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暁の流星群 〜いつまでも続く平穏を求めて〜  作者: 時雨
始動

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02

「悪い、遅くなった」


「お待ちしておりました。次の進路の方はどうされるのですか?」


「…そういう堅苦しいのは戦闘時以外はやめろと言っているだろ?航海長」


「ちょっと!その呼び方は止めてよね」


こいつの名前は雨森雫。今言った通り航海長をやっている。ついでに言うと俺の叔父の娘だから…いとこだな


「それで、次はどこに行くの?燃料はまだあるし空気も入れ替えたからある程度は進めるけど…」

「インドネシアまで進めるか?」


「…今インドネシアって言った?」


「もちろん」


水面上昇による被害を最も受け、そんな中いち早く立ち直った国のひとつにインドネシアがある。インドネシアは過去の戦争によって国々の中継地、軍港と化しているためどこにも属さないという立場がとても好都合なのだ


「そんな…あんな所突っ切ったらバレておしまいよ?そんなリスクを冒してでも行く理由があるの?」


「それは分かってるし勿論インドネシアを目指す理由もある。それに、俺たちがわざわざ馬鹿正直に通る訳ないじゃないか」


「それもそうね…」


「ま、それは今すぐに決めなければいけない事ではない。だから、取り敢えず昼ごはん食べようか」


「ちょっ、まだ皆も帰ってきてないのよ?それにまだこの話は終わってな…」

「ただいまぁー」


…1人目、帰投


「うぃー…」


2人目、挨拶の仕方を1度教えた方が良さそうだ。と言うか、なぜそんな挨拶の仕方で軍に入れた…?


「ただいま帰りました!」


3人目、よろしい


「おーい、艦長帰ってるかよ?」


4人目、騒がしい


「ただいま!」

「戻りました!」


5人目、6人目、相変わらずハモるもんだな…


「…ほら、全員揃ったぞ」


見てわかる通り、うちの船の乗員数は極めて少ない


基本的な潜水艦の最低限必要な乗員数を知っている人なら異常さがわかるだろうが、この人数というのは非常に少ないのだ


実はこの船、伊13は旧型艦として幾度も実験台として使われてきた経歴がある。だからこそ今の現行艦には無い機能が幾つもあるってわけだ。例えば、魚雷の自動装填と「完全同期型操縦装置」だな。


完全同期型操縦装置、略してFSCは操縦者の精神と艦の中枢をドッキングする事によって自分の意思で船の操作をある程度可能にする素晴らしい物だ。


メリットだけを聞けばいいとこだらけに聞こえるかもしれないが、もちろんデメリットもある


一つ目は単純に操作が難しいという事、二つ目はドッキング後一日間は同期が外れないと言う事だ


つまりこれはどういうことか、同期をしている間そいつは完全な無防備になると言う事


この船が沈む時もドッキングしていようものならそいつは死ぬ。


理論上途中解除による脱出は可能らしいが、未だそれを成功させた事例はない。死刑囚を使ったことによる途中解除実験を行ったが、結果は全て失敗。報告書には途中解除に失敗して脳死状態になったという事しか書かれていなかった


言い忘れていたが、同期を百パー成功させるためにも体全体に機器を取り付ける必要がある。更にその後の操縦などで体が動かないように固定する必要があるのだ。


このように、一歩間違えればすぐ死ぬような機能が盛りだくさん。決していいものばかりだとは言えないが


しかし、これのおかげで俺たちの艦は乗員数九人で全ての操縦が行えるのだ


「艦長!みんな揃ったから、私はカレーの用意してきますね!」


「よろしく頼んだ」


今カレーを作りに行ったのは給養人の秋雨美波。3番目に戻ってきた元気な女子だ


さて、本日はどんなカレーが出てくるやら…まぁ、いつもと変わらない普通のカレーだと思うが


…聞きに行ってみるか


「失礼。美波、今日もカレーだそうだが、今日は何のカレーを作るんだ?」


「はい!今日はですね、ハンバーグカレーを作ってみようと思います!」


「ハンバーグカレー…?」


「はい!…もしかして好きじゃないですか?」


「いやいや、俺は好き嫌いはしない主義だし、ただハンバーグカレーというものを知らないだけだ」


「ハンバーグとカレーが合わさった美味しいやつですよー!」


なるほど、ハンバーグとカレーね……


…ハンバーグとカレーだと…?

それってかなり材料を使うんじゃ…


「なぁ、それってかなり材料を使うんじゃないのか?」


「まぁ、でも、美味しいと元気が出ますよ!」


…そうだな。元気がないとやる気が出ない。『腹が減っては戦はできぬ』と昔から言われてるもんな


「ありがとう。それじゃ、楽しみにしてるよ」


「はい!それではまた後で!」


…俺たちは、無事にインドネシアへと辿り着く事が出来るのだろうか…?


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