表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

9/11

第9話   双子の正体!?

「う……食べ過ぎちゃった……」



 歓迎会が終わって、私たちはそれぞれの部屋に向かった。


 歓迎会はすごく楽しくて、うれしくて。

 なんだかほっとした私は、急にお腹が空いて、つい食べ過ぎてしまった。



 そういえば朝からバタバタで、お昼食べ損ねてたからなぁ……。

 


 私は、アビーさんと同部屋。

 お腹をさすりながら、部屋の扉を開けると……。



「あれ? ノックぐらいしてよ。フラウねえちゃん」

「どうかなさいました? フラウおねえ様」



 あれ?



「……ッ!? ごごごめんなさいっ! 間違えました!」



 慌てて扉を閉めたものの、頭がぐるぐるしてる。


 ……い…今の、って……。



「なにやってんの? フラウ」


「むひゃっ!?」



 突然、後ろからアビーさんに声をかけられて、思わず変な声が出ちゃった……。



「あたしたちの部屋は、あっち。なに? 『むひゃっ』って」


「あ…あの……、ちょっとお部屋を間違えちゃって……」


「ん? ここって、プッチとサンドラの部屋でしょ? プッチー。サンドラー。」



 呼びかけたアビーさんが扉を開けて中をのぞくと、「ああ」と声を漏らして、私の手を引いて部屋の中へ入った。


 部屋にはベッドが、ふたつ並んでいて、その上に人の形をした"黒いもの"がちょこんと座っている。



「そういえば、ちゃんと紹介してなかった」


「ああ。そういうことか。フラウねえちゃん」

「驚かせてしまいましたね。フラウおねえ様」



 どっちがプッチくんでサンドラちゃんか、声で判別は出来るけど、見た目はどちらも同じ。



 人影(ウンブラ)



「フラウって、もしかして人影(ウンブラ)見るの初めて?」


「い、いえっ。村にいる時に何度か……」



 人影(ウンブラ)は、この島に生息する正体不明の生命体。

 

 その昔、絶えたはずの魔物が復活し人々を襲い始めたころに突然現れ、人と魔物が戦っていると、なぜか魔物だけを攻撃して去っていく謎の存在。


 意思疎通は出来ず、こちらから攻撃しなければ決して人を襲うことはないけれど、もし攻撃をしかければ、人でも魔物同様、容赦なく殺される。

 まだその習性が分かっていなかった当初、討伐を試みた帝国の駐屯部隊が、いくつか壊滅したこともあるみたい。


 たいていは、森や洞窟、魔物に滅ぼされて人が住まなくなった場所に、ただ「立って」いるだけだけど、みんな気味悪がって、あえて近づく人はいなかった。


 

 でも、まさか、プッチくんとサンドラちゃんが、人影(ウンブラ)だったなんて……。


 ……しゃべってるし……。



「おいらたちみたいのは、特別だからな。アビー」

「驚かなかったのは、あなたぐらいよ? アビー」


「あたしは小さい時から、いろんなもの見てるから、『こんなのもいるんだ』って感じだったかな」



 お、驚かなかったんだ!? すごい。



「ジョシュなんか、変な声上げながら転げ回ってたもんな。サンドラ」

「あれは怖かったわ。プッチ」



 ……なんか、想像できる。



 プッチくんは体を揺らしながら。サンドラちゃんは手を口(?)に添えながら笑っている。

 いつもの二人だ。

 


 ……私……恥ずかしい……。



「ごめんなさいっ! プッチくんとサンドラちゃんは、プッチくんとサンドラちゃんなのに……。私……あんな風に驚いたりして……!」

  

「う~ん、と。なんかよくわかんなかったけど、気にすんなよ。フラウねえちゃん」

「そうですよ? ちゃんと説明しなかった、わたしたちもいけないんですし。フラウおねえ様」


「よくないです! 私。私が恥ずかしい……ぁいたっ…!」



 二人に下げた頭を、アビーさんが杖でゴツンした。痛い。



「……まったく。真面目通り越してやっかいね、あんた。そんなんじゃ、やってけないわよ?」


「いたた……。アビーさん……でも……」


「知らないもの、よくわからないものに、警戒心を抱けないようじゃ、冒険者なんてやっていけない。それこそ、あんたみたいな駆け出しは、すぐ死ぬわ。

駆け出しは、駆け出しらしく、びびってるぐらいがちょうどいいのっ」



 ……わかったような、わからないような……。……いたた。



「おいらたちは、全然気にしてないぜ。フラウねえちゃん」

「ええ。わたしたち、おねえ様と御一緒できて、とてもうれしいんです。フラウおねえ様」


「……プッチくん、サンドラちゃん……」



 泣いちゃう。



「はいはい、泣かない。紹介も終わったし、部屋に戻るよ? 明日から、ビナサンドに向かうんだから。朝早いの」


「ビナサンド、ですか?」


「そ。師匠に会いにいくの」



 アビーさんの、お師匠様?



「朝、苦手なくせに、よく言うよ。アビー」

「本当。いつも、わたしたちが起こしてるのにね。プッチ」


「うるさい。明日も、よろしく」


 

 そう言って、片手を挙げたアビーさんに「ほら、いくよ」と手を引かれ、私は、プッチくんとサンドラちゃんの部屋を後にした。



 アビーさんの、お師匠様……どんな人なんだろう?





あぅ…(´・∞・`;)前書きに書いちゃった…直しました


アビーのお師匠はんは、あの人なんです!(´・∞・` )ばーん

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ