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暁の流星群 〜いつまでも続く平穏を求めて〜  作者: 時雨
初戦:珊瑚海海戦

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「一つ提案があるんだが、あえて敵の策に乗っかってみるのはどうだ?」


「艦長なら気付いているでしょうが、おそらく敵艦はあの補給艦のみではありませんよ?一瞬のうちに包囲されて…」


「問題ない。進路そのまま、移動式ドッグあすかを名乗る艦の付近まで近付くぞ」


「…随分と大きく出るんですね」


「あぁ、おそらくだが、そうでもしないと勝てないからな」


…自分たちの動きはおそらく読まれているだろう

自分が次にどのような動きをして、どんなふうに危機を脱しようとするのかが


ここで引けば沈む。ここで止まっても沈む。であれば進むしかない。結局は宵闇の思惑通りなのかもしれないな


だが宵闇も操艦しているのは所詮人間だ。報告されていない情報、イレギュラーな事態さえ起こせば相手の陣形と作戦は粉々に砕け散る


「ドッグ船あすかまで距離5キロ」


よし、そのままだ。そのまま何事もなく包囲されるはずだ


「ドッグ船あすかまで距離4キロと800メートル」


「…もし包囲してくるのであればもうそろそろ後ろから潜水艦が浮上してくる筈だが」


「そうですね…」


「艦長、詳しい所在はわかりませんが、機関音が三つ聞こえます」


わざわざバッテリーを使わずに浮上か…随分とまぁご丁寧な物で


「…急速潜航、バラスト注水」


「えっ……はい、了解しました」


「今のこの艦の状態でどれぐらいの深度まで潜れそうだ?大体で良い」


「…今の限界は300ですね。通常の最大潜航可能深度まで潜航した場合、損傷部位から圧壊する可能性が非常に高まると思われます」


「分かった。千夏、バッテリーの残量は?」


「予備使えばかなり持つと思います」


俺はギャンブラーじゃないんでね。2度目のFSC起動なんてアホな事はしないし、したくも無い


…だが、バッテリー残量によってはもしかしたら起動することになるかも知れないな


「バッテリー全稼働。ただ今より第二兵装[衝撃減衰バリア]及び第三兵装[加圧式圧力分散型減衰バリア]を同時展開する」


「艦長!?」

「そんな事したら艦が持ちませんよ!?」


「…30分は耐えるさ。もし決着に30分以上かかるような激戦であれば、FSCの起動もやむを得ない」


「そんな…」


「…起動しました。急速潜航します。深度はどうされますか?」


「海底ギリギリまで寄せろ。海音、葵、魚雷を海底に撃ってからこっちに音が伝わってくるまでの時間で海底までどれぐらいの距離があるのかを測定する。63式地形破壊魚雷を装填してくれ。そして射出した後から着弾して爆発する音が届くまでが何秒かかったかを教えてくれ」


「「わかりました」」


「よし。頼むぞ」


直後照明が全て落ち、艦内には沈黙と各システムのスイッチの光が点滅している


「艦長、予備電源を使用して照明を復旧しますか?」


「勿論ノーだ。引き続き今使える限りの電力をすべて第二、第三兵装に回せ」


「了解」


「こちら63式地形破壊魚雷装填完了」


「了解、機関停止、この場で留まりながら魚雷を撃て」


「ファイアッ!」


「葵、音量に気を付けつつ絶対に音を聞き漏らすなよ」


「了解……爆発音、聞こえました。2分18秒です!」


63式は地形を少しでも削ることに特化している。マリアナ海溝の最深部ど真ん中にでも撃たない限り水圧による圧壊はないに等しい


…2分18秒。かなり時間を食ったな


深度をDとした時に63式魚雷の時速130キロを秒速に直して大体秒速36メートルになる

そうするとD/36+D/1500=138が成り立つから

D=4866か?


だとしたらかなり深いな…気を付けないと深く潜航しすぎて圧壊するかもしれない


第三兵装開放時の最大深度は2000メートルを誇るが、それはあくまでもFSC起動時の話。バッテリー駆動なら今さっき言った通り30分ほどしか起動できないため時間的にも1000~800メートルしか潜れないな


「深度を900に固定。千夏、ここの深度は大体5000メートルだから細心の注意を払いながら潜航を頼むぞ」


「了解!」


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