第一話 非日常平日
カーテンの隙間から、微かな冷たさを含んだ暖かな日差しが差し込んできた。寝ぼけながらも、その感触が心地よいと感じた。
「あ〜、学校行きたくねぇな」
ベッドの中で身をよじりながら、俺は起きるのをためらっていた。冬の朝はなんだか特別に寒く感じられ、母親の声に追い立てられている。
「今は、七時三十分。まだ間に合うからもう少し…」
「とあ!! 起きろ、今何時やと思ってんねん!!」
母親の声が急かす中、俺はウトウトとしたままで、「ウゥゥ、はい!!」とやっと返事をする。
こうして俺は、いつも通りの朝を迎えるはずだったのだが…
「いってきまーす!!」
「いってらっしゃい」
ガヤガヤとした教室、いつも通りだ。友達たちとのささいなやり取りが日常の一部となっている。そして、俺は机に向かい、教科書を開く。
「おい、とあ」
話しかけてきたのは友達の優太である。
「また、厨二病のスタンプRINEで送ってきたやろ!」
「なんのことかな〜、僕わかんない〜」
「お前、美術のジジイ言ってた事愛斗先生に言うで」
「はいはいわかりました、送りました!!」
「何切れとんねん!!」
この日常的なやり取りは、何度目だろうか? はぁ、いつも通りか。何か驚くようなことが起きないかな…
「今から、小テストしまーす。」
え! あ、数学か、数学なら得意やから優太を煽れるわ。数学の先生は、手際よく人数分を丁寧に配る。
「制限時間は、五分です。では、用意、スタート」
「…。」
やべぇ、トイレ漏れそう。どうしようか、今言うとテスト中だから静かに先生に行って来なさいと言われて気まずい空気になってしまう。でも漏れるよりはマシだ。
「すみません。トイレ行ってきていいですか?」
先生は、静かに気遣うように「行って来なさい」と一言言った。あの一言は中学生、いや小中高大全ての学生にとって勇気のいるものだ。というわけでトイレへ行くことにした。
俺は、四組の生徒として、まずは五組の前を通らなければならない。これがまたとても気まずい。そして俺は忍者のように静かに、そして素早く教室の前を通り抜ける。
どうやら、社会の授業のようだ。一瞬だけ視線を感じながらも、気にせずトイレへ向かった。
よし、ゴール!! ん? あれ? 地面から怪しくも神々しい魔法陣が展開された。