去年のクリスマス 後編
1998年12月24日 木曜日
その日は暖かく、良く晴れていた。
「お嬢さん?どうしたの?」
後ろから声をかけられ振り向くと、そこには調理服を着た男性が居た。
その人は自分の両膝に手を置き、私の顔を見るなり優しく微笑んだ。そして
「寒いだろう?店の中入りなよ。丁度新作の試作品が出来たんだ♪暖まるついでに味見してかない?」
見ず知らずの私にそんな事を言ってきた。私が「良いの?」と聞くと「勿論!」と、大人なのに元気で無邪気な笑顔で答えてくれた。
石上 晋二
私が高校生活を送る上で、店長に出会っていなかったら...おそらく私は高校を中退していただろう。
店長が雇ってくれたおかげで、純玲を幼稚園に行かせられた。
小学校にも入学させる事ができて...その後、私が無事就職出来たのも店長のおかげだと言える。
もし、店長との出会いが無かったら...怖くて考えられない。だが、それと同時に感謝してもしきれないと思う。
いや、私だけじゃない。純玲にとってはこの出会いが、一生を左右する出会いとなった。
石上家との出会い...
高校時代は必死過ぎて、感謝どころでは無かったが、唯一私が妄想したのは
「耕にぃがサンタになってプレゼントしてくれたのかな?」
なんて都合が良いと思いつつも、私は神より愛する人に感謝する事で心の平穏を得ていた。
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