第二話 異世界召喚
――――ここはどこだ?
――――え?異世界?どういうことだ?落ち着いて考えろ。
中世ヨーロッパ風の王が目の前に、ザ・王様みたいな服装で堂々と椅子に座っている。玉座の周りには重厚な装飾が施され、その威厳ある姿勢は、まるで龍が傍らにいるかのような迫力があった。衛兵たちが静かに立っており、王の権威を守る様子が感じられた。しかし、予想していた白髪冠冕の悪巧みじじいの王とは違い、実際は30〜40代の和風の王様だった。
異世界召喚されたようだ。このパターンだと、世界が滅びるから勇者を召喚しようという王の思惑が見え隠れする。「やるなら、中学生じゃなく高校生とかにしろよー。」場は静まり返り、王は俺を軽蔑のような目で俺を見つめていた。
王が口を開いた。「私の名前は、サラメル・アラシアンズ王という。私がお主を召喚した。なぜかと言うと、この国アルミッド王国、いや、この世界は窮地に陥っている。魔王アリトラによって世界が滅びるかもしれぬ状況だ。しかし、ここに勇者がいる。お主は世界を救うため召喚された勇者だ。この世界を魔王から守り抜き、英雄となる者だ。」
周りの人々は、静かな期待と不安が入り混じった表情で王の言葉を聞いている様子だった。彼らの視線が俺に注がれ、王の呼びかけに対する反応を探っているようだ。「あ〜、やっぱりそういう系か。アニメでそういう系見尽くしたわ。どうせチート能力ですぐ魔王を片付けて平和になるんだろう。だが俺はそういうありふれた系は、嫌なんだ。「で、能力測定するよーってやつないんすか?」
「王になんて不敬な発言だ。勇者だからといって…」
「まあ良い呼び出して直ぐに命令に従えと言ったせいで混乱しているのだろう。」
「ケイルス、魔法鏡を用意せよ。」こいつがケイルス?いかにも執事って感じだ。どこかしらの社長やらなら直ぐに雇いたくなるくらいだ。「は、こちらにございます。」これが魔法鏡か、とても美しい。キレイに反射していて見とれてしまいそうだ。「では、えっと…。」
「とあです。」
「あ、勇者とあ殿、こちらに来てください。」
「は、はい。」
さて、どんなチート能力かな?ありふれているからといって興味が無いという訳ではない。「なっ、なんと」うっすーらと数字が浮かび上がってくる。「犬以下ですと?」
「へ?」
「チートねぇじゃねぇかー」「はあ、ふぅはあ、あのホントなんもないんすか?」
「全て平均または、平均以下でございます。」はぁ?何もなしかよ。まわりがコソコソと不快な音を立てた。「勇者様、とりあえず私の用意した部屋へ行ってください。」
俺は、不満そうにあの執事?について行った。周囲の不安と軽蔑が交錯する中、俺は内心の動揺を抑えるようにしていた。