。無視してこのまま直進する》
「…ッ!?反応が消えました!音も聞こえません!」
《…無視だ。このままオーストラリア上まで直進する》
「了解です」
チリの方向へ向かう何かは、俺たちにあえて気付かせたかのように、静かな海の中へと存在を消した
…宵闇の応援部隊か。
《葵、すまないが引き続きソナーの確認をよろしく頼む。その他乗組員は各自やるべき事をやれ》
「…やるべき事、ですか?」
《…お前ら、食事がまだだろう。船の簡単な操縦は俺が行っておくから行ってこい》
「いいんですか?」
そんな会話をしていると、船の奥の方から美波が走ってきて…?
「ご飯ですか?私の作ったご飯を食べるんですか!?食べ終わったら感想聞かせてくださいね!!」
それだけ告げてまた調理場へと戻って行ってしまった
《…と言う事だ。お前ら、飯を食べ終わったら美波の所へ感想を言いに行くんだぞ》
「「「わかりました!!」」」
そう言って各自バラバラに散っていく
「あの、艦長はどうするんですか?」
…それは何度も説明しただろ。日本を出る前に
《俺は見ての通りFSCにドッキングしてるからな。明日まで飯も何も食えないんだ。まぁ俺のことは気にせず食べてきてくれ。俺の分も食っていいからな。後で感想を頼んだぞ》
「わかりました。お身体気をつけてくださいね?私たちの艦長なんですから…」
《心配ありがとう。雫も、そこに隠れてないで行ってこい》
「…バレた」
こいつらは何でこんなに人に同情?してくるのだろうか。俺の心配はいらないので早く腹を満たして気分を入れ替えた後持ち場について欲しいのだが…
「じゃあ、また後でね」
「感想お伝えしますね」
『了解。今日の夜と明日の飯も俺はパスだから。わかったな?美波」
「了解でーーーーっす!!」
艦内に美波の声が響き、主に食卓から笑いが聞こえる
《声張らなくても厨房にもマイク内蔵されてるから大丈夫だからな〜》
うん。やっぱりうちの艦はこれぐらいのテンションが丁度いい
…さて、俺は操縦に集中しないとな




